ヴィーガンレザーとは?おすすめブランド紹介!経年劣化や耐久性、違いやデメリットも

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昨今、ヴィーガンレザーはさまざまなブランドで扱われるようになり、暮らしの中でも見かけるようになりました。
でも、「ヴィーガンレザーとは何か?」と聞かれると、うまく説明できない方も多いのではないでしょうか。

今回は、ヴィーガンレザーをはじめとした皮革の種類や、耐久年数、さらにおすすめブランドやアイテムなどを紹介します。

皮革のメリットやデメリットを知って、この機会にヴィーガンレザーデビューをしてみませんか?
 

ヴィーガンレザーとは

引用元:【アップルレザー】 色彩豊かなヴィーガン素材 - ニチモウ


動物の皮で作られた「本革」に対して、「ヴィーガンレザー」は、合成素材や植物などの非動物性の材料を使って作られた素材のことです。風合いや質感は本革に似せて作られているため、レザー(皮革)と呼ばれています。

「ヴィーガン」は、「動物性の食品や製品を避ける人や主義」という意味で、動物を使用していないこの素材の特徴に由来しています。

 

ヴィーガンについてはこちらの記事で詳しく紹介しています。

ヴィーガン(ビーガン)とは?ベジタリアンとの違いや実践者が感じたメリット・簡単レシピを紹介!

 

フェイクレザーやエコレザーとの違い

 ヴィーガンレザーと似た言葉として「フェイクレザー」、「エコレザー」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。それぞれどのような製品を指す言葉なのでしょうか。

 

フェイクレザーは本革ではない素材のこと

フェイクレザーのフェイクは「偽の」という意味がある通り、本革に似せて作られた皮革のことです。それに対して本革は「リアルレザー」と言われています。

 

エコレザーは「本革」にも「ヴィーガンレザー」にも使われる言葉

一方「エコレザー」という言葉は、本革とヴィーガンレザーとで異なる意味で使われています。
 

本革の場合

本革の場合は、製品の製造・輸送・販売・再利用の流れの中で、環境負荷を減らすことに配慮し、環境面への影響が少ないと認められる皮革を「エコレザー」と呼びます。エコレザーであることを証明するための基準として、

・皮革を製造する際に使用するホルムアルデヒトなどの化学物質の量が基準内であること
・皮革の製造工程で排出された革を再利用していること
・野生動物や養殖動物で取引証明書があること

 など、いくつかの条件があります。
これらは「日本エコレザー基準(JES)」に定められており、適合した革材料には、「日本エコレザー基準認証ラベル」が表示されます。

 

画像引用:日本エコレザー基準認定事業「エコレザーとは」

 

私たちが買い物をする際は、この認証ラベルのに表示されている認定番号から、生産した会社が分かるようになっています。

 

ヴィーガンレザーの場合

アパレルメーカーなどでは、エコレザーを「環境に優しい革」という意味で使っているケースが見受けられます。「素材としてはヴィーガンレザーだけれど、エコレザーと呼んで販売している」のがその例です。あるいは、本革より価格が安いため、「経済的な革」という意味も含まれているかもしれません。
 

以上のように 「エコレザー」という言葉は、本革にもヴィーガンレザーにも使われる言葉のようです。エコと一口に言っても、環境への配慮の定義はさまざまあるということに気づかされますね。

 

ヴィーガンレザーの種類

動物性の素材を使わないヴィーガンレザーには、「合成皮革(合皮)」「人工皮革」「植物皮革」の3つの種類があります。

 

合成皮革

合成皮革は、編物や織布といった基となる布地にポリウレタンなどの樹脂素材をコーティングして本革のような質感を再現したものです。

厚みや張りがあり加工しやすいことから、質感や色合いなどのバリエーションを持たせることも可能。そのため、商品の種類が多いのも特徴です。

 

人工皮革

人工皮革は、ナイロンやポリエステルなどの繊維を立体的に絡み合わせた不織布に、ポリウレタンなどの樹脂をコーティングして作られます。

合成皮革との違いは、基礎となる布の種類です。パッと見ただけではその違いはほとんどありませんが、人工皮革で使用する不織布は、本革に似た繊維構造を持つため、より本物に近い風合いが出ます。また、手法によっては本革と同じように加工できるのが特徴です。

 

植物皮革

合成皮革や人工皮革が石油由来の原料を使って作られているのに対し、リンゴやサボテンなどの植物を原料にして作られるのが植物皮革です。ものによっては、コーティングに使う樹脂も植物由来のものを使った完全にプラスチックフリーの製品もあり、合成皮革や人工皮革に比べてさらに環境に優しい素材として、今注目されています。 

 

天然素材が原料!植物皮革の種類とメリット・デメリット

サステナブルな素材として注目されていることから、さまざまな植物の皮革開発が行われています。 材料によってレザーにしたときの特徴があり、どんな製品に向いているかが異なります。ここでは5つを紹介します。

 

植物皮革①リンゴのレザー

引用元:The Apple Leather Tote-SAMARA

 

リンゴの皮や芯をすりつぶして作られているのが、リンゴのレザーです。ジュースの搾りかすや廃棄されるリンゴが使われています。

ソフトで軽く、水に強いのが特徴で、シューズやバッグ、お財布などの小物や、フォルクスワーゲンのシートにも採用されています。

 

植物皮革②サボテンのレザー

引用元:Re:nne

 

サボテンのレザーは、葉のみを粉末にしてレザーに加工されます。

 原産国のメキシコでは、水やりをほとんどしなくてもサボテンが自然に生えてきます。そのため、原料を育てる段階で他の植物よりも水の使用を抑えられる、よりエコな素材とも言えるでしょう。

 

植物皮革③キノコのレザー

引用元:マッシュルームレザー(ヴィーガンレザー)「Mylo™」と、新しい「つくる」をつくる。 -土屋鞄製造所

 

キノコの胞子から伸びる糸状の組織「菌糸体」で作られるのが、キノコのレザーです。

 菌糸体は、2週間程度という短い期間で生長するため、迅速で安定した生産ができるというメリットがあります。

 

植物皮革④パイナップルのレザー

引用元:【NIKE公式】エア フォース 1 'Pineapple' (CZ1631-100 / AF 1 '07 PRM). Nike SNKRS JP

 

パイナップルを収穫した際に廃棄される葉を利用して作られたのが、パイナップルレザーです。

 パイナップルの葉の繊維は丈夫で発色が良いのが特徴。衣服やシューズなどの製品にも向いています。

 

植物皮革⑤ブドウのレザー

引用元:VEGEA: innovative biomaterials for fashion & design

 

ワインを造るときに出るブドウの搾りかすを使って作られたのがブドウのレザーです。

 イタリアのベンチャー企業「ベジェア(VEGEA)」が開発したブドウレザーは、2019年にイギリスの高級車ベントレー(BENLEY)のシートに採用されたことでも話題になりました。

 

ヴィーガンレザーのメリット

天然素材が原料の皮革は、廃棄されるはずの搾りかすや葉が使われているので、資源を余すことなく使え、環境へのメリットは大きそうです。
他にも環境とレザーを紐づけて考えると、本革を作る工程の一つである「なめし」は動物の皮を製品化できるよう柔らかくするのに化学薬品と大量の水が使われ、環境や人々に大きな影響を与えます。ヴィーガンレザーはその点を解消できる素材としても有効です。

また、本革に比べればコストが安いため気軽に手に取りやすいことや、動物愛護に配慮した消費をしたい人にとってもヴィーガンレザーはメリットが多い素材です。

では一方で、ヴィーガンレザーのデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
 

ヴィーガンレザーは劣化しやすいのがデメリット|耐久年数の比較

ヴィーガンレザーは劣化しやすいということを聞いたことがあるかもしれませんが、実際にはどうなのでしょうか。 次の表では、耐久年数、価格、自然への循環が可能かという点をまとめています。
 


(参考:https://dete-diary.com/8883/ を元に、編集部にて作成)

 

ヴィーガンレザーの耐久年数は2~6年と本革に比べて短く、劣化しやすいのがデメリットです。さらに価格は、耐久年数に比例して高くなるようです。

 また環境に良いと言われる植物皮革でも一部にはポリエステル樹脂を使用する場合もあるため、自然環境にどの程度配慮された商品なのかは、原材料の構成によって判断する必要があるでしょう。

これら原材料の構成は、製品の耐久年数に影響することもあるようです。次の章で見てみましょう。

  

加水分解してしまう!?ヴィーガンレザーの経年劣化のメカニズム

「合皮のバッグが剥がれてボロボロになった」という経験はありませんか。合成皮革や人工皮革の剥がれやひび割れ、べたつきなどは、製品にコーティングされているポリウレタンなどの樹脂が原因です。この樹脂には、空気中の水分や紫外線、摩擦熱により分解されてしまう性質があるのです。植物皮革でも、ポリウレタンが使われている場合、加水分解する可能性はあります。

 たとえ使用せずにしまっておいたとしても、空気中には水分が存在するため劣化は避けられません。それでも、少しでも長く使いたいと思うものです。そのために、簡単なお手入れ方法を知っておくと良いでしょう。

 

ヴィーガンレザーを長持ちさせるお手入れ方法

ポリウレタン樹脂の加工が施されているヴィーガンレザーの寿命を少しでも延ばすためには、2つのポイントを押さえておきましょう。

 

  1. ①雨や汗などの水分にぬらさないようにする
  2. ②通気性の良い場所に保管する

 ポリウレタン樹脂は水分に弱いため、なるべくぬらさないようにするのがコツです。また、もしぬれてしまったら布やタオルで拭き取り、風通しの良い場所で乾かしましょう。

 

植物皮革のヴィーガンレザーは水に強い素材ですが、汚れや水分がついた場合には、水ぶき後にから拭きをすると良いでしょう。日頃のちょっとした心がけで、大切なアイテムを長くきれいに使うことができます。

 

ヴィーガンレザーを使用しているおすすめブランド3選

環境問題への世界的な関心の高まりもあり、各ブランドではヴィーガンレザーを使った製品を販売しています。 

おすすめブランド①:ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)

引用元:Women アイス S-Wave 1 スニーカー | Stella McCartney JP

 

ステラ マッカートニーは、2001年のブランド創設以来、ファッションのために動物や環境を犠牲にしないという考えを貫いています。

また、「環境への影響を最小限に抑えながら、最も美しく魅力的な製品を作る」「最先端の素材や動物由来の素材の代替品を生み出して循環型社会に取り組む」など、強いメッセージを発信しています。

画像のスニーカーは、ブドウの搾りかすで作られた植物性のレザーと、廃棄物を再利用したTPUというプラスチックを使用。

その他すべてのモデルに、リサイクル素材や植物由来の素材などを使用しており、足元からサステナブルなファッションを楽しめます。

 

おすすめブランド②:フォッシル(FOSSIL)

引用元:KIER カクタスレザー トート - ZB1615200 - Fossil

 

フォッシル(FOSSIL)は、ファッションアクセサリーを扱うグローバルライフスタイルブランドです。

 アメリカンヴィンテージを表現した腕時計が有名ですが、エコレザーや自然素材を採用したバッグや革小物も販売しています。

上の画像は、「ヴィーガンカクタス」というサボテンが原料のトートバッグです。内側には再生ポリエステルが使用されています。 同ブランドはサステナブルな取り組みを継続的に行っており、ヴィーガンレザーの製品のほか、ソーラームーブメントを搭載した腕時計などの地球に優しいアイテムを拡充しています。

 

おすすめブランド③:バナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)

引用元:ヴィーガンレザー ジョガーパンツ | Banana Republic

 

アメリカ発の洋服やアクセサリーブランドであるバナナ・リパブリック(BANANA REPUBLIC)は、製造過程で生じる環境負担の低減を目指して、独自に目標を設定して積極的に取り組んでいます。そのうちの一つが、2023年までに持続可能な調達方法を確立することです。現在、リサイクルコットンやインド産オーガニックコットンなどを仕入れることで、目標の76%を達成しています。

上の画像のジョガーパンツは、ポリエステルとポリウレタンのコーティングで作られているヴィーガンレザーです。

 

ヴィーガンレザーのおすすめバッグ・財布・時計4選

続いて、ヴィーガンレザーを使ったおすすめアイテムを紹介します。

 

バッグ|ヴィーガンレザートートバッグby SOÉJU(ソージュ)

引用元:ヴィーガンレザートートバッグ- SOÉJU online store|上質な大人の女性のための服飾小物 - SOÉJU online store (ソージュ オンラインストア)

 

SOÉJU(ソージュ)のヴィーガンレザートートバッグは、セルロース・サトウキビ・てんさいなどの自然由来の原料を65%という高い比率で使用しています。

 このレザーを生産しているのは、50年近い歴史のあるイタリアの会社。ヴィーガンレザーの弱点である耐久性を補強して、劣化しにくいことに加えて、色移りしにくいのが特徴です。

 13インチノートPCやA4ファイルも入る、使いやすいサイズ感。シンプルなデザインなので、さまざまなシーンで活躍します。

 >> SOÉJU(ソージュ)/ヴィーガンレザートートバックの詳細はこちら

 

財布|Apple Half-moon Wallet by LOVST TOKYO

引用元:アップルレザー製ウォレット「Apple Half-moon Wallet」| LOVST TOKYO, アップルレザー, ヴィーガンレザー, ビーガンレザー, 財布

 

LOVST TOKYOのApple Half-moon Walletは、リンゴジュースの搾りかすから作られたレザーを原料の一部に利用しています。

 2色展開で、どちらもシンプルで飽きのこないデザイン。カードは6枚入り、お札入れには仕切りポケット付きで、収納力も抜群です。コンパクトなので、バッグの中がかさばらないのも良いですね。 他にもバックパックやショルダーバッグ、キーホルダーなどのアイテムがあるので、気になる方はチェックしてみてくださいね。

 > LOVST TOKYO / Apple Half-moon Walletの詳細はこちら

 

時計①|TIME FOR FOOD by ethicame & FOOD TEXTILE

ethicameとFOOD TEXTILEのコラボレーションにより生まれたリストウォッチTIME FOR FOOD。ストラップにはコーヒーの出がらしで染色した食物由来のヴィーガンレザーを採用しています。肌に触れるストラップが天然素材なのはうれしいですね。

FOOD TEXTILEは、廃棄される食材をファッション業界で再活用するプロジェクトです。食品ロスが問題になっている今、食環境の在り方を見直す活動を展開しています。TIME FOR FOODを通じて食へのメッセージを伝えるのもそのうちの一つ。
他にも、形が不ぞろいで規格外となった本来廃棄される食材やカット野菜の切れ端などを買い取り、染色をする取り組みも行っています。

 

時計②|KERBHOLZ CLEMENS by KERBHOLZ(カーブホルツ)

キャプション:KERBHOLZ CLEMENSは2色展開。画像はBROWN。他にBLACKがあります。

KERBHOLZ(カーブホルツ)のリストウォッチKERBHOLZ CLEMENSは、ケースに木材を採用し、ストラップに紙素材のヴィーガンレザーを使用しています。

 同ブランドは、「よりサステナブルな商品は、よりよい商品である」という信念のもと、資源保全プロジェクトに資金援助を行う「Designing to Sustain」基金を設立。利益の10%をNGOやニカラグアでの植林、海洋プラスチックごみの回収除去などに毎年寄付しています。

木製のケースと紙製のヴィーガンレザーストラップの優しい風合いは、すっと腕になじんでほっと和ませてくれる、そんな相棒のような存在になるでしょう。

 

サステナブルなライフスタイルの第一歩に、ヴィーガンレザーを上手に取り入れよう

動物性の材料を使わずに作られるヴィーガンレザーは、サステナブルな素材として注目を集めており、廃棄するはずのものを材料にした植物皮革も続々と開発されています。ただし、合成皮革や人工皮革など石油由来の材料が使われている素材もヴィーガンレザーにあたることや、植物皮革の中でも製造過程に化学物質が使われることもあり、環境にどれくらい配慮できているのかは製品ごとに細かく見る必要があります。

革製品の種類は本革・ヴィーガンレザー含め多様にあるので、それぞれのメリットやデメリットをふまえて暮らしに取り入れていきたいですね!

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