日常でも大活躍の「フェーズフリー」な防災商品5選!意味や定義も解説

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日本は、世界的に見ても自然災害の発生件数が多い国です。

阪神淡路大震災や東日本大震災、毎年のように発生する水害や台風などを経て、防災への意識が社会的に高まっています。

特に、毎年9月1日の「防災の日」やその後一週間の「防災週間」は、メディアやバラエティショップ、スーパーなどで防災用品の特集が組まれることが多くなりました。

しかし、
結局何をそろえればいいの?
防災って難しい…
と悩む人は多く、備えがされないまま被害が繰り返されてしまうのが現状です。

この記事では、そんな中で生まれた、普段から使っているモノやサービスを非常時にも役立てる「フェーズフリー」という考え方について詳しく解説していきます。

記事後半には具体的なフェーズフリー商品を紹介していますので、実際に使うことを考えながら読み進めてみてください。
 

目次

  1. フェーズフリーとは
  2. フェーズフリー商品は4つのカテゴリに分けられる
  3. フェーズフリーのメリット
  4. フェーズフリーのデメリット
  5. 日常で使える!フェーズフリーな防災商品5選
  6. 日常でも大活躍のフェーズフリーな防災商品を揃えてみよう
     

フェーズフリーとは


まずは、フェーズフリーの意味や定義について詳しく確認していきましょう。
 

フェーズフリーの意味と定義


「フェーズフリー」の定義について、「一般社団法人 フェーズフリー協会」のサイトにはこのように記載されています。

 

身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができるという考え方、それが『フェーズフリー』です。

引用元:フェーズフリーとは

 


画像引用:「フェーズフリー」が実現する安心な社会

つまり、「もしもの時のために防災用品を準備して、しまっておこう」ということではなく、災害時でも日常でも、様々なフェーズ(局面)でフリー(自由)に使える商品やサービスを企業側が展開し、私たちも常に使用していこうということです。
 

フェーズフリーの考え方はいつから始まった?


では、「フェーズフリー」の考え方はいつから広まったのでしょうか。背景を確認していきましょう。

フェーズフリーという言葉自体が提唱されたのは、2014年のことです。防災の専門家として活動を続けてきた佐藤唯行氏が提案しました。

佐藤氏は、大学院1年生の時に経験した阪神・淡路大震災をはじめ、その後の様々な災害現場での調査を経験。

その調査で、「防災用品は日常的な優先度が低く、備えないまま災害が発生し、大きな被害が生まれる」ことが頻発していると気付かされたそうです。

そこで、「普段から便利に使えて、災害時には身を守れるようなモノを提供すれば、手に取る人も増え、備えようとしなくても防災力が高まるのではないか」と感じ、誕生したのが「フェーズフリー」という考え方だったのです。※1

 

フェーズフリーズアワード受賞!具体的な施策・事例



画像引用:フェーズフリーアワード2021 授賞式

2014年にフェーズフリーという言葉が提唱されたのち、2018年には「一般社団法人フェーズフリー協会」が誕生しました。

これは、フェーズフリーを正しく世の中に普及させていくことを目的としている団体です。

その後もフェーズフリーへの取り組みは拡大していき、2021年には、「第1回フェーズフリーアワード」が開催されています。これは、フェーズフリーに繋がるさまざまな事業やアイデアを募り、優れた事業やアイデアを表彰するイベントです。

2021年は、以下のような商品・アイデアが表彰されました。

 

第1回フェーズフリーアワード 事業部門 Gold受賞「鳴門市教育委員会」


画像引用:GUIDEBOOK for School | フェーズフリーアワード2021

これは、学校教育現場でのフェーズフリーの採り入れ方を示したガイドブックです。

子どもたちにとって教育をより身近なものにし、さらに災害適応力を高めることをねらいとしています。

例えば、算数の「速さ」の単元に津波の到達時間等について盛り込む、社会の「地図」の単元では避難施設の位置関係や距離、高さなどを確認するなどが挙げられます。

 

第1回フェーズフリーアワード アイデア部門 Gold受賞「たつのソーシャルインクルージョンプロジェクト」

 


画像引用:みんなのまちの役割が変化する「まちへん」 | フェーズフリーアワード2021

街にある店舗や施設がどのような役割を担っているのか、分かりやすく見える化することで、日常・災害時にどのような立場の人でも支障なく生活できることを目的としたアイデアです。

例えば、「食料品店→たべもの保管庫」「銭湯→みんなの水場」「学習塾→こどもフリースペース」などと表記されたステッカーが掲げられています。



その他にも、長距離の徒歩にも対応できるビジネスシューズ「ASICS RUNWALK(アシックスランウォーク)」や移動式の発電・給電システム「Moving e」など様々な商品が入賞。

アイデア部門でBronzeを受賞した、ライトとしても使える靴ベラ「あっと!」については記事後半の「日常で使えるフェーズフリー防災商品5選」で紹介しています。先に詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてくださいね。
 

フェーズフリー商品は4つのカテゴリに分けられる


画像引用:フェーズフリーの価値提供の4つの方法とは

フェーズフリーアワードなども開催され、広く認知・展開されつつあるフェーズフリー商品。

これらは大きく4つのカテゴリに分けられます。皆さんの身の回りにも既にフェーズフリーを実現しているモノやサービスがあるかもしれません。詳しく見ていきましょう。

 

カテゴリA 防災用品・特定の職業や趣味で使われるモノ

 



カテゴリAは防災用品や専門性の高い道具など、特定の状況でしか使われていない商品です。

例えば危険を伴う仕事で使われるヘルメットや、キャンプ用のコンロ・寝袋、自宅の防災袋に眠っているモノなどが当てはまります。

カテゴリAに含まれるモノたちは、非常時だけでなく普段の暮らしでも使えるようにすることで、フェーズフリーを実現できます。

 

カテゴリB 工夫次第で災害時にも利用できる日常使いのモノ

 



カテゴリBには、使い方次第で災害時にも役立つ、すでに存在するモノやサービスが当てはまります。

例を挙げると、ペットボトルの水やレトルトの食品を日常的に買い置きして、災害が起きたら非常食として活用する「ローリングストック」などが挙げられます。
 

カテゴリC 災害時でも普段の生活でも同じように役立つモノ

 


画像引用:パワータンク|ボールペン|三菱鉛筆株式会社

カテゴリCに当てはまるのは、日常時も非常時も、変わらず同じ価値を提供できるモノです。

例えば非常時の雨天の野外でも書ける水に強いボールペン、災害時の案内としても利用できる外国語表記の看板や翻訳サービスなどが該当します。

 

カテゴリD 日常時とは違った役割で災害時に活躍するモノ

 


画像引用:プリウスPHV|TOYOTA

カテゴリDは、非常時に本来の機能とは別の用途でフェーズフリーの価値を発揮できるモノです。

例えば、 外部から電源をつないで充電でき、ガソリンエンジンでも自走できるハイブリッド車、PHVが挙げられます。

PHV車は大容量バッテリーが搭載されているので、日常では燃費が良く長距離の移動に最適です。非常時には家庭用の電源や発電機という、通常とは異なる用途でフェーズフリーの価値を発揮できます。

 

フェーズフリーのメリット


ここまで、フェーズフリーの意味や商品カテゴリを確認してきました。

ここからは実際にフェーズフリーの商品や考え方を生活に取り入れる際のメリット・デメリットについて解説していきます。まずは、メリットを見ていきましょう。
 

あらゆる立場の人や状況でも使いやすい

 

フェーズフリー商品の特徴として、あらゆる立場や状況でも使いやすい工夫がされていることが挙げられます。例えば、メモリ付き紙コップは「ml/cc」「合」「カップ」の表記があり、赤ちゃんの粉ミルクの量やお米の計量も可能です。

 

防災に限らず様々なトラブルにも対応できる

 

フェーズフリーを実践することで、急な体調不良や怪我、家電製品の故障などの日常トラブルにも対応しやすくなります。例えば、希釈・ポーションタイプのスポーツドリンクを常備しておけば、急な発熱にも対応しやすいのではないでしょうか。
 

災害時でもいつもと変わらない生活を送りやすく、安心感につながる

 

災害時には、電気・ガス・水道などのライフラインが停止する可能性も非常に高く、日常生活とは環境がガラッと変わってしまいます。

そんな時、ふだん身のまわりにあり、愛着を持って利用しているモノやサービスをそのまま利用できれば、より日常に近い感覚で過ごすことができるため、心理的な安心を叶えてくれるかもしれません。

 

サステナブルな生活も実現しやすい


フェーズフリー商品は、1アイテムで多用途に使えるモノも多数。

例えば、マクアケの「超撥水素材の防災ふろしき」はモノを包む用途だけではなく、エコバックや傘、レジャーシート、防寒具としても利用でき、さらには水を入れての持ち運びも可能です。

用途に応じてモノを購入しなくて済むので、環境負荷のかかる大量消費をする必要がありません。

サステナブルな生活を実現しやすいと言えます。
 

フェーズフリーのデメリット


続いて、フェーズフリーのデメリットについても確認していきましょう。
 

まだまだ認知度が低く、商品のラインナップが少ない

 

前項で確認したように、フェーズフリーという考え方は比較的新しく、しっかりと認知している人は7.4%という調査結果も。※2

まだ社会へ浸透していない考え方であるため、取り組む企業も少なく、現段階では商品のラインナップが少ないことがデメリットに挙げられます。

しかし、今後フェーズフリーの認知度が上がれば、商品数やサービスの増加も期待できるのではないでしょうか。

 

値段が気になる商品も

 

フェーズフリー商品は、一般的な商品よりも価格が高い場合があります。

例えば、「ASLUK メモリ付き紙コップ」は一個あたり6.8円ですが、同社の通常の紙コップは5.28円です(2022年8月現在)。

とはいえ、そこまで大きな価格の差が目立つ商品カテゴリは少なく、日用品であれば手に取りやすい金額ということに変わりはありません。

また、フェーズフリー商品は一般的なアイテムにさらに価値を持たせた商品という見方もできます。適正価格ともいえるのではないでしょうか。
 

日常で使える!フェーズフリーな防災商品5選


フェーズフリー商品についてのイメージがつかめたところで、ここからは実際の商品を見ていきましょう。

家庭・オフィス問わず日常・非常時に活用できる商品5つを厳選しました。
 

バケツにもなる超撥水バッグ<ASKUL>

 

画像引用:【アスクル】 heart bridge(ハートブリッヂ) バッグにもバケツにもなる超撥水バッグ ベージュ 300758 1個 通販

最初に紹介するのは、バケツにもなるトートバッグ。

一見普通のバッグですが、水を入れて運べるほど撥水性に優れています。

日常ではパソコンや書類を雨から守れて便利ですし、災害時には給水用のバケツとして活用できます。

コンパクトに収納できるため、普段使うバッグに入れておき、サブバッグやエコバックとしての使用もおすすめ。丸洗いもOKなので、清潔に使い続けられるのもポイントです。

ちなみに、バケツにもなる超撥水バッグは「フェーズフリー認証」を受けています。第三者によって機関によって日常・非常時の有用性が証明されているので、いざというときも安心して使用できそうですね。

 

フェーズフリー認証商品とは


商品やサービスが、日常時も非常時も使用価値があることを証明するための制度。

「一般社団法人フェーズフリー協会」が運営しており、認証された商品、サービスには以下の「PF認証マーク」が掲げられる。

 

画像引用:フェーズフリー認証とは

 

ライト・懐中電灯にもなる靴ベラ「あっと!」<COLER.>


画像引用:color. / news

続いて紹介するのは、「2021フェーズフリーアワード/アイデア部門」にてBronze賞を獲得した商品「あっと!」。

日常時には靴ベラや、玄関を照らすライトとして、非常時や避難時には懐中電灯として活用できる商品です。

ユニークな形状は、商品名にもついている「!」マークがモチーフ。玄関から出かけ、帰宅するたびに、普段忘れがちな災害への意識を「あっと!」思い起こして欲しいという想いが込められているのだとか。

斬新でおしゃれなデザインなので、インテリアにこだわりのある方にも手に取っていただきたいフェーズフリー商品です。

 

フード付きクッション型寝袋<東急ハンズ >



画像引用:プロイデア SONAENO クッション型多機能寝袋 0070‐4060│防災用品 寝袋・レスキューシート|【東急ハンズネットストア】

普段はクッションとして使用でき、展開すると寝袋になるクッション型寝袋。

アウトドア用としてさまざまなメーカーから販売されていますが、東急ハンズの商品は災害時に役立つフードや内ポケットがついているのがポイントです。

もしもの時、避難所では「プライベート空間の確保」「貴重品管理」が課題となります。

そんな時、この寝袋を使えば内ポケットにスマホや財布などの貴重品を入れ、フードをすっぽり被って睡眠をとれるので安心できるのではないでしょうか。

デザインが気になる方は、サイズの合うお気に入りのクッションカバーをかけて使うのも良いかもしれません。家族の人数分、用意しておくと安心ですね。

 

1枚に15の優れた特長がつまったおしゃれ万能タオル<NOMADIX>

 


NOMADIX すべての商品|エシカミー

「NOMADIX(ノマディックス)」は、おしゃれなデザインと、一般的なタオルの約4倍の吸水・速乾力で人気を博しているタオルです。

1枚に15の優れた特長があり、タオル・レジャーシート・タオルケット・防寒具・ペット用のタオル・ヨガマット...と、用途は多岐にわたります。


NOMADIX すべての商品|エシカミー

特に、もしもの時に注目したいおすすめポイントは、乾きやすい・臭いが出にくいという点。

干せる場所や洗い変えできる回数も限られていて、衛生面が特に気になる災害時にも大活躍するフェーズフリー商品です。

ノマディクスのタオルは当サイト、エシカミーでも取り扱いがあります。デザインの種類も豊富に揃えていますので、お気に入りの一枚を探してみてくださいね。

 

ヴィ―ガン・アレルギー対応保存食品<Vエイドパン>



画像引用:Vエイドシリーズ | 東京ファインフーズ株式会社

最後に紹介するのは、ヴィーガン・ベジタリアンの方や、食物アレルギーをお持ちの方、小さなお子さまにおすすめできる保存食品「Vエイドパン」です。

卵、乳、はちみつなどの動物由来の原料を一切使用せず、アレルゲン25品目も保存料もフリー。

さらに、直接手を触れずに食べられる紙コップ包装なので、非常時はもちろんアウトドアにも最適です。

普段から消費しながら非常時の備えにもなる、ローリングストックの食品として備えておくと安心できそうですね。

 

日常でも大活躍のフェーズフリーな防災商品を揃えてみよう

 

この記事では、身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができる考え方、「フェーズフリー」について紹介しました。

災害時にしか使用しない、と考えるとなかなか購入しにくい防災用品ですが、日常でも活躍できるフェーズフリー商品なら手に取りやすくなるのではないでしょうか。

実際に使ってみたいと思った商品は積極的に日常に取り入れて、フェーズフリーな生活を始めてみましょう!



参考URL

※1フェーズフリーが握る今後のまちづくりのカギ。備えない防災とは | nec wisdom

※2フェーズフリーに関する調査を実施

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