SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える|コロナ禍との関わりも SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える|コロナ禍との関わりも

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える|コロナ禍との関わりも

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近年耳にする機会が増えてきたSDGs。

「SDGsについての概要はわかったけれど、それぞれの目標の内容をもっと深く知りたい。」「企業での取り組みに活かしたい」「個人でできることが知りたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。

この記事ではSDGs目標3に焦点を当てて詳しく説明していきたいと思います。

目標3のキャッチコピーが「すべての人に健康と福祉を」であることから、医療分野から見た目標設定にも見えるかもしれません。

しかし、実はそれ以外の観点からも目標達成に向けての取り組みが求められる内容となっているので、是非チェックしてみてください。

SDGsとは


まずは、SDGsの基本的な概要のおさらいです。

SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

このSDGsの達成に向けて、テーマに沿った17個の目標が掲げられているのはご存知だと思いますが、この記事で取り上げる目標3は、健康と福祉の面から課題解消を目指しています。

2020年初頭から猛威を振るう新型コロナウィルスとも関わりの深い目標3の詳細を早速見ていきましょう。
 


>>SDGsをもっと詳しく知りたい方はこちらの記事から詳細が読めます。

 SDGsとは|概要や背景・日本や世界の取り組みまで 

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える



SDGs目標3の「すべての人に健康と福祉を」はキャッチコピーで、正式目標は「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」です。

内容を簡単にまとめると、あらゆる年齢のすべての人々に、生涯にわたる健康的な生活を保証し、幸福度をあげていくことをゴールにしています。

マラリアや結核、HIVなどの主要な感染症の流行を食い止めることを含め、健康と福祉に関する新旧様々な問題に対処していこうとする目標です。

この目標を達成するために設定されたターゲットは多岐にわたり、あらゆる側面から健康と福祉の課題に取り組む必要があると書かれています。

まず始めにSDGs目標3のターゲットを見てみましょう。

SDGs目標3のターゲット

ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:3.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:3.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

目標3の正式目標は「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」でしたが、ターゲットはその「健康的な生活の確保」と「福祉を促進」の2つの面から構成されています。まずは一通り目を通してみましょう。

まずは実際のターゲットを確認!

 3.1 

 2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減する。

3.2

 すべての国が新生児死亡率を少なくとも出生1,000件中12件以下まで減らし、5歳以下死亡率を少なくとも出生1,000件中25件以下まで減らすことを目指し、2030年までに、新生児及び5歳未満児の予防可能な死亡を根絶する。

3.3

 2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。

3.4

 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

3.5

 薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。

3.6

 2020年までに、世界の道路交通事故による死傷者を半減させる。

3.7

 2030年までに、家族計画、情報・教育及び性と生殖に関する健康の国家戦略・計画への組み入れを含む、性と生殖に関する保健サービスをすべての人々が利用できるようにする。

3.8

 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

3.9

 2030年までに、有害化学物質、ならびに大気、水質及び土壌の汚染による死亡及び疾病の件数を大幅に減少させる。

3.a

 すべての国々において、たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約の実施を適宜強化する。

3.b

 主に開発途上国に影響を及ぼす感染性及び非感染性疾患のワクチン及び医薬品の研究開発を支援する。また、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)及び公衆の健康に関するドーハ宣言に従い、安価な必須医薬品及びワクチンへのアクセスを提供する。同宣言は公衆衛生保護及び、特にすべての人々への医薬品のアクセス提供にかかわる「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の柔軟性に関する規定を最大限に行使する開発途上国の権利を確約したものである。

3.c

 開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において保健財政及び保健人材の採用、能力開発・訓練及び定着を大幅に拡大させる。

3.d

 すべての国々、特に開発途上国の国家・世界規模な健康危険因子の早期警告、危険因子緩和及び危険因子管理のための能力を強化する。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

3.1〜3.6・3.9が「健康的な生活の確保」に関連し、3.7・3.8が「福祉を促進」に関連するターゲット構成で、3.a〜3.dが3.1〜3.9を達成させるための具体的な手段になります。

次では押さえておきたい現在の状況を見ながら、目標3についての知識を深めていきましょう。

企業や個人でできる取り組みや支援も合わせて掲載しているので参考にしてみてください。

妊産婦・新生児・5歳未満児の死亡率を低下させる


まずは妊産婦・新生児・5歳未満児の死亡率に関するそれぞれの現状を見ていきましょう。
 

妊産婦死亡率


2017年の数値を元に作成された「世界子供白書2019」の妊産婦の死亡率データによると、妊産婦の死亡率は2000年から2017年の間で、38%低下と改善傾向が見られるものの、2017年は約295,000人の妊産婦が命を落としています。

特にこの死亡率の高さは途上国で目立ち、国連広報センターによると、途上国での妊産婦死亡率は先進国の14倍に上ります。

具体的な数値は、日本の2017年の妊産婦の死亡率は日本で年間約5人であったのに対し、数値が高い国の1つであるシエラレオネでは1,120人でした。

いかに途上国での出産がリスクを伴うかがわかるのではないでしょうか。

WHOによると、その原因は主に、妊娠前から伴っていた病気(糖尿病、マラリア、HIV、肥満など)が、妊娠によって悪化したこととされています。

これを2030年までに1/3に削減することが求められています。
 

新生児死亡率


「新生児死亡率」とは、生後28日以内に亡くなってしまう新生児の確率を指し、出生1,000人あたり◯◯人と表記されます。

「世界子供白書2019」によると、2018年の世界全体の新生児死亡率は、1,000人あたり18人でした。国ごとで見ると、最もこの数値が高いのがパキスタンで、年間1,000人あたり42人の新生児が命を落としています。

2位以下も南アジアとサハラ以南のアフリカ地域の途上国に集中しており、いずれも高い数値です。

それに対して日本は1,000人あたり1人で、やはり先進国と途上国の間には大きな差があることがわかります。
 

5歳未満児死亡率


5歳未満時死亡率は、出生から5歳までに命を落としてしまう子供の確率を指したものです。

こちらも1,000人あたり◯◯人と表記されます。

「世界子供白書2019」によると、2018年の世界全体の5歳未満児死亡率は、1,000人あたり39人です。

国ごとに見ると、最もこの数値が高いのはソマリアで、年間1,000人あたり122人が命を落としています。

こちらも新生児死亡率と同様に、南アジアとサハラ以南のアフリカ地域が高い数値です。

これに対して日本は1,000人あたり2人という数値となっています。

WHOによると、新生児と5歳未満児の死亡理由は主に、合併症と感染症です。



「清潔な水を飲む・石鹸で手を洗う・適切な栄養摂取と抗生物質の投与・医療従事者の配置」といったことで防ぐことができるので、特に途上国に向けた支援をより一層加速させる必要があります。

また、国連広報センターの「事実と数字」によると、教育を受けた母親の子どもは、まったく教育を受けていない母親の子どもよりも生存する確率が高くなるデータもあります。

これはSDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とも関わりがある課題で、誰しもが教育を受けられる環境を整備することで、死亡率の改善にもつながるでしょう。
 


>>SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」の詳細は以下の記事をご参照ください。

 SDGs「質の高い教育をみんなに」とは|私たちにできること


<妊産婦・新生児・5歳児未満の死亡率とターゲット設定のまとめ>

伝染病や感染症対策を強化する



次は感染症に関するトピックです。

エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病や肝炎、水系感染症及びその他の感染症と幅広い感染症を撲滅させることを目指します。

WHOが「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」と定義する18の疾患。(代表的な疾患にシャーガス病、デング熱などが挙げられる。)

それぞれの伝染病・感染症の具体的な数値を見てみましょう。

エイズ

 2017年時点で全世界のHIV感染者は3,690万人に上り、180万人が新たに感染。(死亡は94万人)

結核

 2018年には約1,000万人が発症し、150万人が死亡。

 マラリア 

 2018年に2億2,800万人が感染し、約40万人が死亡。

伝染病・感染症に苦しむ方が数多くおり、これらを解決するには、医療費を下げる、病気に関する知識の普及、蚊帳の普及など、様々な対策が必要で、膨大な人数がいる感染症者を根絶することがいかに大変な問題であることがわかります。

他にもB型肝炎などについても対策を講じる必要があります。

ここまで見てきた「妊産婦・新生児・5歳未満児の死亡率を低下させる」と「伝染病や感染症対策を強化する」に関して、一個人が直接的にできることは限られているかもしれません。

しかしその支援を行う団体に寄付をするという形での参加はできるでしょう。

国際協力NGOワールド・ビジョンの取り組みを例に説明します。

魚の釣り方を教える!国際協力NGOワールド・ビジョン



ワールド・ビジョンは、キリスト教精神に基づいて開発援助・緊急人道支援・アドボカシー(市民社会や政府への働きかけ)を行う国際協力NGOで、困難な状況にある世界の子どもたちのために活動しています。

彼らは物資を与えるという方法ではなく、

・子どもを取り巻く環境を変える
・地域の人たちが安定した収入を得られる方法を見つけられるようにする

といった形での支援を行っています。

例えば、子供の病気予防や妊産婦のケアができる保健人材を育成したり、教育を普及させるために教師を育成したりといった形で多岐に渡ります。

これはまさに、「困っている人に魚を与えるのではなく、魚釣りの方法を教える」という考え方でしょう。

この形式をとることで一時的な支援ではなく、持続可能な社会を形成するための支援ができるのです。

また私たちが個人的にできる取り組みとしては、「チャイルド・スポンサーシップ」に加入し、月々4,500円を支払う方法があります。

ワールド・ビジョンの活動を金銭面で支援することができるのです。

具体的な活動や支援方法についてはワールド・ビジョンのHPにて詳細が確認できるので、是非目を通してみてください。

>>ワールドワイドビジョンのHPへ

非感染症疾患による死亡率を減少させる

次は非感染症疾患について触れていきます。

まずは非感染症の定義を確認しましょう。

WHOによると、不健康な食事や運動不足・喫煙・飲酒などが原因の疾患で、生活習慣の改善により予防可能なものをまとめて非感染症としています。

(「Non-CommunicableDiseases」の頭文字を取り、NDCsと呼ばれています。)

2018年WHOのファクトシートによると、非感染症は全世界の死因の1位を占めており、実に71%にあたる4,100万人が命を落としているのが現状です。



また、3.4の文面を読んだだけではわかりませんが、この中には自殺による死者を減少させることも含まれていて、達成への指標は自殺率で判断されます。

自殺率は10万人あたり◯◯人と表記され、WHOが発表した統計によると、2016年は世界平均で10万人あたり10.5人がみずから命を絶っていました。

日本では、2019年は10万人あたり16.5人が自殺により亡くなっていて、世界平均よりも高い数値です。(厚生労働省が発表した2019年の自殺対策白書参照)

自殺の原因としては、経済苦・病苦の他にもうつ病やアルコール依存・薬物依存などが挙げられ、ターゲット3.5(薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する。)との関わりも深くなっています。

また、労働環境の悪さにより自殺してしまうケースもあるため、企業は従業員が働きやすい環境を作ることも必要でしょう。

◆企業の取り組みをチェック
ここで、美容とサービスを通じて健康寿命増進を目指している株式会社ピー・エス・インターナショナルの取り組みを見てみましょう。
 

自社サービスで健康寿命増進に貢献!株式会社ピー・エス・インターナショナル




株式会社ピー・エス・インターナショナルは、化粧品の輸入やエステサロンの経営などを通して美を提供している企業です。

ここでは、「メディカルアロマセミナー」「アロマセミナー」「美腸エステ」を、8年間で合計14,000人以上に講習・施術してきました。

また、「美腸セミナー」も開催しており、年間3,000人以上が受講しています。

美を通して内面からの健康を促進する活動と言えるでしょう。

このように、企業の取り組みと健康をリンクさせられることができれば、目標3の、特にターゲット3.4への達成に貢献することができるのです。

>>株式会社ピー・エス・インターナショナルのHPはこちら

交通事故の死亡者数を半減させる


これまでの病気に関わるターゲットとは異なり、道路交通事故による死傷者についても言及されています。

2018年にWHOが発表した報告によると、道路交通事故による世界の死傷者は、年間135万人に上り、10万人あたり18.2人の確率で命を落としています。

特に途上国の数値が高く、日本の数値は10万人あたり4.1人だったのに対し、アフリカ全体では10万人あたり26.6人とかなりの差があることがわかります。

◆途上国の数値の高さの要因の1つは政策の未熟さ

死者の半数以上は歩行者・自転車・オートバイに乗っている脆弱な道路利用者で、アフリカではこれらの弱者を守る政策が不足しているのです。

今後、インフラ整備はもちろんのこと、交通規制・安全に関する教育を促進させることが重要です。

もちろん日本国内でも道路交通事故の死傷者を減らしていかなければなりません。

日本の企業が実際に行なっている取り組み内容を見ていきましょう。
 

企業の取り組み


主にこのターゲットに取り組んでいるのは、やはり自動車業界や運転が業務の中心となる運送業界です。

◆自動車の安全性向上 トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社では、自動車業界全体で車の安全性の向上を目指すことに着目。

車の衝突実験において人体傷害を解析できる「バーチャル人体モデル」を開発し、2021年から無償で公開予定です。

「バーチャル人体モデル」により実験にかかる期間や費用を抑えられれば、より多角的に研究を進めることができます。

これまで難しかった状況での衝突実験も行え、安全な自動車の生産につながりそうです。

◆安全運転の指導強化 アートコーポレーション株式会社


アートコーポレーション株式会社では、引越車にデジタル運行記録装置やドライブレコーダーを搭載。

運転に関わる負荷や速度・時間を記録してデータ化することは、万が一事故が起きた際に、どのような運転状況によって引き起こされたものなのかが分かり、その後の対策に活かせるのではないでしょうか。

保険サービスを必要な時に適切な費用で受けられるように


ここで押さえておきたいキーワードは、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)です。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)とは、「すべての人が、健康増進、予防、治療、機能回復に関する保健サービスを、必要な時に負担可能な費用で受けられる状態」のことを指します。

これは、目標3のすべてのターゲットを達成するために重要な項目です。

そこでここではユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)について説明していきます。
 

3つのアクセス


引用元:公益財団法人ジョイセフ「UHC day」

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成には、次の3つのアクセスの改善が必要だとされています。

①物理的アクセス
②経済的アクセス
③社会慣習的アクセス

1つずつ簡単に内容を見ていきましょう。

①物理的アクセス
物理的アクセスとは、・地域に医療機関がない・医師や看護師がいない・医薬品・医療機材がないなど身近で医療サービスを受けられない状態を指し、この改善が求められています。

②経済的アクセス
経済的アクセスとは、・医療費の自己負担が高くて払えない・受診するための交通費が高い・病気によって働けなくなり、収入が減るなどの状態を指します。

世界では、毎年およそ1億の人が医療費の支払いにより貧困に陥っており、約8億の人が家庭の約1割の収入を医療サービスに費やしています。

③社会慣習的アクセス
社会慣習的アクセスとは、・医療サービスを受ける必要性・重要性を知らない・治療を受けたくても周囲の理解が得られない・言葉が通じないなどの状態のことです。
 

UHC達成の指標


では、このユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成進捗はどのように測られているのでしょうか。

もっとも有名な指標の一つに、WHOが用いているUHCキューブというものがあります。

引用元:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と市⺠社会の取組み 〜誰⼀⼈取り残さない UHC を目指して〜

これは立方体のそれぞれの辺が、カバーされている人口・コスト・保健サービスを表しており、この割合が大きければ大きいほどユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)が達成されていると判断できます。

◆日本の達成状況
実はSDGsが採択されてから、日本が力を入れて取り組んでいる1つにこのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)が挙げられます。

引用元:ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と市⺠社会の取組み 〜誰⼀⼈取り残さない UHC を目指して〜

日本のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成状況を見てみると、

・国民のほとんどが保健医療にアクセスできている
・医療サービスも一定のクオリティにある
・費用もだいたいが支払い可能額内で収められる

ということもあり、達成状況は高い水準です。

日本は世界の平均寿命ランキングの常連であることもあり、その取り組み内容を世界に発信することで他国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成にも貢献しています。

とはいえ、日本国内でも少子高齢化による財源の低下や山間部の過疎地域への医療サービスの提供・交通のアクセスなど、課題は山積みです。

今後官民が連携をして解決に取り組むことが必要です。

ここで、山間部地域の交通アクセス改善にすでに取り組んでいる長野県伊那市をご紹介します。
 

パートナーシップで交通アクセス改善 長野県伊那市




長野県伊那市は、MONET Technologies(モネ・テクノロジー)株式会社・フィリップジャパンと協業し、通院が困難な方への支援を開始しています。

長野県伊那市は、長野県で3番目の広さの面積であること・医師不足であることなどから通院の負担が課題となっていました。

そこで、市民の自宅へ看護師が乗った診察車が赴き、車に乗るとオンラインで医師から診療を受けられるような取り組みを開始。

これにより患者の移動負担がなくなり、加えて医師は広い市内を行き来する時間を削減でき、外来や緊急性の高い患者の治療に当たれるようになりました。

このように、医療の側面だけではなく、交通の面からユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に貢献することも可能なのです。

コロナとSDGs目標3の関係



最後に新型コロナウィルスとSDGs目標3についての関係を確認していきましょう。

SDGsの169のターゲットのなかには、新型のウィルスの対処に関する記述はありませんでしたが、とりわけ関わりが深いであろうターゲットとして下記が挙げられます。

 3.3 

 「2030年までに、エイズ、結核、マラリア及び顧みられない熱帯病といった伝染病を根絶するとともに肝炎、水系感染症及びその他の感染症に対処する。」

3.4

 2030年までに、非感染性疾患による若年死亡率を、予防や治療を通じて3分の1減少させ、精神保健及び福祉を促進する。

3.8

 すべての人々に対する財政リスクからの保護、質の高い基礎的な保健サービスへのアクセス及び安全で効果的かつ質が高く安価な必須医薬品とワクチンへのアクセスを含む、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成する。

特に3.8にあるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)は、今回のコロナ禍で課題が浮き彫りになりました。
 

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)と新型コロナの関わり


先ほど説明した通り、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)はすべての人が、健康増進、予防、治療、機能回復に関する保健サービスを、必要な時に負担可能な費用で受けられる状態です。

しかし、日本国内での出来事を思い出してみると、

・マスクや消毒液が品薄になり入手しにくい状態が続いた
・医療用防護具や人工呼吸器が不足
・PCR検査が十分に受けられない

などの問題が発生し、さらには新型コロナに感染しても検査を受けられずに孤独死したニュースが流れることもありました。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成度が高いとされていた先進国でも、医療へのアクセスができないといった事態を招いてしまったことは今後の課題となるでしょう。

そして、新型コロナウィルスに感染していない場合でも、長期に渡る自粛期間により心身の健康が損なわれてしまう問題も散見されました。

これについては様々な企業や自治体が課題解決に向けた取り組みを展開しています。

その一例として、大阪府堺市の事例を紹介します。
 

大阪府堺市〜施設入所者と家族等とのデジタル面会の支援〜




2020年4月、入所型の福祉施設(介護施設・障害者支援施設・児童養護施設)では新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、面会を制限。

これにより、家族の不安はもとより、本人たちの不安や寂しさ・高齢者のフレイル(身体的機能や認知機能の低下)が懸念され、不安やストレスの軽減を図る必要がありました。

そこで、大阪府堺市は希望者に無料でタブレット端末を貸し出し、オンラインでの面会を実現。これによりしゃべる機会を確保し、ストレスの緩和に努めました。

このように、コロナ禍という誰もが経験したことのない状況で、手探りではあるものの、行政や企業が連携をとりながら全員で課題解決に向けた取り組みを進めていく必要があります。

できることから始めよう



SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は妊産婦・子供の死亡率の改善から非感染症への対策・ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)まで幅広い内容となっており、取り組みを強化していく必要があることがポイントとして挙げられました。

企業の立場からすると、途上国への支援・従業員の健康の確保・自社サービスを利用しての健康推進など、取り組めることは多数あるのではないでしょうか。

個人の立場でも、目標達成に向けて自分ができることを探し実践することで、目標3の達成を加速させられます。

持続可能な社会を作り上げられるよう、力を合わせて行動していきましょう。

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