SDGs4「質の高い教育をみんなに」とは?現状や取り組み・私たちにできること

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持続可能な世界の維持を目的としたSDGs(持続可能な開発目標)とは、SDGs17の目標とそれを達成するための169の具体的なターゲットから構成されます。

1つ1つの目標は印象的なSDGsアイコンで示されており、その中の目標4では「質の高い教育をみんなに」と設定されています。SDGsにおいて教育の目標はどのような背景で設定され、何を解決するものなのでしょうか。

ますはSDGsについて簡単におさらいしていきましょう。
 

目次
1.SDGsとは?
2.SDGs 目標4「 質の高い教育をみんなに」とは?
3.世界の教育に関する現状
4.教育格差が引き起こす深刻な問題
5.【インタビュー】世界の教育現場での取り組み事例
6.各企業・団体の取り組み事例
7.日本にも教育の課題は存在する
8.教育の問題解決のために、私たちにできること
9.実際に行動することが大切

SDGsとは


SDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

そのなかで設定された17の目標は、課題解決の糸口になるものです。

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」は、教育における男女の差別や貧しい国・地域の子どもたちが満足に教育を受けられていない現状など、人の学びに関するあらゆる問題を解決する内容となっています。

ではここからはそのSDGs目標4について掘り下げながら見ていきましょう。

>>SDGsをさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

 SDGsとは|概要や背景・日本や世界の取り組みまで 

 SDGs17の目標を1つずつ解説!世界や日本の現状を理解できます 

SDGs 目標4「 質の高い教育をみんなに」とは?



国際連合広報センターによると、「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ものと表記されています。

つまり、世界中の人たちが、生まれた国や地域・家庭・性別に関わらず、効果的な教育を平等に受けることができる機会を提供しようという目標です。

>>ユニセフがまとめている具体的な10のターゲットはこちら

この目標は、主に教育環境整備を目的としたEFA(万人のための教育)の成果とSDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)の反省点を活かしたもので、教育の質と量どちらにも触れていることが特徴です。

【参考】SDG4 形成過程の言説分析に基づくグローバル・ガバナンス再考(名古屋大学アジア共創教育研究機構教授山田肖子さん)より

SDGs目標4のターゲット

ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:4.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:4.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。
まずは一通り目を通してみましょう。

 4.1   2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする。
 4.2   2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、質の高い乳幼児の発達・ケア及び就学前教育にアクセスすることにより、初等教育を受ける準備が整うようにする。
 4.3   2030年までに、すべての人々が男女の区別なく、手の届く質の高い技術教育・職業教育及び大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにする。
 4.4   2030年までに、技術的・職業的スキルなど、雇用、働きがいのある人間らしい仕事及び起業に必要な技能を備えた若者と成人の割合を大幅に増加させる。
 4.5   2030年までに、教育におけるジェンダー格差を無くし、障害者、先住民及び脆弱な立場にある子どもなど、脆弱層があらゆるレベルの教育や職業訓練に平等にアクセスできるようにする。
 4.6   2030年までに、すべての若者及び大多数(男女ともに)の成人が、読み書き能力及び基本的計算能力を身に付けられるようにする。
 4.7   2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
 4.a   子ども、障害及びジェンダーに配慮した教育施設を構築・改良し、すべての人々に安全で非暴力的、包摂的、効果的な学習環境を提供できるようにする。
 4.b   2020年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、ならびにアフリカ諸国を対象とした、職業訓練、情報通信技術(ICT)、技術・工学・科学プログラムなど、先進国及びその他の開発途上国における高等教育の奨学金の件数を全世界で大幅に増加させる。
 4.c   2030年までに、開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国における教員研修のための国際協力などを通じて、質の高い教員の数を大幅に増加させる。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

世界の教育に関する現状


日本は小中義務教育で教育を受ける権利が保障されている一方で、世界的に見ると世界中で学校に通えていない子どもは2億6,500万人(2018年2月時点)いるとされています。

現在世界で起きている貧困・飢餓・健康・ジェンダーなど多くの問題に、教育が密接に関わっているからです。

これは日本の人口およそ2倍にあたる数で、そのうち22%は小学校就学年齢の子どもだそうです。

なぜそれほど多くの子どもたちが満足に教育を受けられないのでしょうか。

主に5つの原因が考えられます。

満足な教育が受けられない原因①環境が整っていないから

住んでいる場所から通える範囲に学校がない、生徒の人数に比べ先生の数が足りていない。

そのために、十分な能力のない人が先生になり、教育の質を担保できていないといった問題があります。
 

満足な教育が受けられない原因②労働力としてカウントされているから

水を汲みに行く、兄弟の面倒を見るなど、家庭の一労働力としての働きを求められているため、学校で教育を受ける時間や余裕がありません。
 

満足な教育が受けられない原因③お金がないから

学校に入学できたとしても、教材費や制服費など、学校に通うにはそれなりのお金が必要になります。

家庭に十分なお金がなく、買うことができない、中にはその事実を恥ずかしく感じ、学校に行けなくなってしまう生徒も多いのだそうです。
 

満足な教育が受けられない原因④教育への意識や考えが異なるから

親や子どもの周辺にいる人自体が教育を受けていない場合は、学校に通わせる必要性を感じられないこともあります。

また、女の子は教育を受ける必要がないという考え方を持つ人もいます。
 

満足な教育が受けられない原因⑤戦争や紛争のため

せっかく教育を受けられていても、戦争や紛争のため他国に逃れ難民になったことで、教育を絶たれてしまうケースもあります。

また軍隊に所属した18歳以下の子ども=「子ども兵士」問題も影響しています。アジアやアフリカ、中東などで現在も確認されており、その数は25万人以上とも言われています。

(参考:ユニセフ「世界的教育危機 学校に通えない子どもと若者、2億6,400万人 これまでの成果と安定を揺るがす事態」,ワールドビジョン「教育問題3つの原因と解決策。開発途上国の子どもたちにできることは?」,JICA「学校に行けない子どもたち」)
 

教育格差が引き起こす深刻な問題




では、満足に教育を受けられないと、いったいどんな悪影響があるのでしょうか。

読み書きや計算を学ぶ機会を得られない

世界では、小学校学齢期の子どもの約2億人が基礎的な読み書きを習得していません。

教育の機会が行き届かないことで、生活に必要な情報や知識を得ることができず、毒を飲んでしまったり、臓器売買の被害にあうケースもあります。
 

安定した職につけない

教育を受けていないことで、安定した職につく機会を得られない、必要な技術を習得することができない、という問題が起きます。

そのため、不安定な職に就き収入も限られるなど、負の連鎖から抜け出すことができなくなります。
 

「質の高い教育」が無ければ女子と子供の死亡リスクが高まる

教育格差の影響は、女性や子どもの命にも直接関わってきます。
2019年のユニセフのデータでは、5歳の誕生日を迎えるまでになくなってしまう子供の数は年間520万人と出ています。6秒にひとり、1日に約1万4,000人の5歳未満児が命を落としていることになるのです。
彼らの死亡原因のほとんどは、先進国では見られない予防可能な病気です。ですが、女性の教育が行き届いていないために、予防すらできていないという現状があります。

特に後発開発途上国の女性に基本的な教育が行きわたれば、読み書きができるようになり、薬や粉ミルクを正しい分量で子どもに与えることができたり、伝染症や病気の予防ができたり、計画的に子どもをつくることができたりします。

教育で知識をつけることが、直接的に人の命の守ることにつながるのです。
(参考:ユニセフの主な活動分野|保健|主要データ
(参考:国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン「乳児死亡率が高くなる原因は? 生まれた日に亡くなる子どもは世界で90万人」
(参考:ユニセフ基礎講座「なぜ女子教育を促進するのか」

 

【インタビュー】世界の教育現場での取り組み事例



百聞は一見に如かず、と言う言葉があるように、実際に目で見て触れた情報は何倍も価値があります。

ここでは、特例認定NPO法人e-Educationの元事務局長薄井大地さんと国際NGOワールド・ビジョン職員の與十田喜絵さんに、SDGsの教育について印象に残ったエピソードを語ってもらいました。
 

【薄井大地さん】
早稲田大学政治経済学部卒業。特例認定NPO法人e-Educationの元事務局長で、NPOや企業・行政との連携も経験。現在は松下政経塾の塾生として、あらゆる組織や団体の垣根を越えて、「あらゆる生きづらさが最小化される社会」を目指している。

 

【與十田喜絵さん】
都立国際高校在学中、多様なバックグラウンドを持つ友人に出会う。津田塾大学に在学中、外国籍を持って日本に暮らす子どもをサポートするサークル活動に参加。卒業後は一般企業に勤務したが、2006年ワールド・ビジョン・ジャパンに入団。ファンドレイズ、支援者サービス部署を経て、現在は広報を担当。

 

教育の環境整備は意識改革から

(以下、薄井さん)
フィリピンで生徒へのヒアリングをしていた時、平日はパン屋で働き、週末にオープンハイスクールで教育を受ける17才の男子生徒と出会いました。

テスト期間の時のこと。平日に行われるテストがあったため雇い主に休みをもらいたいとお願いしても、仕事よりも学校を優先する考えが分からない、と理解を得られなかったことがありました。

ここでは、学校に行くことが正ではないのだと感じました。
 

オープンハイスクールとは、平日に学校に通うことができない子どもを対象に、週末に通学の機会を提供し、中等教育課程の修了を支援するシステムのこと。

 

教育にかかるお金の問題

(以下、與十田さん)
インドのある村を訪問した時のこと。家畜としてヤギの支援を受けた家のお母さんが、「支援で家計に余裕ができ、子どもが学校を辞めずにすみました。成績もあがったんですよ」と、嬉しそうに語ってくれたのが印象的でした。

ワールド・ビジョンが支援する地域は、小学校さえ通い続けられずに中退してしまう子どもがいます。家が貧しく、食べていくために働かなければいけない、学用品を買う余裕がない等がその理由です。
 

肌で感じた貧しさ




(以下、與十田さん)
台風による被害を受けたフィリピンのある村を訪問した時、出会った女の子のことが忘れられません。

両親はおらず、祖母に育てられている小学生のCちゃん。台風のときに家が全壊してしまい、近所の人に手伝ってもらって建てたという簡素な家に住むCちゃんは、10歳とは思えないほど小さく、痩せていました。

村の人が「台風直後の緊急食糧支援があったとき、子どもの体重が増えた。また台風がくれば食料が支援してもらえて助かる」と、冗談のように話していたことと、目の前のAちゃんがリンクしました。

Cちゃんには高校を中退してしまったお姉ちゃんがいました。今は小学校に通っているAちゃん。

この先も学校に通い続けられるだろうか、お姉ちゃんはこの先どうするのだろう…と、心配になりました。

日本の教育環境が当たり前ではないことを痛感しますね。SDGsの教育目標を達成することが、他の目標到達にも大きく影響してきそうです。
 

各企業・団体の取り組み事例




さてここからは、「質の高い教育をみんなに」を実現するため、各企業や団体が実際に行っているSDGsの教育に関する事例を紹介していきます。

SDGsの取り組みを知ることで企業の見方も変わってくるのではないでしょうか。
 

三菱自動車|フィリピンの小学校にて新校舎建設


三菱自動車STEP募金(三菱自動車グループ社員有志による募金) ・三菱自動車工業株式会社、そして国際NGOのワールド・ビジョンにより、フィリピンのサマール州サンタリタ市にあるカマイシ小学校に新校舎が建てられました。

この小学校は3年前から教室が足りず、また天災の被害もあり、完成を心待ちにしていたそうです。

この新校舎により、今まで2学年で1つの校舎を使っていた状況が改善され、学齢に応じた教育を受けられる環境が整いました。

(参考:三菱自動車「三菱自動車が校舎建設を支援したフィリピンの小学校で開校式を開催」)
 

パナソニック株式会社|カンボジアにソーラーランタン寄贈で識字率アップ




パナソニック株式会社は、2013年から「ソーラーランタン10万台プロジェクト」(2018年以降は、「みんなで“AKARI”アクション」に引き継いでいます)と題し、成人のための識字教室で使用するソーラーランタンを寄贈しています。
 

◆カンボジアの抱える教育課題

カンボジアの農村部では、政治や家庭の事情で教育を受けられず、文字が読めない人がたくさんいます。
 

◆取り組みの概要

上記のような15歳以上の非識字者を対象に、教室を開校しています。授業が始まるころにはあたりが真っ暗になるので、ソーラーランタンの光を頼りに、勉学に励んでいるようです。

パナソニック株式会社「ソーラーランタン10万台プロジェクト」の詳細はこちらから
 

ミズノ株式会社|ミズノヘキサスロン運動プログラムを初等義務教育へ




ミズノ株式会社は、独自で開発した運動プログラムをベトナム社会主義共和国の教育訓練省とともに、初等義務教育に導入する取り組みを行っています。
 

◆ベトナムの抱える教育課題

ベトナムはほかの先進国に比べ、体育の授業時間が少ないことや、運動プログラムの多様性に欠けることなどが課題であり、子供の肥満率も40%を超えています。
 

◆取り組みの概要

運動発達に必要な36の基本動作を楽しみながら身につけられる、子ども向け運動遊びプログラム「ミズノヘキサスロン」導入の取り組みは、現地の教育訓練省副大臣からも、期待を寄せられています。

以下ミズノ株式会社ニュースリリースより引用

“ 「ミズノ ヘキサスロンは、スポーツを体験したことがなく運動が苦手な子どもでも楽しく、遊び感覚で走る、跳ぶ、投げるなど基本的な動作を自然と身につけられる運動遊びメニューと運動能力測定を組み合わせた運動プログラムです。最初に運動能力測定を行うことで、運動能力のレベルや得意な動作・不得意な動作を確認します。その後、基本的な動きの習得から様々なスポーツの動きにつながるよう段階を踏んで進められる運動遊びメニューを実践し、再び運動能力測定を行い前回からの成長を確認するという流れを繰り返します。」
「今回のミズノヘキサスロンの導入により、ベトナム全ての子供たちが心身ともに健全に成長するお手伝いをしていきたいと考えております。 より多くのベトナムの子供たちが、体を動かすことに喜びを感じ、心からの笑顔の花が咲くことを願っております。」
「…ミズノヘキサスロンが、ベトナムの小学生に実践的な利益をもたらし、小学校の体育教育及びスポーツ活動の質の向上に全面的に貢献していくことを切に願っています。」(ベトナム教育訓練省/副大臣 グェン・ティ・ギアさん)”

ミズノ株式会社「ミズノヘキサスロン」の詳細はこちらから

>>SDGs目標4と関わりが深い、健康についての目標の詳細は以下の記事をご参照ください。


 SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える|コロナ禍との関わりも

 

日本にも教育の課題は存在する

日本ではすべての子どもが性別や境遇に関係なく学校に通うことができます。
途上国と比べると、教育環境は満たされているようにも思いますが、そんな日本にも教育の課題はあるのです。

例えば、家庭の経済環境によって、「塾や習い事に行けるのか」「家庭に本や辞書がどれくらいあるか」など子どもが得られる学びの量や多様さが変わってきます。
実際のデータとして、世帯収入と子どもの学力の関係の調査では、世帯収入によってテストの正答率の差が最大20%も開いていることが明らかになっています。
世帯収入と子どもの学力
引用元:公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン

また、「不登校児童数の増加」も深刻な課題です。
文部科学省の2021年の調査結果では、小・中学校における不登校児童生徒数は19万人以上で、その数は年々増加傾向にあり、過去最大の数となっています。
いじめや家庭内ストレスなど様々な要因で不登校になっている児童や生徒がおり、保護者・教員だけでなく国をあげての細やかなサポートが必要です。

これらは一例ですが、日本でも教育に関する課題はたくさんあり、解決に向けて皆で取り組んでいく必要があるのです。

教育の問題解決のために、私たちにできること

企業や団体の取り組みは規模が大きく、非常にインパクトがあります。でも私たち個人でもSDGsでできることはたくさんあります。
 

本や映画で現状を知ろう




まず始めに大事なことは、現状を知ること。ここではおすすめのSDGsの本と映画をご紹介します。

先ほどの薄井さん・與十田さんからおすすめのSDGsに関連する本を伺いました。
 

『僕の「天職」は7000人のキャラバンになった マイクロソフトを飛び出した社会起業家の成長物語』ジョン ウッド (著) 矢羽野薫 (翻訳)



引用元:ダイヤモンド社「僕の「天職」は7000人のキャラバンになった マイクロソフトを飛び出した社会起業家の成長物語』ジョン ウッド (著) 矢羽野薫 (翻訳)」

(以下、薄井さん)
マイクロソフトの幹部社員だった著者が、休暇で訪れたネパールでの経験が転機となり、開発途上国の子どもたちに学びを提供するために立ち上がり奮闘した実話です。
 

◆おすすめしたい理由

ジョン・ウッド氏が立ち上げたNGO「Room to Read」のストーリーを通じて、開発途上国の教育課題やそれに対する政府や民間組織の取り組みが分かりやすく理解できます。

SDGsの教育はもちろん、全体像をまるっと知りたい方におすすめです。
 

『世界の果ての通学路』パスカル・プリッソン(監督)



引用元:世界の果ての通学路公式HP

(以下、與十田さん)
道なき道を何時間もかけて学校に通う4人の子どもたちを追った感動のドキュメンタリー映画です。
 

◆おすすめしたい理由

モロッコのイムリル谷近くの辺境の村に住む女の子は、4時間かけて学校に通います。

同じ時代に生まれたのに、育った場所が異なるだけでこんなに違う人生を歩むなんて、と衝撃を受けました。

教育環境が整っていない現状を知りたい方はぜひ見てください。

それでも夢に向かいひたむきに勉強する子どもたちから元気をもらえます。
 

『バベルの学校』ジュリー・ベルトゥチェリ(監督) 



引用元:「バベルの学校」公式HP

(以下、與十田さん)
24名の生徒、20の国籍。

フランスの多文化学校で繰り広げられる、10代の子どもたちの成長を描いたドキュメンタリー映画です。
 

◆おすすめしたい理由

私自身、みんな一緒をよしとする日本の教育に昔から違和感を覚えていました。

高校は日本語の苦手な帰国生や外国籍の子などが多くいる国際高校に通い、交流をする中で、これが世界だ!と、嬉しくなったのを覚えています。

この映画も『違っているからいい』のスタンスで、一人一人の可能性や力を引き出すために奮闘する先生や、成長する子どもたちを見ることができます。

教育の原点を考えたい方におすすめです。

>>SDGsに関するおすすめの本は以下の記事をご参照ください。


 SDGs本ならこれ!|おすすめの入門書&学生向け図書6選!社長の愛読書も公開 

 

寄付をしよう~月々1,000円からも~


情報を得るだけでなく、実際に行動したい!という方には寄付をおすすめします。

でも、「寄付先っていっぱいありすぎて、逆に選べない…」という声が聞こえてきそうです。そこで、與十田さんに選ぶポイントを教えてもらいました。


(以下、與十田さん)
教育に関する寄付と言っても、国内か国外か、またチャイルド支援や難民支援など、寄付の範囲や内容もまちまちで、選ぶのも難しいですよね。

ですので、まずはイベントに参加して、その団体で働く職員と触れ合ってみるのはどうでしょうか。

雰囲気や目指す方向性をじかに感じられると思います。

それが難しければ、たまたま目にした団体でもいいと思います。

私たちの支援者さんの中にも、広告を見て始めてみました、という方もいらっしゃいます。

あとは、とにかくやってみることです。

違うと思えば、別の団体に変えることも簡単にできますので。

ここでは、今回お話を伺ったお二人と世界的知名度の高い団体をご紹介します。
 

◆特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン

水・家族の生活・貧困・栄養・教育など32カ国で159事業の事業に取り組んでいるまさに「支援の世界的総合デパート」。

毎月や一回など募金の頻度やキャンペーンの種類が豊富で、あなたにぴったりの寄付先が見つかりそうです。

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパンのHPはこちら
 


 

◆特例認定NPO法人e-Education

「最高の教育を世界の果てまで」というコンセプトのもと、途上国の子どもたちの教育を映像で支援しています。

また、寄付はもちろん、インターンやボランティアの参加、SNSをフォローしよう!など、様々な支援の方法を提示してくれていますので、是非一度ご覧ください。

特例認定NPO法人e-EducationのHPはこちら
 


 

◆公益財団法人日本ユニセフ協会

言わずと知れた、世界中の子どもたちの命と健康を守るために活動する国連機関であり、SDGsの教育のゴールへ向けても尽力しています。

ワールド・ビジョン同様、毎月や一回など募金の頻度が選べます。

内容も、「ユニセフ募金」「緊急・復興募金」「分野・地域指定募金」と3つの中から自由に選択できます。

公益財団法人日本ユニセフ協会のHPはこちら
 

市役所に行ってみよう




最後は、色々な国の現状や価値観に触れることができる身近な方法をご紹介します。

(以下、薄井さん)
「市役所…?」と思われた方が多いのではないでしょうか?

市役所や町・村役場などには外国人向けの窓口があります。

そうした自治体では、地域に住む外国の方が住民と交流できるようなイベントやボランティア機会の案内がされています。

実際に日本以外の方と触れ合うことで、様々な価値観に触れることができます。

各国の教育事情も、生まれ育った人から話を聞くことは何倍も価値があり、気づきが多いと思います。

その過程で気になったことをインターネットで調べながら深め、また次の行動に移していくといいのではないでしょうか。

ご紹介した3つの提案の中で相性の良さそうなものがあれば、是非実践してみてください。

実際に行動することが大切



ここまで読んでいただきありがとうございます。

SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」といっても、様々な問題が絡み合っており、簡単には達成できないかもしれません。

しかし、一人一人が現実を知ってアンテナを高くし、ほんの少し行動を変えていけば、それはきっと簡単には折れない強固な力になるはずです。

その初めの一歩を今日、踏み出してみませんか?
 


※名古屋大学アジア共創教育研究機構教授山田肖子さんが説明する目標4の特徴

“ 「教育分野では、EFAの成果に基づき、更に開発を推進するため、初中等教育や就学前教育へのアクセスの拡大とともに、高等教育や職業技術教育、成人識字教育にも目配りがされた。同時に、従来の議論から大きく転換した点として、教育の質を、教育制度への投入から間接的に測定するのでなく、学習者自身の能力の向上を測定するという、新しい領域に入っていこうとしたことが挙げられる。」

「…EFAには6つの目標があり、全体として包括的な教育開発を目指していたにもかかわらず、 MDGsにはその一部である「基礎教育の完全普及」と「ジェンダー平等」しか盛り込まれなかった。そのことは、資金や政策的優先付けの点で、 他の多くの教育課題が手つかずで残される結果をもたらした。(Interviewee4; Shaeffer2014)』こうした反省から、EFAの後継目標は、SDGsの中に完全な形で取り入れられるべきであり、そのためにあらゆる努力をしなければならない、とグローバルな議論の中心にいた人々は考えていたのである。」”
【引用元】SDG4 形成過程の言説分析に基づく グローバル・ガバナンス再考/山田肖子 著
 
>>【合わせて読みたい】SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」と関わりを持つその他の目標
 SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考える|世界の現状や日本の取り組みも 

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