完全には分解されないプラスチック
プラスチックは分解に400年〜1000年以上かかると言われています。これは、科学者たちが紫外線分解テストなどを用いて、どれくらい長く使えるかを予測した結果です。
また、プラスチックは時間が経てば微細な破片に分解されますが、決して完全に分解されることがないことも問題です。
数百年後、シャンプーのボトルは無くなったように見えますが、実は細かく砕かれているだけなのです。※1 直径数ミリ以下の小さな「マイクロプラスチック」として海や川に漂い続けています。
マイクロプラスチックになる要因
一般的に、地球上では有機物を微生物が分解し、自然と土に還す働きがあります。この過程は「生分解」と呼ばれます。
例えば、バナナの皮をコンポスト(有機物を積み上げて肥料をつくる容器)に入れると、バクテリアが働き、二酸化炭素が大量に発生します。そして一週間ほどで完全に分解されます。
一方で、ビニールやプラスチックをコンポストに投入しても微生物は働かず、分解されません。なぜならプラスチックに影響を及ぼすのは紫外線だからです。
一般的にはもろくなり、色が変わり、白っぽくなり、最終的にはひび割れていきます。プラスチックは「分解」というよりは「劣化」していくという表現のほうが最適でしょう。完全に消えてなくなることはないのです。
私たちは毎年、800万トンものプラスチックを海に流しています。
劣化したプラスチックはマイクロプラスチックに分解され、今ではあらゆる生物(小さなプランクトンも含む)から検出されるようになりました。また、海鳥からクジラまで、生き物を死に至らしめています。
もし生分解されることのないマイクロプラスチックが溢れかえった時、私たちの世界がどうなるかはまだ分かっていません。
「生分解性プラスチック」も分解は難しい
プラスチックが埋め立てられれば、紫外線に当たらないのでマイクロプラスチックとなるまで分解されることはありません。
しかし、既に大量のプラスチックが地中に埋められており、埋め立て地が不足するなどの問題も発生しています。
また、「生分解性プラスチック」と呼ばれるものも、実際には自然界で完全に分解されることはないと言われています。※2
麻やトウモロコシなど、自然由来のものから作られたものであっても、プラスチックであることに変わりないのです。
さらに、生分解性プラスチックに法的な定義がなく、メーカーはそれを証明することなく主張できてしまうことも問題になっています。
プラスチック製品を手放そう
プラスチックはどのような環境でも、完全に分解されることはありません。最低でも分解に400年かかると予測されています。
リサイクルは良い手段ではありますが、プラスチックの問題に取り組む最善の方法は、そもそもプラスチック製品を手に取らないことなのです。
※1 How Long Does It Take for Plastics to Biodegrade? | HowStuffWorks
※2 TESTING THE BIODEGRADABILITY AND BIODEGRADATION RATES OF DEGRADABLE/BIODEGRADABLE PLASTICS WITHIN SIMULATED ENVIRONMENT | Request PDF