スキンケア用品の合う・合わないが多い敏感肌。
手間とお金をかけて購入した商品が肌に合わないとがっかりしてしまいますよね。
実際、筆者(Ns)が美容皮膚科クリニックに勤めていた際にも、
「時間をかけてリサーチしたのに、実際に使用したら肌に合わなかった...」
「これまで使っていた商品なのに急に肌が荒れるようになってしまった...」
などと悩む方は多くいらっしゃいました。
この記事では、そんな敏感肌さんに向けたおすすめクレンジング剤を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
敏感肌とは
敏感肌とは、取り立てて刺激が強いわけではないものに対してでも、赤みやひりつきなどの皮膚トラブルが起こりやすい肌のことを指します。
ただし、医学的には「敏感肌」という診断名や定義はありません。
敏感肌と一口に言っても、症状やその程度は個人個人によって大きく異なります。
そのため、慢性的な皮膚トラブルに悩んでいても「これくらいで病院に行っても良いのかな...」と受診を迷う方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、症状がある場合に皮膚科を受診することは良い選択です。
適切な治療は皮膚トラブルを落ち着かせてくれるでしょう。
しかし、通院を終えたら再発してしまう場合もあるため、治療だけでは根本的な解決には至りません。
敏感肌の方は、日々の暮らしの中で皮膚トラブルの原因を取り除いていくことが大切です。
皮膚のバリア機能の低下が敏感肌のもとに
皮膚は表皮、真皮、皮下組織(脂肪細胞など)の3層からなる臓器で、バリア機能や体温調整機能、知覚機能(触覚や冷覚、温覚、痛覚など)、分泌機能(汗や皮脂など)などといった機能を備えています。
すべてが大事な機能ですが、敏感肌の方にとって特に関係があるのが「バリア機能」です。
バリア機能とは、外的刺激から体を守ったり体の水分の蒸発を防いだりする機能です。表皮の最表面に位置する「角層(角質層)」が、その役割を担っています。
しかし、角層は約0.02mm(ラップと同等の厚さ)と非常に薄いため、容易に傷ついてしまう組織でもあります。
角層が傷つくと皮膚のバリア機能が低下し、ちょっとした刺激でも皮膚トラブルが出現しやすくなってしまいます。
そのため、皮膚トラブルを予防・改善するには、角層のバリア機能を維持することが重要です。
次では、皮膚のバリア機能を弱める要因について確認していきましょう。
参考元:皮膚のうるおいを保つ物質とバリア機能|製薬会社のマルホ
皮膚のバリア機能を弱める要因
皮膚のバリア機能を低下させる要因は、大きく2種類に分けることができます。
これら2つの要因は単独でも皮膚トラブルを引き起こす原因となりますが、敏感肌の方はどちらもが複雑に絡み合っていることもあります。
皮膚トラブルが起こりやすい方は、「①どのような状況下で症状が出現するのか」を確認し、「②日々の暮らしの中で、該当する要因を改善または排除する」よう心掛けることが大切です。
例えば、生理前や睡眠不足で肌が不安定になりそうな時は、メイクはせずに日焼け止めだけ塗って肌の負担を減らす、といった行動も有効です。
また、敏感肌の方は、落としにくい化粧品を使わないことも選択肢の1つに。
顔、特にまぶたの皮膚は薄いため、毎日行うクレンジングは肌への負担が大きくなってしまいます。お湯や石鹸で落とせる化粧品を使うのも良い手段でしょう。
とは言え、お湯や石鹸で落とせる化粧品は限られています。皆さんが今お使いの化粧品も、クレンジングが必要なものが多いのではないでしょうか。
参考元:敏感肌とは | NOV
敏感肌の方は注意が必要!肌に優しいクレンジングとは
先述した通り、化粧品も皮膚トラブルの原因となるため、クレンジングで綺麗に落とす必要があります。
しかしクレンジングも、①肌に直接使用する、②肌をこする(摩擦)、といった皮膚のバリア機能を低下させる要因が揃っており、敏感肌を悪化させるリスクがあります。
そのため、敏感肌の方は特にクレンジング剤の種類や使用方法に注意を払う必要があるのです。
クレンジング剤の種類に注意!
市販されているクレンジング剤は大きく5種類に分類されます。
商品によりますが、クレンジング剤は①ふき取りシートタイプ、②オイルタイプ、③ジェルタイプ、④クリームタイプ、⑤ミルクタイプ、の順で肌への刺激が強いと言われています。順番に特徴を見ていきましょう。
①ふき取りシートタイプ
ふき取りシートタイプのクレンジング剤は、どんな場所でもメイクを落とせる利便性がメリットです。
その一方で、
・肌をこする必要があるため、肌が傷つきやすい
・界面活性剤やアルコールを使用している商品が多く、他のクレンジング剤と比べて肌への刺激が強い
といったデメリットもあります。
敏感肌の方は、日常遣いを避け、外出先や旅行など「ここぞ」というタイミングで使用するのが良いでしょう。
②オイルタイプ
オイルタイプのクレンジング剤は、落としにくいメイクも短時間でしっかりとオフできる洗浄力の高さが魅力的です。
しかし、同時に過剰に皮脂を落としてしまうことも。
筆者が勤めていた美容皮膚科クリニックでは、肌が乾燥しやすい方には、オイルタイプのクレンジング剤はなるべく使用しないようにと医師が推奨することもありました(※患者さんの肌の状態や医師の治療方針にもよります)。
オイルクレンジングをする際は、
・全顔には使わず、ポイントで使用する(皮脂が気になる箇所、メイクが濃い箇所など)
・毎日の使用ではなく、落としにくいメイクの時だけ使う
・クレンジング後の保湿はしっかり行う
などといった工夫をすると良いでしょう。
③ジェルタイプ
洗浄力が中間のジェルタイプは、もったりとしたテクスチャーが特徴です。手と肌が密着せずに洗浄できるので、摩擦が少なくメイクを落とせます。
ジェルクレンジング剤は油性タイプと水性タイプの2種類が販売されています。
油性タイプは成分にオイルが多く含まれているため、水性タイプよりも洗浄力が高いと言えるでしょう。
水性タイプはオイルが含まれていない(または少量含有)ため、まつ毛エクステをしている方にも使えます。ただし界面活性剤が多く使用されていたり、洗浄力が弱めなことも。
含まれている成分に気を配って購入したり、ポイントメイクリムーバーなどを併用することがおすすめです。
④クリームタイプ
適度の油分が含まれているクリームタイプは、洗浄後に肌が乾燥しにくいのが特長です。
商品にもよりますが、クリームクレンジングは手と肌が密着しにくいため、肌への負担を抑えた洗浄が可能です。
デメリットは洗浄力が弱めであること。落としにくいメイクの時は洗浄に時間がかかってしまったり、無意識のうちにゴシゴシ擦ってしまったりすることがあるため注意しましょう。
⑤ミルクタイプ
クリームタイプよりも水分が多いミルクタイプは低刺激の製品が多く、肌に優しいクレンジング剤と言えるでしょう。
その分、洗浄力は5種類の中で一番弱く、しっかりメイクの場合は洗浄しきれないことも。
しっかりとメイクをした日は、ポイントメイクを専用リムーバーで落としてからミルククレンジングをするようにしましょう。
メイクや肌の状態での使い分けが大切!
結論として、敏感肌の方は肌が乾燥しにくい「クリームタイプ」や「ミルクタイプ」のクレンジング剤の使用がおすすめです。
ただし、体調や季節、日々のケアなどによって皮膚の状態は変化しています。
クリームクレンジングが絶対!という訳ではありませんので、肌やメイクの状況に合わせてクレンジング剤を使い分けられると良いですね。
肌に優しいクレンジング方法
また、クレンジングはメイクや肌の状態に応じて適切な種類を選ぶだけでなく、正しい方法で行うことが大切です。不適切なクレンジングは、洗浄後のメイク残りが生じたり、しわやたるみ・色素沈着にも繋がってしまう恐れがあります。
この章では肌に優しいクレンジング方法を簡単に説明しますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
①手を清潔にする
先述した通り、敏感肌の方は肌のバリア機能が弱っている状態です。そのため、雑菌やウイルスの影響も受けやすくなっています。
手に付着した菌やウイルスを顔にうつさないよう、クレンジング前に手を清潔にしましょう。
②予めポイントメイクを落とす
お湯や石鹸で落とせない化粧品を使っている場合、アイメイクやリップなどは予め専用のリムーバーで落とすようにしましょう。
ただし絶対に「こすらない」こと!
リムーバーで湿らせたコットンで優しくおさえて拭き取るようにしましょう。
③クレンジング剤を適量とる
クレンジング剤の適量は商品毎に異なります。明記されている使用量を守るようにしましょう。
クレンジング剤の量が少ないと摩擦やメイク残りが生じる場合があり、量が多いとすすぎに時間がかかり肌に負担となる可能性もあります。
④クレンジング剤をメイクになじませる
続いて、クレンジング剤をメイクになじませていきましょう。
注意点は力を入れすぎないこと。指先だけでは力が入りすぎてしまうため、手のひら全体でクレンジングをなじませます。(鼻のきわや目尻などは力が入りにくい薬指や小指で優しく洗いましょう。)
なじませるときは、手が肌に直接触れないようにすることもポイントです。クレンジング剤だけが肌の上を動くよう、優しく円を描いていきましょう。
なお、長々としたクレンジングは肌の負担になります。クレンジングは1〜2分ほどで行うよう意識してみてくださいね。
⑤すすぎは体温より少し低めの温度でしっかりと
水温が高すぎると肌の乾燥へと繋がります。
クレンジング後のすすぎは、体温より少し低めの水温(33~35℃ほど)のぬるま湯で行いましょう。
ダブル洗顔は肌荒れの原因になりやすい?
クレンジング剤によっては、ダブル洗顔(クレンジング+洗顔)が不要なものも販売されています。
ダブル洗顔不要のクレンジング剤は、時短になる他、肌への摩擦の機会が減ったり皮脂を取りすぎないといったメリットがあるため、肌が乾燥しやすい方におすすめです。
しかし、ダブル洗顔=肌への負担が強い、というわけではありません。クレンジング剤1本でOKの商品でも、それだけでメイクが落としきれない場合は皮膚トラブルの原因となってしまう可能性があります。
クレンジングや洗顔はあくまでも「その時の自分の肌の状態に合った商品」を「正しい方法」で使用することが大切です。
元美容皮膚科勤務・ライターNsがおすすめ!ネットやドラッグストアで購入できるクレンジング3選
最後に、敏感肌の筆者がおすすめのクレンジング剤を3点紹介していきたいと思います。
おすすめクレンジング①トリロジー ベリージェントルクレンジングクリーム(200ml)
ニュージーランドで生まれた「trilogy(トリロジー)」は、世界20ヵ国以上で愛されるスキンケアブランドです。コールドクリームのようなこってりしたテクスチャーの「ベリージェントルクレンジングクリーム」は、摩擦が少なくクレンジング出来る優れものです。
他にも、
・アーモンドオイルやアボカドオイルなどの植物油脂で、肌を保湿しながらメイクを落とせる
・敏感肌に向けた肌を落ち着かせる成分(シリカリム、グリーンティー)を配合している
といった嬉しいメリットも。
W洗顔も不要なので、乾燥やひりつきにお悩みの方に特におすすめな商品です。
◆1回あたりの使用量:4~6プッシュ
おすすめクレンジング②マルティナ シアーナクレンジングミルク
「肌自身の再生力を高める」ことを理念とするマルティナは、ドイツ生まれのオーガニックスキンケアブランドです。
保湿力に優れたシアバターが配合されている「シアーナクレンジングミルク」は、洗浄後の肌が乾燥しにくいのが嬉しいポイント。
さらには
・原料は自然由来100%
・石油系合成界面活性剤不使用
・原料の植物エキスを抽出時にも石油由来の溶剤を使用しない
というこだわりも。
肌をいたわりつつメイクを落とせるクレンジング剤です。
◆1回あたりの使用量:5~6プッシュ
おすすめクレンジング③ノブ Ⅲ クレンジングクリーム
NOV(ノブ)は、臨床皮膚医学に基づいて開発されたスキンケアブランドです。
皮膚科クリニック内やドラッグストアで商品を見かけたことのある方も多いのではないでしょうか。
敏感肌の方に向けたⅢシリーズは、皮膚のバリア機能を補う成分「セラミド」、「アミノ酸」、「スクワラン」を配合しており、体調や季節に影響されない肌づくりをサポートしてくれる商品です。
なお、Ⅲシリーズのクレンジングクリームは上記に加え、
・無香料・無着色・アルコールフリー
・保湿成分としてスクワランとヒアルロン酸配合
・肌荒れに有効な成分であるグリチルリチン酸2K配合
などといった特長も有しています。低刺激性ながらも肌をしっとり健やかに保てるクレンジング剤です。
◆1回あたりの使用量:サクランボ粒大
おすすめクレンジング④ParaDo(パラドゥ) スキンケアクレンジング
画像引用:ParaDo
保湿成分(ヒアルロン酸)と保水成分(MCキトサン)を配合し、洗い上がりの肌もしっとりとコーティングしてくれるようなクレンジングミルクです。
独自技術のアクアカプセル処方で、肌になじませたクレンジング成分がメイクを広い面でからめとるので、アイメイクもするんと優しくオフしてくれます。
どれを選べばいいか悩んだらまずはこれを使ってみるのもおすすめですよ。
おすすめクレンジング④ParaDo(パラドゥ) スキンケアクレンジング
画像引用:花王
肌の必須成分であるセラミドを守りながら優しく洗い、肌荒れしにくい肌へと潤いを保ちます。
落ちにくい口紅や毛穴の奥のファンデーション、日やけ止めをすっきりと落としてくれるやわらかなジェルタイプです。
肌を強くこすらなくてもメイクをするっと落とせるので、肌への負担がかかりません。
肌に優しいクレンジングで健やかな肌へ
皮膚トラブルの多い敏感肌は、スキンケア1つをとっても刺激になることも。
肌の調子を落ち着かせるには、正しいクレンジング方法と、クレンジング剤の使い分けが重要です。
優しく丁寧なクレンジングで、肌の調子を取り戻していきましょう!