歯ブラシのブラッシングに加えて、デンタルフロスを使用している方もいるのではないでしょうか。厚生労働省の調査*によると、デンタルフロスや歯間ブラシを使用している人は約半数と、2人に1人が歯間部のお手入れをしていることが分かっています。
フロスは、歯ブラシだけでは取れにくい歯の隙間の汚れをかき出すアイテムです。虫歯や歯周病の予防に効果的であるほか、口臭予防にもなります。とはいえ、さまざまな種類があり、何を選んだら良いか迷うこともあるでしょう。
そこで、フロスの選び方や、まだ数の少ない天然素材でできたフロスのメリット・デメリット、おすすめ5選をご紹介します。これからフロスを使う方も、これまで使用してきた方も、アイテム選びの参考にしてください!
一般的なフロスの素材は?
一般的なフロスに使われている糸の多くは、ナイロン、ポリエステル、ポリエチレンなど、石油由来の素材で作られています。また、フロスの持ち手やケースも、その多くがプラスチックです。こうした素材は環境に負担をかけるとして、世界的にも問題になっています。代表的な2つの問題を挙げてみます。
■二酸化炭素を多く排出する
石油由来の素材やプラスチックは、破棄された後に燃やすと二酸化炭素を排出します。二酸化炭素は温室効果ガスの1つです。気候変動の原因になるとして、排出を減らすことが課題になっています。
植物由来の素材もまた、燃焼時に二酸化炭素を排出します。ただし、成長の過程で二酸化炭素を吸収するので、排出量と合わせるとその量は多くないのが石油由来の素材との違いです。
■海を汚染する
プラスチックは、投棄されるなどして海に流れ着き、生物に被害を与えています。微生物などにより分解されることのないプラスチックは、そのままの状態で蓄積し続けて、被害を大きくすることも問題です。
また、プラスチックが風や波、温度、紫外線などにより小さくなると、魚や貝などが飲み込んでしまう危険があります。もし飲み込んでしまった場合、生態系にも影響を及ぼす可能性があるのです。
石油由来やプラスチックの素材は、環境に関わるこうした問題があります。フロスは日々使用し、使用後は捨ててしまうものです。私たちが環境に貢献できることがあるとしたら、天然素材のフロスを使うことも1つの選択肢でしょう。そこで次に、天然素材でできたフロスのメリットをチェックしていきます。
天然素材でできたフロスのメリット
天然素材でできたフロスには、3つの大きなメリットがあります。
土に還る
1つ目は、使い終わったフロスが土に還ることです。天然素材で作られているので、石油由来の素材やプラスチックとは違い、微生物により分解されます。分解されたフロスは土に還り、自然の循環を維持できます。
プラスチックフリー
2つ目は、プラスチックフリーであることです。天然素材のフロスの多くは、環境に配慮して作られています。そのため、ケースの素材も紙や木などの天然素材が使われており、プラスチックごみが出ません。
優しい使い心地
3つ目は、優しい使い心地のフロスが多いことです。天然素材のフロスには、シルクやトウモロコシ繊維などが使われています。天然素材のしなやかさにより、使用感が優しいと感じる人も多いようです。
天然素材でできたフロスのデメリット
天然素材でできたフロスのメリットがある一方で、デメリットもあります。
価格が高め
デメリットの1つは、価格が高めであることです。一般的なフロスに比べて、同程度の金額で購入できる製品もある一方で、割高なものも少なくありません。
種類が少ない
もう1つは、天然素材のフロス自体の製品展開が多くはないため、種類が少ないことです。一般的なフロスよりも、選択肢の幅は狭まります。
メリットやデメリットを考えた上で、次は天然素材でできたフロスを選ぶポイントを見ていきましょう。
天然素材でできたフロスを選ぶポイント
天然素材でできたフロスを選ぶポイントは、一般的なフロスと重なる部分も多くあります。4つのポイントを1つずつご紹介します。
ポイント①素材
1つ目は素材です。天然素材のフロスの場合、フロスの部分のほかに、ケースの素材にも注目します。
フロスには、次のような材質が使われています。
■天然素材のフロスの主な材質
シルク、トウモロコシ繊維、竹炭繊維、コットンほか
これらの素材の多くは、一般的なフロスに多く使われているナイロンに比べて、やわらかいのが特徴です。それぞれの使用感などの違いを比較できる情報はないため、製品の説明を参考に選ぶと良いでしょう。植物の繊維が多い印象ですが、いろいろ試してみて違いを感じるのも楽しいかもしれませんね。
ポイント②形状
2つ目は形状です。フロスには、形の違いにより主に2つのタイプがあります。
■ホルダータイプ
ホルダータイプは持ち手があり、その先に糸の張ってあるフロスのことです。片手で使用できるため、初めてフロスを使う方や子どもにも使いやすいでしょう。
一方で、ロールタイプに比べて角度の調整がしにくく、歯に引っかかると取りにくい場合があります。
■ロールタイプ
ロールタイプは、持ち手のない糸だけのフロスです。糸を適当な長さで切り、手に巻き付けて使用します。ホルダータイプに比べて糸の角度を調整しやすい特長があります。
一方で、ホルダータイプに比べて、使い方に慣れるまで時間がかかる場合があります。
どちらのタイプにも長所・短所があるため、好みで選ぶと良いでしょう。
ポイント③ワックスの有無
3つ目は、ワックスありか、なしかという点です。フロスの糸の部分には、ワックスが塗布されている製品もあります。ワックスの有無には、次のような違いがあります。
■ワックスあり
ワックスありは、歯の間に糸を通しやすく滑りが良いのが特長です。歯の隙間が狭い方や、ロールタイプに慣れていない方には、使いやすいでしょう。
■ワックスなし
ワックスなしは、ワックスありに比べて滑りにくいことから、汚れを取りやすいのが特長です。ロールタイプに慣れている方や、よりしっかり汚れを落としたい方は、ワックスなしが良いでしょう。
フロスに使われているワックスは、ミツバチの巣からとれるミツロウや植物性のワックスなどから作られています。
ポイント④フレーバーの有無
4つ目は香りです。フロスには、ミントなどのフレーバーが付いているものがあります。フレーバー付きのアイテムは、口臭予防のほか、口のリフレッシュやフロスの使用を楽しく続けられるといった効果も。
もちろんお好み次第ですが、歯磨き粉にミントフレーバーが多いように、フレーバーの種類によっては口に爽快感ももたらしてくれます。
天然素材フロスのおすすめ5選!
最後に、天然素材フロスのおすすめ5選をご紹介します。フロスとしての機能があるのはもちろんのこと、パッケージやケースもおしゃれなものを選びました。天然素材のフロスを取り入れて、歯のケアを楽しめると良いですね。
1.econawa|天然繊維のデンタルフロス
econawa|天然繊維のデンタルフロスは、トウモロコシ繊維と竹炭の2種類のフロスを展開しています。上の画像は、竹炭のフロスで糸は黒ですが、トウモロコシ繊維は白です。
歯ブラシだけでは落とすことの難しい歯垢を、極細繊維でしっかり取り除いてくれます。ワックスは付いていないので、しっかりお手入れしたい方におすすめです。ミントフレーバーで、口内もすっきりリフレッシュ。歯茎に優しいソフトフロスです。
また、100%生分解できる天然素材なので、コンポストに入れれば60〜90日で土に還ります。コンポストをお持ちの方はぜひ試してみてください。
ケースはガラス、ふたはステンレス製と、容器ももちろん再利用できる素材でできています。フロスを初めて使う方にも、詳しい使用方法があるので安心。ロールタイプが初めてという方にもおすすめです。
天然繊維のデンタルフロス 【全2色】(30m) 通常価格:580円(税込)
2.mana.|絹のデンタルフロス・FSC認証
(引用元:絹のデンタルフロス・FSC認証|mana. ORGANIC LIVING)
mana.|絹のデンタルフロス・FSC認証は、100%天然由来の絹のデンタルフロスです。最上級の天然シルクを使用しているほか、丈夫で切れにくく使いやすいのもうれしいポイント。
ワックスありのフロスで、植物性のキャンデリラワックスをコーティングしています。滑りが良いので、歯の隙間が狭い方におすすめです。
ケースの素材は、FSC認証取得のオーガニック竹を使用しています。軽くてコンパクトなので、外出にも便利。フロスのみの販売もしているので、使い終わったらケースを捨てることなく、引き続き使用できます。フロス、ケース、パッケージのすべてが自然分解可能。コンポストの利用もできます。
天然のミントフレーバーですっきり爽やかな使い心地です。
絹のデンタルフロス・FSC認証(30m) 通常価格:990円 (税込)
3.ハイドロフィル|デンタルフロスピックス
(引用元:LOHACO - ハイドロフィル (HYDROPHIL) デンタルフロスピックス)
ハイドロフィル|デンタルフロスピックスは、ドイツ生まれのホルダータイプのフロスです。持ち手の部分にはモウソウチクという竹由来の素材、糸にはオーガニックコットンが使用されています。モウソウチクは、成長が早いほか、人工灌漑や肥料、農薬を使用しないのが特徴です。
もともと天然素材フロスの種類は少なく、選択肢もあまりありません。ホルダータイプの天然素材フロスを探している方は、このフロスがおすすめです。
本体やパッケージに、石油やプラスチック製造に使用されるBPA(ビスフェノールA)を使用していません。他の製品と同じく、環境に配慮した製品です。
ハイドロフィル (HYDROPHIL) デンタルフロスピックス(20ピース) メーカー希望小売価格:770円(税込)
4.ラディウス|ピュアシルク フロス
(引用元:ラディウス デンタルフロス | ラディウスジャパンSTORE)
ラディウス|ピュアシルク フロスは、アメリカ発の天然シルクのフロスです。南米コロンビアのフェアトレード協同組合CORSEDAにより紡がれた天然シルクを使用しています。
ワックスには、植物由来のカルナバワックスが使用されています。100%生分解性であるとともに、環境を考慮してパッケージにプラスチックを使用していません。また、フタル酸やパラベンなどの合成成分も不使用です。
無香料なので、フレーバーのないフロスを探している方におすすめです。ラディウスは、ADA(アメリカ歯科医師会)認証を受けた唯一の自然派製品でもあり、機能性にも優れています。天然素材だけでなく機能も重視する方にも最適です。
ラディウス ピュアシルク フロス(30m) 通常価格:990円(税込)
5.minimal living tokyo.|ナチュラルデンタルフロス
(引用元:ナチュラルデンタルフロス by minimal living tokyo.)
minimal living tokyo.|ナチュラルデンタルフロスは、100%天然素材のシルク製のフロスです。サステナブルライフスタイルのセレクトショップであるminimal living tokyo.(ミニマルリビングトウキョウ.)から発売されています。
天然素材のシルクは、コンポストに入れれば土に還ります。ケースはガラス、ふたはステンレスなので、再利用可能な素材です。詰め替え用を購入すれば、ケースやふたはそのまま使用できます。
キャンデリラワックスコーティングをしたワックスありのフロス。天然ミントの香料付きです。シルクのフロスは他にもありますが、ガラス製のケースのため、中身が見えて残量が分かりやすいのもポイント。シルクの素材でクリアなケースが良いという方におすすめです。
ナチュラルデンタルフロス by minimal living tokyo.(約30m) 通常価格:1,210円(税込)
まとめ
天然素材のフロスをご紹介しましたが、使ってみたいアイテムは見つかりましたか?2人に1人が使用しているというデンタルフロスや歯間ブラシは、これからもさまざまな製品が展開されていくでしょう。天然素材のフロスを使う人も増えていくことを期待したいですね。
天然素材のフロスから自然の恵みを感じつつ、日々使用するデンタル用品から環境に良いことを始めてみませんか。