SDGs(持続開発な開発目標)とMDGs(ミレニアム開発目標)を比較!

LINE Twitter Facebook note


テレビや新聞で耳にする機会が増え、私たちの生活にも定着してきたSDGs。
すでに取り組み始めている企業や個人の方も多いのではないでしょうか。
SDGsを詳しく知るために本やネットで調べていると、「MDGs」という「SDGs」と似たような単語を目にすることもあると思います。

SDGsとMDGsは一体何が違うのか?
MDGsは何を指しているものなのか?

この記事ではその疑問が解決できるよう、SDGsとMDGsの違いや目標内容の比較などを解説していきます。

まず初めにSDGsとMDGSは何が違うのかを確認しましょう。
 


 
目次
1.SDGsとMDGsの違いとは
2.MDGsとは
3.MDGsの構造上の課題
4.MDGsからSDGsへ
5.SDGsとMDGsを比較
6.SDGsは企業でも個人でも取り組みやすくなった
7.SDGsについて理解を深めて積極的に取り組んでみよう

 

SDGsとMDGsの違いとは

簡潔にいうと、SDGsはMDGsの後継となる目標です。

MDGsは2015年までに達成すべき目標、SDGsは2015年から2030年までに達成すべき目標を記したものになります。

MDGsは、よりよい世界を実現するために目標が設定され、2015年までに一定の成果を納めました。

その一方で、達成には至らなかった目標もあります。

そこでSDGsでは、未達成に終わった目標に引き続き取り組みつつ、さらにはそれまでに達成できた目標も深化させることが求められているのです。

ここからはさらに踏み込んで、MDGsが設定された背景やSDGsの目標との違いなど詳しく見ていきましょう。

MDGsとは



MDGsとは、Millennium Development Goalsの頭文字を合わせたもので、日本語ではミレニアム開発目標と訳されています。

2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで、新たな世紀における指針を示した「国際ミレニアム宣言」が採択されました。

ミレニアム宣言では、
 
Ⅰ 平和、安全および軍縮
Ⅱ 開発および貧困撲滅
Ⅲ 共有の環境の保護
Ⅳ 人権、民主主義および良い統治
Ⅴ 弱者の保護
Ⅵ アフリカの特別なニーズへの対応
Ⅶ 国連の強化

の7つのテーマについて世界全体で協力しながら取り組むことを示しており、MDGsはこのミレニアム宣言をもとにまとめられたものです。
 

MDGsの構成


世界全体で協力するための指針として、MDGsでは貧困の撲滅や教育など8つの目標が設定されています。

そしてより具体的なターゲットが21個掲げられ、それらの進捗を測るために60個の指標が設けられました。

この「目標・ターゲット・指標」の三層から連なる構成は、これまでの世界的に足並みを揃えるための目標体系では見られないシステムで、当時は画期的であったと言えます。
 

8の目標、21のターゲット、60の指標


では、MDGsではどのような目標・ターゲット・指標が設定されたのでしょうか。
 

1.極度の貧困と飢餓の撲滅

1.A 1990年から2015年までに、1日1ドル未満で生活する人々の割合を半減させる。
1.B 女性や若者を含め、完全かつ生産的な雇用とすべての人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を達成する。
1.C 1990年から2015年までに、飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる。
 

2.普遍的初等教育の達成

2.A 2015年までに、すべての子どもたちが、男女の区別なく、初等教育の全課程を修了できるようにする。


3.ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上

3.A できれば2005年までに初等・中等教育において、2015年までにすべての教育レベルで、男女格差を解消する。
 

4.乳幼児死亡率の削減

4.A 1990年から2015年までに、5歳未満の幼児の死亡率を3分の2引き下げる。
 

5.妊産婦の健康の改善

5.A 1990年から2015年までに、妊産婦の死亡率を4分の3引き下げる。
5.B 2015年までに、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)の完全普及を達成する。
 

6.HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止

6.A 2015年までに、HIV/エイズのまん延を阻止し、その後、減少させる。
6.B 2010年までに、必要とするすべての人々は誰もがHIV/エイズの治療を受けられるようにする。
6.C 2015年までに、マラリアその他の主要な疾病の発生を阻止し、その後、発生率を下げる。
 

7.環境の持続可能性の確保

7.A 持続可能な開発の原則を各国の政策やプログラムに反映させ、環境資源の喪失を阻止し、回復を図る。
7.B 生物多様性の損失を抑え、2010年までに、損失率の大幅な引き下げを達成する。
7.C 2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生施設を持続可能な形で利用できない人々の割合を半減させる。
7.D 2020年までに、最低1億人のスラム居住者の生活を大幅に改善する。
 

8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進

8.A 開放的で、ルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易および金融システムのさらなる構築を推進する。
8.B 後発開発途上国の特別なニーズに取り組む。
8.C 内陸開発途上国および小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。
8.D 開発途上国の債務に包括的に取り組む。
8.E 製薬会社との協力により、開発途上国で必須医薬品を安価に提供する。
8.F 民間セクターとの協力により、情報通信技術をはじめとする先端技術の恩恵を広める。

指標についてはここでは割愛します。詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

一通り目を通すと、MDGsの目標は、当時途上国が抱えている課題を解決するために設定されていることがわかります。
 

MDGsの達成度


ではMDGsは2015年までにどの程度達成できたのでしょうか。

「国連ミレニアム開発目標報告2015」をもとに見ていきましょう。

まず、MDGs達成への進展に対する最終評価については以下のようにまとめられています。
 
“MDGアジェンダは、これまでの歴史で最も成功した貧困撲滅のための取り組みであった。
2000年から数々の開発地域で多くの成功を導いてきた。
MDGアジェンダの成功は世界規模での取り組みが機能していることを証明。
2015年以降に採択される開発目標の基盤となっている。”
【引用元】国連ミレニアム開発目標報告 2015MDGs達成に対する最終評価

次に各目標における進捗です。
 

1.極度の貧困と飢餓の撲滅

【成果】
・貧困率が半数以下に減少
→1990年には19億人いた極度の貧困に苦しむ人々が、2015年には8億3,600万人に。
→主に途上国における栄養不良の人々の割合も1990年と比較し、ほぼ半減。
→5歳未満児の低体重の子どもの割合も1990年と比較しほぼ半減。

【課題】
・貧困に陥っている人々の80%が南アジアとサハラ以南のアフリカで生活している。
・女性は男性に比べて賃金が低く、さらには資産を手に入れにくいため貧困に陥りやすい。
・低体重の子どもの約90%が南アジアとサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)で生活している。
 
 

2.普遍的初等教育の達成

【成果】
・小学校の児童の就学率が向上
→途上国における小学校の純就学率は1990年の80%から2015年は91%に上昇。
→小学校に通えない子どもの数は2000年の1億人から5,700万人に減少。
→15歳〜24歳の識字率(読み書きができる人の割合)が1990年の83%に対して2015年は91%に上昇。

【課題】
・小学校に通えていない5,700万人のうち3,300万人はサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)に集中している。
・小学校に通えていない5,700万人のうち、55%が女の子。
 
 

3.ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上

【成果】
・途上国の初〜高等教育で男女格差が解消
→特に初等教育の就学率においては、途上国の3分の2以上で男女格差が解消された。

【課題】
・初等教育の就学率において、男女格差が解消されていない途上国のうち、56%がサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)
 
 

4.乳幼児死亡率の削減

【成果】
・予防可能な疾病による幼児死亡数が著しく低下
→5歳未満児の年間死亡数は1990年の1,270万人に対して2015年には590万人に減少。

【課題】
・毎日、予防可能な病気が原因で命を落とす5歳未満児は1万6,000人にのぼる。
・5歳未満児の年間死亡数の多くがサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)と南アジアで見られる。
 
 

5.妊産婦の健康の改善

【成果】
・妊産婦の健康状態に一定の改善
→妊産婦死亡については、1990年の10万人あたり380人に対して、2013年には210人に減少。
→質の高い技術を要する医療従事者立ち会いのもとでの出産は1990年の59%から2014年には71%に増加。

【課題】
・亡くなる妊産婦のほとんどがサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)と南アジアに集中している。
 
 

6.HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止

【成果】
・HIV感染者が世界中で減少
→HIVの新規感染者は、2000年の推定350万人から2013年には210万人に減少。
→マラリアや結核も同様に、多くの人が適切な処置を受けられたことで死亡数が減少。

【課題】
・HIVの新規で感染した若者(15歳〜19歳)のうち、3分の2は女性。
・HIVに関する正しい知識を持つ15歳〜24歳の男女の割合は貧困地域、農村部で低い傾向にある。
 
 

7.環境の持続可能性の確保

【成果】
・安全な飲み水・オゾン層の保護に関する目標を達成
→安全な飲料水を手に入れられる人の割合は、1990年の76%から2015年には91%に上昇。
→オゾン層破壊物質が減少。

【課題】
・水とトイレの利用率は、経済的に貧しい地域で低い傾向にある。
 
 

8.開発のためのグローバル・パートナーシップの推進

【成果】
・インターネット・携帯電話の加入者数が増加
→インターネットの普及率は2000年の6%から2015年には43%と、大幅に上昇。
→2015年時点で、世界人口の95%が携帯電話の通話可能地域で暮らしており、契約者数は2000年の7億3,800万人から2015年には70億と大幅に上昇。

【課題】
・途上国では人口の3分の1しかインターネットが利用できていない。
 

このように、MDGsで掲げられた課題の多くで大幅な改善が見られたものの、主に南アジアとサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)においては、さらなる改善が必要でした。

また、MDGsの構造上そのものにも課題が残ります。

MDGsの構造上の課題



MDGsの構造上の課題の1つに、途上国の「開発」に重きが置かれていたことが挙げられます。
 

「開発」と「環境」の統合がされていなかった


開発とはインフラ整備や産業の発展、技術の向上などを指しますが、本来であれば、「開発」を語る際には「環境」とセットにして考える必要がありました。

その理由は、世界的に大量生産、大量消費で経済を成長させてきたことがきっかけで、環境へ悪影響を及ぼす結果となったことに由来します。

しかし、MDGsの目標は、ほとんどが途上国の開発のみに焦点を当てた内容で、「環境」については、目標7で少し触れるのみでした。

「開発」と「環境」はセットにして考えるべきなのに、なぜMDGsは「開発」にスポットが当てられたのか。

その理由を知るために、ここで簡単に「開発」についての歴史を振り返りましょう。
 

「開発」についての議論のこれまで


開発については、第二次世界大戦後から考えられてきた課題です。

当時、開発というと経済を発展させることを意味しており、繁栄こそが戦後の貧困から脱出する道だとされていました。

しかし、1960年頃から経済を発展させたことがきっかけで、環境への弊害が見られるようになります。

そこで1970年代に入ってから、国連を中心に、開発に加えて環境への配慮も考える必要があると、話し合われるようになりました。

話し合いが続く中、1987年に初めて「持続可能な開発」の概念が生まれます。

これは、経済を発展させることと環境に配慮することを両立させるもので、
 
・経済を発展させるために資源を大量に消費することで、将来の世代が利用できない状況にしてはいけない
・環境を顧みない活動により、将来の世代が住めないような地球にしてはならない

という考え方です。

しかし、当初は開発と環境はそれぞれ独立した課題として提起される向きがあり、「開発」=経済成長、持続可能な開発=環境問題と捉えられ、両立させることについての議論はまとまらずにいました。

この風潮は1990年代になっても変わらず、そのなかで2000年になってMDGsの採択に至ったため、採用された目標は「開発」と「環境」の両立ではなく、「開発」の比重が高くなったと言われているのです。

とはいえMDGsの採択後、2002年に開催されたヨハネスブルグ・サミットや2012年に開催されたのリオ+20など、さまざまな会議で「開発」と「環境」を両立させた「持続可能な開発」について話し合われました。

その結果、徐々に「経済」「社会」「環境」の三側面を統合した課題解決方法についての本格的な議論が始まります。

そしてMDGsの期限である2015年に、後継目標としてSDGsが採択されたのです。

MDGsからSDGsへ


MDGsでの課題を踏まえ、SDGsは「経済」「社会」「環境」の三側面を統合した目標が掲げられています。

次からはMDGSとSDGsの目標を比較していきますが、その前にSDGsのおさらいです。
 

SDGsとは


SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながらあらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

SDGsとMDGsを比較

では、SDGsで掲げられた目標を確認し、MDGsとの違いを見ていきます。

【表の見方】
カラフルなアイコンの中には、目標番号とキャッチコピーが書かれています。

キャッチコピーの下にあるのが、正式な和訳です。

 

目標1 貧困をなくそう

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

目標2 飢餓をゼロに

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

目標3 すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

目標4 質の高い教育をみんなに

すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する

目標5 ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

目標6 安全な水とトイレを世界中に

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

目標8 働きがいも経済成長も

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

目標10 人や国の不平等をなくそう

各国内及び各国間の不平等を是正する

目標11 住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

目標12 つくる責任 つかう責任

持続可能な生産消費形態を確保する

目標13 気候変動に具体的な対策を

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

目標14 海の豊かさを守ろう

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

目標15 陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

目標16 平和と公正をすべての人に

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する



MDGsでは目標は8個でしたが、SDGsでは倍以上の17個が掲げられており、目標の構成は、
 
・目標1〜6 基本的人間ニーズ(衣食住や教育などの人間らしい生活を送るために必要なもの)にかかわる内容
・目標7〜11 社会経済的な内容
・目標12〜15 環境的な内容
・目標16〜17 各目標を達成するために必要な手段

の4つに分けられます。

次にMDGsとSDGsの目標の関連性を確認します。

【SDGs/MDGs対応表】

SDGs

MDGs

目標1「貧困をなくそう」

目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」

目標2「飢餓をゼロに」

目標3「すべての人に健康と福祉を」

目標4「幼児死亡率の引き下げ」

目標5「妊産婦の健康状態の改善」

目標6「HIV/エイズ、マラリア、その他の疫病の蔓延防止」

目標4 「質の高い教育をみんなに」

目標2「普遍的な初等教育の達成」

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」

目標3「ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上」

目標6「安全な水とトイレを世界中に」

目標7「環境の持続可能性の確保」

目標7〜目標16

SDGsで追加されたもの

目標17

目標8「開発のためのグローバル・パートナーシップの構築」


目標1〜6と17がMDGsに含まれていた目標に関連する内容で、7〜16が新たにSDGsで追加されたものと言えるでしょう。
 

MDGsとSDGsのターゲットを比較


続いてはターゲットを見ていきます。

ここではMDGs目標1「極度の貧困と飢餓の撲滅」と、SDGs目標1「貧困をなくそう」をピックアップして比較していきます。

SDGs目標1「貧困をなくそう」のターゲットは以下の通りです。(MDGsのターゲットは、本記事「MDGsとは」の章に記載していますので参照してください。)

ターゲットの見方「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:1.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:1.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。
 

1.1

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

1.2

2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。

1.3

各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

1.4

2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

1.5

2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

1.a

あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

1.b

貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

◆ターゲットが大幅に増えた

MDGs目標1ではターゲットが3つ掲げられていたのに対し、SDGsでは貧困に関するターゲットだけで7個あります。

さらには、MDGs目標1のターゲット「1.B女性や若者を含め、完全かつ生産的な雇用とすべての人々のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を達成する。」はSDGs目標8「働きがいも 経済成長も」へ、「1.C1990年から2015年までに、飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる。」はSDGs目標2「飢餓をゼロに」へ移動されています。

つまりは貧困に関する内容に限って見れば、MDGsでは1つしかなかったターゲットに対して、SDGsでは大幅に増えているのです。

SDGsの理念は「地球上の誰一人取り残さない」であり、あらゆる貧困に苦しむ人々を撲滅するために、ターゲットが多岐にわたって設定されたことが伺えます。
 

◆すべての国が対象に

また、SDGsのターゲット1.2では「各国定義の貧困をなくす」ことが掲げられていますが、これもまたMDGsと異なる点です。

MDGsでは途上国のみにスポットが当てられていましたが、SDGsでは世界中のあらゆる国が対象となっています。
 

◆気候変動についての言及も

そしてSDGsの1番の特徴として挙げられるのは、ターゲット1.5で「気候変動」に触れていることです。

先述したように、これまでの「開発」と「環境」を切り離した考え方からの変化がわかります。

SDGsでは、貧困は気候変動によっても起こり得ることだと言っており、その対策も求められています。

これは目標1「貧困をなくそう」に限らず、他の目標でも同様のことが言えます。

このように、MDGsでは見られなかった広範囲の対象や環境との融合がSDGsのポイントです。

目標1「貧困をなくそう」以外のターゲットは以下をご参照ください。

>>外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

SDGsは企業でも個人でも取り組みやすくなった



ここまで見てきたように、SDGsはMDGsをより深化させ、すべての国々が対象になり、環境への配慮も両立させるものだということがわかりました。

もう1点、大きな違いとして挙げられるのが、SDGsは企業や個人単位でも取り組みやすくなったことです。
 

新たに加わった目標のおかげで取り組みやすく


SDGsには、
 
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも 経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」

の10個の目標が追加されたことは先述しました。

これらの目標を見てみると、経済活動に関わる内容であったり、環境の保全が中心にあることがわかります。

これまで、MDGsで掲げられているような基本的人間ニーズについての課題に企業が取り組もうとすると、利益にかかわらない慈善事業になる傾向がありました。

そのため、体力のある大企業以外は積極的に取り掛かりにくい側面があったのです。

しかし、経済活動に関わる目標が登場し、社会的な課題と企業の利益を両立させていこうという方向性が示されたことで、一気に多くの企業の興味関心が高まります。

また、個人においても、これまでであればこのような国際的な目標は広まりを見せることはありませんでした。

しかし、気候変動・海・陸など環境に関する個人でも取り組みやすい課題が提示されたことで、「自分ごと化」しやすくなったことが挙げられます。

「経済」「社会」「環境」を統合させた地球規模の課題に対し、国家間のやりとりだけではなく、企業、個人など、さまざまなステークホルダーが参画しやすくなったことがSDGsの意義と言えるのです。

SDGsについて理解を深めて積極的に取り組んでみよう

この記事では、SDGsとMDGsの違いを見てきました。

MDGsが途上国に向けた国主体の目標であったのに対し、SDGsはすべての国々が「経済」「社会」「環境」の三側面を統合した課題の解決にあたる目標です。

SDGsを理解することは、今現在地球で起きている課題についての認識を深めることにもつながります。

持続可能な地球をつくるためにも、SDGsを詳しく知り、具体的な行動を起こしてみてはいかがでしょうか。

>>こちらの記事もチェック

LINE Twitter Facebook note
SDGsウォッシュとは?SDGsウォッシュと指摘されないための取り組み方も
SDGsで自分ができることを探す3つのステップ
INDEX