オーガニックコットンは、肌がデリケートな方や地球環境について考えている方に特に注目されています。
オーガニックと聞くと、なんとなく肌や環境に優しいイメージを感じる方も多いのではないでしょうか?しかし、オーガニックコットンと通常のコットンを見比べても、違いがわかりづらいかもしません。
そもそもオーガニックコットンとは通常のコットンとどのように違い、どのような点が優れているのでしょうか。
そこで今回はオーガニックコットンが通常のコットンとどう違うのか、そしてオーガニックコットンを使ってどのようなものを作り活用できるのかについてご紹介します!
まずはオーガニックコットンがどんなものなのかについてみていきましょう。
オーガニックコットンは「有機栽培」により生産された綿
そもそもオーガニックとは、農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料によって生産された農産物のことを指す言葉です。日本語では「有機栽培」といいます。
化学肥料は窒素や鉱物などをもとに工場で科学的方法により生産した肥料で、即効性が高いのが特徴です。
それに対して有機肥料は油粕や鶏糞、魚粉、骨粉、米ぬか、草木灰などの有機物を使って作られます。有機肥料は土壌を改良し、持続性が高いという特徴があります。
オーガニックコットンは、オーガニック農法の基準に従い、認証機関に求められた農地で農薬や肥料の厳格な基準を守って育てられたコットンのことです。
>>オーガニックについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
オーガニックとは人体にも環境にも優しい?意味や認証機関についても解説
オーガニックコットンと普通のコットンとの違いは?
オーガニックコットンと普通のコットンの違いについて、生産方法や加工方法を詳しく見ていきましょう。違い①栽培するときに殺虫剤や農薬を使うかどうか
コットンと聞くと、天然の繊維素材で肌や環境によいイメージを持ちませんか?しかし綿花は麻にくらべると害虫に弱いため、多くの殺虫剤を使います。
参考元:NPO法人 日本オーガニックコットン協会
アメリカの環境保護庁(EPA)は綿花栽培に使用されている農薬のなかで、10種類の農薬について発がん性の疑いがあることを認めています。
殺虫剤の影響を受けるのは、虫だけではありません。
綿花の生産量第二位であるインドでは、綿花栽培に携わる方たちの健康に影響を与えているのです。
綿花の栽培地域である「コットンベルト」は開発途上国が多く、綿花栽培に携わる方たちは農薬への知識が乏しいため、防護服やマスクを使わず農薬や殺虫剤を散布しています。
それにより、めまいや倦怠感、吐き気、口内の麻痺といった健康被害が出てしまっているのです。
参考:日本オーガニックコットン協会 オーガニックコットンについて
オーガニックコットンの畑では殺虫剤の代わりに、トウモロコシなどの雑穀を植えます。そこでテントウムシなどの益虫を増やし、害虫を退治してもらいます。
もちろん化学肥料は使いません。その代わり、牛糞や堆肥などの有機肥料を使い、土壌を豊かに改良していきます。除草剤は使わず、耕運機で土を掘り起こして雑草も土壌の栄養とするのです。
違い②収穫方法
通常のコットンは綿花を収穫する前に、落葉剤を散布します。これは綿花の摘み取りの際、葉が混じると綿花に葉の色が付き、商品価値が下がってしまうからです。それを防ぐため、落葉剤を巻いて葉っぱだけを枯らし、綿花だけを摘み取りやすくなります。しかし撒かれた落葉剤は摘み取り作業をする方や、選別作業をする方などの体、そして周辺の自然環境にも影響を与えてしまいます。
オーガニックコットンの畑には、落葉剤は使いません。水を減らし、霜によって自然に葉が落ちるのをまってから収穫します。収穫までに時間も手間もかかりますが、その分、人の体にも自然にも安心なのです。
違い③加工の仕方
コットンというと「白」のイメージがあるかもしれません。しかし綿花が持つもともとの色は、うっすらと茶色がかかったアイボリーで、白ではないのです。
真っ白なコットンは、化学的な漂白剤を大量に使って作られることがあります。
こう聞くと、オーガニックコットンと表示されているものであればきちんと環境に配慮して製品加工されていると思うかもしれません。
しかし、オーガニックコットンは栽培基準である「オーガニック・ファーミング認証」は国定基準なのに対し、製品加工を行う「テキスタイル認証」の基準は、民間の基準組織が策定しています。
そのため、すべてのオーガニックコットン製品が、環境に配慮しているとはいいきれないのが現状です。
オーガニックコットンのテキスタイル認証については、大きくふたつの考え方があります。
ひとつ目は、せっかく環境に配慮して育てられたオーガニックコットンなのだから、製品にする時も環境負荷が少なくなるよう配慮すべきという考え方です。
もうひとつはオーガニックコットンを一定量使えば、製造加工方法は問わないというもの。
地球環境や使う方のことを考えれば、製品加工時も環境に配慮したものを選びたいという方は、「GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)」の認証を受けたものを選ぶことをおすすめします。
参考元:NPO法人 日本オーガニックコットン協会
こちらは毒性のある重金属やホルムアルデヒド、芳香族溶剤、遺伝子組み換え技術を使用した生物や酵素の使用禁止や、塩素系漂白の禁止、発がん性のある染料を禁止するなど、環境や安全性に配慮した基準を満たした製品にのみ認証されます。
オーガニックコットン製品であることを証明する認証機関
収穫された後のコットンは、普通に栽培されていても残留農薬はとても少なく、肌にダメージを与えることはありません。収穫されたコットンを科学的にテストしたとしても、オーガニックコットンと普通のコットンを判別することは難しいのです。ではどうやってオーガニックコットンか、普通のコットンかを消費者は知ることができるのでしょうか?
それを可能にしてくれるのが認証機関です。オーガニック認証機関では、綿花を栽培している農地管理や栽培方法を調べ、きちんと管理されている場合のみ認証を行います。
農薬や化学肥料を使わなければすぐにオーガニックコットンとして認められるわけではありません。厳しく定められた生産方法の基準に従い、2~3年以上オーガニック生産を実践しなくては、認証機関にオーガニックコットンとして認めてもらうことはできないのです。
一度認証を受けた後でも、毎年専門の検査員が農場に訪れて、きちんと基準が守られているかをチェックしています。
カラーコットンとは?
収穫された綿花は本来真っ白ではなく、茶色やグリーンがかっているものです。しかし、染色を施すためには白いコットンの方がきれいに染まるため、あえて綿花を漂白し、白いコットンにしています。この方法では漂白剤による汚染水が環境への負荷を大きくしてしまうため、染色をすることなく綿花本来の色を活かす「カラーコットン」が見直されてきています。
「カラーコットン」は化学的な薬剤を使わないため、光にあたったり、洗濯をしたりすることで元の色を保つことが難しいというデメリットがありますが、「使うほどに変わっていく風合いをあえて楽しむことができる」というメリットもあります。
オーガニックコットンのメリットとは?
生産や加工の違いがあることがわかりましたが、オーガニックコットンのメリットやデメリットにはどんなことがあるのでしょうか。
メリット①:肌にやさしい
普通のコットンは糸から生地になるまでに様々な化学処理が行われているため、生地が傷んでしまいます。化学薬品を使わず作られたオーガニックコットンの製品は生地の繊維の痛みが少なく、肌触りのよさや風合いが持続しやすいと言えます。>>肌にやさしいオーガニックナプキンについてもチェック!
オーガニックナプキンに変えたら生理が早く終わる?メリット・デメリット、おすすめ10選も
メリット②:環境にやさしい
栽培から加工に至るまで、多量の化学薬品が使われている普通のコットンに比べ、自然の方法で栽培されたオーガニックコットンが環境に優しいというのは言うまでもありません。オーガニックコットン製品を利用することで、自分も地球環境を良くすることに貢献していると感じられますね。
オーガニックコットンのデメリットとは?
コットン100%の衣類は生地が伸びづらく、少し窮屈さを感じる場合があったり、化学繊維を使っているものに比べて乾きづらいといったことがあったりしますが、ほとんどデメリットは無いと言ってよいでしょう。
オーガニックコットンブランド こだわりと価格帯も
オーガニックコットンは手間がかかりますが、安心で環境にも配慮したものを求める方たちに師事されています。そのため、様々なメーカーがこだわりながらオーガニックコットン製品を販売しているのです。
オーガニックコットンを販売しているメーカーと、各メーカーのこだわりや価格帯についてみていきましょう。
PRISTINE(プリスティン)
プリスティンは1996年に誕生したオーガニックコットンのライフスタイル提案ブランドです。オーガニックファーマーが育てた綿花を現地から輸入し、日本で糸から生地、縫製までを行って製品を作っています。環境に配慮し、コットンは染色せずに面そのものの色合いを活かして作られた服やライフスタイルテキスタイルが購入できます。ハンドメイド用の記事も販売しており、2.5mカットのコットン生地が約6,000円から購入できます。
Harmonature(ハーモネイチャー)
ハーモネイチャーは世界のオーガニックコットン衣料を厳選したオンラインストアです。オーガニックコットンのベビー服からレディース、メンズ、リビング用品などさまざまなブランドのオーガニックコットン製品が揃っています。日本だけでなく海外のレアブランドの商品も購入できるため、オーガニックコットンにこだわりたい方におすすめです。価格帯はブランドによっても異なりますが、ハンドメイド用のオーガニックコットンの毛糸玉が50g660円で購入できます。
Organically(オーガニカリー)
オーガニカリーは代官山にフラッグショップを持つオーガニックコットン専門のブランドです。信頼できるオーガニックコットンを使い、国産でベビー、レディース、メンズウェアなど幅広いアイテムを提案しています。夫婦二人で立ち上げたブランドで、オーガニック認証を得た品質の高いオーガニックコットンにこだわって作られているだけでなく、フェアトレードにもこだわっています。価格帯はアイテムによって異なりますが、レティ―スのTシャツで5,000円前後から購入できます。
Gunze(グンゼ)
グンゼはインナーウェアやレッグウェアを中心に商品を展開している日本のアパレルメーカーです。地球環境や社会貢献についても考慮しており、オーガニックコットンを使用した商品も揃っています。例えば「the GUNZE」というブランドラインではオーガニックコットンを使った男性用、女性用のインナーウェアが販売中です。価格帯はレディースインナーが1,500円から購入できます。
オーガニックコットン生地を使用して自分で作れるもの
オーガニックコットンを使った製品を購入して使うのもよいですが、オーガニックコットンの生地を使って自分でハンドメイドアイテムを作ってみるのも素敵です。
オーガニックコットンを使って自分で作れるものを紹介しましょう。
マスク
オーガニックコットンは肌触りがよく、安心して使える素材です。直接肌に触れて使うマスクもオーガニックコットンなら、毎日使いたくなります。通気性を考えて薄めのオーガニックコットン生地を使うと良いでしょう。
ベビースタイ
肌に優しく安心なオーガニックコットンは、大人はもちろんのこと、赤ちゃんの身の回りの物に使いたい素材です。オーガニックコットン生地を使った赤ちゃん用の肌着やベビー服は人気のアイテムとなっています。
ハンドメイド上級者であれば肌着も作れますが、ハンドメイド初心者には少しハードルが高いもの。そんな時はスタイを作ってみるのがおすすめです。
肌着よりも簡単ですし、手縫いでも大丈夫です。なんでも口に入れてしまう赤ちゃんだからこそ、農薬や殺虫剤を使わずに作られたオーガニックコットンを選びましょう。
ワンピースやスカートなどの服
オーガニックコットンの優しい天然の色は、ナチュラルなシルエットの服によく合います。ハンドメイドに慣れてきたら、シンプルなデザインのワンピースやスカートを仕立ててみるのもよいでしょう。世界にひとつのお気に入りの服が手に入ります。
オーガニックコットンの取り扱い方法
オーガニックコットンの中でも、テキスタイル認証を受けて製品加工時にも化学薬品を使わずに作られているものは、お手入れにも注意が必要です。
この点はオーガニックコットンのデメリットと言えるかもしれません。
染色や漂白をしていないコットンの色は、漂白剤や蛍光剤が入った洗剤を使うと変色する場合があります。
特に塩素系の漂白剤は、汚れ落ちはよいものの、せっかくのオーガニックコットンの風合いを損ねてしまうことがあるのです。
オーガニックコットンをお手入れする時は、石けんを使用して洗濯するのがよいでしょう。ネットに入れると毛羽立ちを防止できます。
洗濯後は風通しの良い日陰に干します。乾燥機は生地を傷める、縮みの原因になるので避けましょう。また天然染めの製品は色移りする可能性があります。
洗濯時には他の物と分けて洗うようにしましょう。
まとめ
オーガニックコットンは地球環境に優しく、安心して使うことのできる素材です。栽培時だけでなく、テキスタイル加工時にもオーガニック認証を受けられるものなら、肌に優しくより安心して使えます。オーガニックコットンは栽培や加工に手間がかかる分、通常のコットンよりも価格帯が高くなりがちです。
しかし、これからも私たちの地球が持続可能であるためにも、オーガニックコットンを選択する価値はあります。
地球にも肌にも優しいオーガニックコットンを使って、あなただけの作品を作ってみてくださいね!