食品ロス(フードロス)とは?世界・日本での原因・問題点と私たちにもできる対策

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食品ロス(フードロス)とは?

最近メディアでも頻繁に取り上げられるようになった食品ロス(フードロス)という言葉を知っていますか?

言葉を聞いたことはあっても、
実際に日本や世界ではどんな状況が起きているの?
どうしてこんなに問題になっているの?
とあまり実態が掴めませんよね。
この記事では、食品ロスの定義をはじめ、その原因や問題点、私たちにもすぐに取り組めるフードロスの対策を幅広く紹介していきます。
 
 
目次
1.食品ロス(フードロス)の定義
2.なぜこんなに食品ロス(フードロス)が問題視されているの?
3.【世界】先進国での食品ロス(フードロス)の原因・対策
4.【世界】途上国での食品ロス(フードロス)の原因・対策
5.【日本】食品ロス(フードロス)の原因・対策
6.家庭での食品ロス(フードロス)を減らすために今日からできること
7.外食・買い食いするときにできる食品ロス(フードロス)対策
8.買い物でも食品ロス(フードロス)を削減!人気の通販やアプリを活用
9.食品ロス(フードロス)をもっと知ろう!
10.食品ロス(フードロス)の現状や原因を知り、できることから対策をしよう!

食品ロス(フードロス)の定義



「食品ロス(フードロス)」とは、まだ食べられるはずなのに捨てられてしまう食品のことです。

近年ニュースや新聞等でも多く取り上げられることから、最近できた言葉のように思われますが、実は約30年前からメディアに登場して問題提起されてきたものです。

専門家の研究としては、さらに以前から家庭での食品ロスの実態等について調査が続けられてきています。
 

データで見る食品ロス(フードロス)


日本では年間どれくらいの量の食品ロスが出ているのでしょうか?

令和4年6月に農林水産省・環境省から発表された「食品ロス量(令和2年度推計値)」によると、1年間の食品ロスは522万トンとされています。(※1)

前年の令和元年度と比較すると、48万トン減少しています。

推計開始以来最少の値になったとはいえ、国民1人あたり、毎日「お茶碗約1杯分」の食べものを捨てていることになるのです。


世界的にみると状況はさらに深刻です。

世界の年間食品廃棄物の量(食品ロス量を含む)は13億トンにものぼります。(※2)

生産されている食料は毎年約40億トンと言われており、生産された量の約1/3は手をつけることなく捨てられていることになります。
 

食品廃棄と食品ロス(フードロス)の違い


「食品ロス」と「食品廃棄」は一見同じイメージを持ちますが、厳密には定義が違います。

「食品廃棄」は、もともと食べられない部分、例えば魚や肉の骨、果物の皮や種や芯の部分などを捨てる場合に該当します。

日本では、「食品ロス」と「食品廃棄」それぞれについて実態を数値化し、データを公表しています。
 

世界では"Food Loss(フードロス)"とは言わない?


日本のメディアでは「食品ロス」とともに「フードロス」というカタカナでの呼び名も一般的ですが、FAO(国際連合食糧農業機関)の公式サイトには、“Food Loss and Food Waste”という言葉が使われています。

“Food Loss(フード ロス)”は「損失」というニュアンスが強く、消費者のもとに届く前の過程で発生する損失を指しています。

消費者による期限切れや食べ残しによる廃棄は“Food Waste(フード ウェイスト)”と区別していますが、実際にはそれらを分けてデータをとることが難しく、両者をまとめて”Food Loss and (Food) Waste”と呼んでいます。

日本でいう「フードロス」は諸外国では少し違った意味になるようですね。
 

食品ロス(フードロス)はSDGs12「つくる責任 つかう責任」の目標にも



食品ロスは、SDGs(「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」)の目標12「つくる責任つかう責任」の中で、「2030年までに小売・消費レベルにおける『世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減』させ、『収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少』させる」と目標が具体的に示されています。

「小売・消費レベル」での目標も盛りこまれているので、私たち一人ひとりの意識の変化や行動も重要な意味を持つことになります。

さらに詳しく知りたい方はあわせてこちらの記事も読んでみてくださいね。

【関連記事】SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える|企業はどう向き合えばいい?
 

なぜこんなに食品ロス(フードロス)が問題視されているの?



そもそもなぜ今、食品ロスが問題視されているのでしょうか?
 

食の不均衡の問題


一つ目の問題点は、「食の不均衡」です。世界の人口の約9人に1人は飢餓に苦しんでいるという現状があります。

彼らへの食糧援助量は、年間約390万トン。一方でその約1.5倍以上の量が、日本だけで廃棄されています(年間約612万トン)。
 

環境・経済への影響


もう一つは、環境や経済に対する影響です。大量の食品を廃棄するために大量の資源が使われ、莫大なコストがかかります。

さらに、焼却や埋め立てでの廃棄は環境汚染にもつながります。

持続可能な社会を維持するために、フードロスは世界全体で取り組まなければいけない問題なのです。

【世界】先進国での食品ロス(フードロス)の原因・対策



食品ロス(フードロス)が発生する原因は、国や地域によって異なります。

ここでは、世界、特に先進国について詳しく現状を見ていきましょう。
 

大量・多種陳列による「売れ残り」


スーパーやコンビニでは、様々な種類の食品がたくさん陳列されている状態を維持するために多くの在庫を持ちます。

しかし、販売期限内に売り切れず、廃棄されてしまう商品も多く発生してしまいます。
 

高い「外観品質基準」によって規格外品の廃棄が発生


特に先進国の小売店では、商品の“見栄え”(形・サイズ・重さ)に高い品質基準があります。その要求に対して、加工業者や生産者はその規格に合う食品を作ります。

多少の規格外品であっても、味や栄養価、安全性には何ら問題がないはずです。しかし、規格外ということで廃棄されることになります。

こうした市場の中でフードロスをできるだけ起こさないためには、過剰に陳列せず需要に見合った商品を置くことや、商品自体の品質基準を緩和すること、規格外品のみを集めて販売するような新しい小売の形を作っていく必要があります。

このように、フードロスとビジネスは関係しているのです。
 

【世界】途上国での食品ロス(フードロス)の原因・対策




続いて、途上国での食品ロス(フードロス)の原因について確認しましょう。
 

食料の貯蔵施設や市場インフラの未整備


収穫した食料の貯蔵や輸送、販売インフラに十分な予算がかけられず、鮮度の高い状態を保って消費者に届けることが難しい現状があります。

途上国のインフラの未整備によるフードロスは、40%以上が出荷前に発生しています。これが飢餓の原因の1つとなっているというデータもあります。※3

せっかく収穫しても、小売店に届くまでに悪くなってしまうと廃棄されることになります。
 

貧困によるやむを得ない出荷


貧しい農家の場合、お金が必要になり収穫時期には早すぎる未熟な作物を収穫し、売らざるを得ない場合があります。

結果的に、味や栄養価的にも価値が下がってしまい、消費に向かない場合は廃棄されてしまいます。

貧困など途上国ならではの問題がフードロスの原因になっているため、まずは政府が主体となり生産から流通のインフラを整備することや、小さな生産業者が集まって規模を拡大するなどの対策で必要な量を、十分な鮮度で流通させられるようにしていく必要があります。
 

【日本】食品ロス(フードロス)の原因・対策


日本の食品ロス(フードロス)の原因と対策について見ていきましょう。
 

日本での食品ロスは、家庭からの割合が約半分


実は私たちの家庭から出る食品ロスも大きな要素になっているのです。

日本での食品ロスのうち、事業系(製造や小売、外食業者から出る食品ロス)と、家庭系(食べ残し、期限切れ等による廃棄から出る食品ロス)の割合はおよそ半々となっています。

家庭からは、食べ残し、期限切れ、過剰除去(皮のむきすぎなど)が主な原因として挙げられます。

これらを減らす方法は、次の章「家庭での食品ロス(フードロス)を減らすために今日からできること」で確認していきましょう。
 

食品ロス(フードロス)を削減する「食品ロス削減推進法」


日本の食品ロス削減のための法律を2つ紹介します。

1つは「食品リサイクル法」です。

これは「事業系」食品ロスの発生を抑え、減量化することを目的とした法律で、食品関連業者から出る食品ロスの再生利用(飼料や肥料へのリサイクル)を推進しています。

もう1つは2019年10月に施行された「食品ロス削減推進法」です。

この法律は、国や地方公共団体、食品関連事業者が連携し、さらに消費者にも働きかけ、国全体で食品ロスの削減を推進することを目的として、より具体的な行動指針が示されています。
 

全国美味しい食べきり運動


地方公共団体を中心とした取り組みが広がっています。

「全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会」もその一つです。これは、「おいしい食べ物を適量で残さず食べきる」ことをテーマに、
 
・食材をムダなく使い切るレシピを公開
・全国チェーンの飲食店にこもりサイズメニュー導入を要請
・スーパーに、使い切りやすい少量・ばら売り食材の販売を要請

といった「食べきり運動」を推進し、フードロスを削減するため設立された自治体間のネットワークで、全国各地から賛同する422自治体が参加しています(2020年6月15日現在)。

家庭での食品ロス(フードロス)を減らすために今日からできること



食品ロス(フードロス)が原因で世界では「食の不均衡」がおき、廃棄には環境的にも経済的にも悪影響があること、原因は地域によって異なり、対策も違うこと、日本での取り組みが加速してきていることなどをご紹介してきました。

国をあげた対策も重要ですが、私たち個人にもできるフードロス対策はたくさんあります。

「自分が行動に移しやすいものはどれか?」を選んで、簡単なものから始めてみましょう!
 

できること①:「賞味期限」「消費期限」をチェック


「消費期限」は、「過ぎたら食べない(飲まない)ほうがよい期限」、「賞味期限」は、「おいしく食べることができる期限」のことです。

期限の違いをチェックして、自分がその期限内に食べられる分を買いましょう。
 

できること②:野菜の食べられる部分を無駄にしない


野菜皮むきや芯のカットなど、本来食べられる部分まで取り除いてしまっていませんか?

野菜のくずは集めてベジブロス(野菜だし)にしたり、前日の残り物をリメイクしたりして食べることもできます。

捨てる前に、レシピサイトで検索してみるのがおススメです。

>>詳細はCOOKPAD「消費者庁のキッチン」へ
 

できること③:保存するときのワンポイント


適切に保存すれば、食材が長持ちします。冷凍保存や真空になるジッパーパックなどを活用し、保存方法を工夫してみましょう。

また、災害用に備蓄されている食品などは、うっかり期限が切れるまで放っておいてしまいがちです。

定期的に確認して、期限の近いものから普段の食事に取り入れることでフードロスを減らすことができます。

>>詳しくは消費者庁「食品ロスにしない備蓄のすすめ」へ
 

外食・買い食いするときにできる食品ロス(フードロス)対策




外食時にもフードロス対策が可能です。3つのポイントを見ていきましょう。
 

外食時のフードロス対策①:食品ロス(フードロス)に取り組んでいる飲食店を利用


食品ロスの削減に積極的に取り組む飲食店があります。

自治体によってはこのような飲食店へ、食品ロス対策の協力店としてステッカーなどを提供しているところもあるので、そういった観点でお店を選んでみましょう。
 

外食時のフードロス対策②:食べきれる量を注文する


最近は、ハーフサイズや少なめの量で提供されるメニューの種類も増えてきています。

また注文するときにどれくらいの量かを聞いてみるのも1つのポイントです。食べきれる量だけを注文することもフードロスの立派な対策になります!
 

外食時のフードロス対策③:「ドギーバック」を活用する


食べきれない料理を持ち帰るための容器を提供してくれるお店や、自分で持ち帰り用の容器「ドギーバッグ」を持参すれば残った料理を持ち帰らせてくれるお店もあります。

どうしても食べきれないときは、持ち帰ることができるか相談してみましょう。

>>詳しくはドギーバッグ普及委員会へ
 

買い物でも食品ロス(フードロス)を削減!人気の通販やアプリを活用


飲食店で余っている料理を検索し、購入することで「売れ残り」の削減に貢献できるフードシェアリングのアプリや、買い物がフードロス削減に繋がる通販サイトなども提供されています。

ここでは、おすすめの3つのサービスを紹介します。
 

おすすめのサービス①:食品ロス(フードロス)削減アプリ「TABETE タベテ」


「TABETE」は、まだ美味しく安全に食べられるのに、閉店間際で売れ残ってしまい、廃棄せざるを得なくなった食品をレスキューすることができるアプリです。

利用方法は簡単。アプリをインストールし、TABETEと提携している飲食店を検索、アプリ上で決済を行います。その後、お店に受け取りに行くだけです。

気軽に近所の飲食店の美味しそうな料理を購入するだけで、フードロス削減に貢献できます。

>>TABETEの詳細はこちらから
 

おすすめのサービス②:食品ロス(フードロス)削減通販「KURADASHI クラダシ」


味や品質に問題がなくても、賞味期限が近い、パッケージのキズ、季節商品などの理由でお店に並べなくなった食品を扱っている通販サイトです。

お菓子やパン、お米、肉類など様々な食品が最大97%オフと、お得に買い物をしながらフードロス削減に取り組めます。

>>KURADASHIの詳細はこちらから
 

おすすめのサービス③:食品ロス(フードロス)削減通販「豊洲市場ドットコム」


「豊洲市場ドットコム」は豊洲市場が運営している通販サイトで、市場の取引で買い手が見つからなかった食材を販売しています。

取り扱いは、フルーツ、海の幸、野菜、ブランド肉、惣菜・加工品、スイーツ、飲料などバラエティに富んだ食品。

市場ならではの高級食材も、手ごろな価格で手に入りやすいと人気の通販サイトです。

>>豊洲市場ドットコムの詳細はこちらから

食品ロス(フードロス)をもっと知ろう!



さまざまなメディアやツールでフードロスについての発信が増えています。自分に合った学び方で、知識や対策を増やしていきましょう!
 

本や資料を読む


政府関係省庁のホームページには、私たち消費者向けに公開されている食品ロスに関する資料がまとまっています。

また、長野県松本市や北海道では子供たちが食品ロスについて触れるきっかけとなるよう絵本を作成し、ホームページ上で提供しています。

これをきっかけにお子さんと一緒にフードロスについて学ぶのも良いですね。

>>消費者庁ホームページはこちら

>>長野県松本市環境部環境政策課はこちら

>>北海道農政部食品政策課はこちら

フードロスやSDGsについてさらに詳しく知りたい方はこちらもおすすめ
SDGs本ならこれ!|おすすめの入門書&学生向け図書6選!社長の愛読書も公開
 

動画を観る


よりカジュアルに学びたい人は動画を探すのもおすすめです。

YouTube等では、自治体のチャンネルで食品ロスについて紹介する動画も配信されています。

YouTube 東京都公式チャンネル「食品ロスを考えよう【3分版】

 

食育に関する講座を受ける


自治体により食品ロスについての講座などを定期的に開催していることもあります。

本格的に学んでいきたい人は、「食育インストラクター養成講座」のような資格取得もできる勉強をはじめてみても良いかもしれません!
 

食品ロス(フードロス)の現状や原因を知り、できることから対策をしよう!



食品ロスは世界全体で取り組んでいかなければならない大きな課題ですが、私たちが今日から取り組める身近な対策がたくさんあります。

まずは自分にできそうなことから始めて、フードロスの削減につなげていきましょう!
 

 

環境・社会問題と食についてさらに詳しく知りたい方はこちらもおすすめ

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参考文献

※1 我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和2年度)の公表について

※2 食品ロスの現状を知る:農林水産省

※3 環境省 廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状

 

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