SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」2つの重要キーワードを解説|企業や個人の取り組みも

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」2つの重要キーワードを解説|企業や個人の取り組みも


最近テレビやネットでSDGsを耳にする機会が増えてきました。

さらには自治体や企業も取り組みを展開してきたことで認知の高まりが加速しつつあり、SDGsが掲げる各目標の内容を詳しく知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」について、説明したいと思います。

実はこの目標14は、SDGs関連の検索キーワードの中でも上位に入る目標です。

2020年7月から開始されたレジ袋の有料化とも関連していることが理由としては考えられ、関心の高さが伺えます。

このように、SDGsは私たちの普段の生活とも密接な関わりをもっているため、目標14の詳細に加えて日常生活との関わりがイメージできるよう、具体例を交えながらポイントを説明していきます。
 

目次
1.SDGsとは
2.人類と海は切っても切れない関係
3.SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」を考える
4.①海洋汚染の解決
5.②海洋生物の保全
6.企業の取り組み
7.個人でも取り組めることがある
8.できることから始めよう

SDGsとは


まずは、SDGsの基本的な概要のおさらいです。

SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

この記事で取り上げる目標14「海の豊かさを守ろう」はその名の通り、全員で海を守っていこうといった内容です。

ではなぜこの目標14で海の保全が掲げられたのか。

目標の詳細に入る前に人類と海の関係について再確認しましょう。

人類と海は切っても切れない関係



目標14を読み解く上で重要な海と人類との関わりは、ユニセフが発表している「事実と数字」に詳しい記載があります。
 
"・海洋は地球の表面積の4分の3を占め、地球の水の97%を蓄えている
・海洋は、人間が作り出した二酸化炭素の約30%を吸収している
・海洋に関連した職業で生計を立てている人は世界で30億人に上る
・海面漁業は直接的もしくは間接的に、2億人以上を雇用している
・海洋は世界最大限のたんぱく源となっており、これを主なたんぱく源として摂取している人々は30億人に上る"
【国連広報センター「持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字」より引用】

これを見てわかるように、我々人類は誕生からこれまで海と共に生きてきました。

しかし、近年の環境汚染や魚の乱獲により海のバランスが壊れつつあるのです。

そこでSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」を設定し、持続可能な海洋にしていくための行動を促そうというものなのです。

現在の海と人類の関係がわかったところで、早速目標14を読み解いていきましょう。

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」を考える



SDGs目標14の「海の豊かさを守ろう」はキャッチコピーで、正式目標和訳は「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」です。

SDGsの各目標同様、目標14にも達成するための具体的な行動指針となるターゲットが設定されています。

次でそのターゲットの詳細を確認していきましょう。
 

ターゲット


まずはターゲットの読み方を簡単に説明します。

「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:14.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:14.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

目標14のターゲットは、①海洋汚染の解決②海洋生物の保全の2つの側面から構成されています。

ターゲットを読み解く上でのポイントは後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。

<まずは実際のターゲットを確認!>

14.1

 2025年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

14.2

 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。

14.3

 あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。

14.4

 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。

14.5

 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。

14.6

 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する**。

14.7

 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。

14.a

 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。

 14.b 

 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。

 14.c

 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。

 **現在進行中の世界貿易機関(WTO)交渉およびWTOドーハ開発アジェンダ、ならびに香港閣僚宣言のマンデートを考慮。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

ざっと目を通すと聞きなれない単語が並び、難しい内容で気が遠くなりそうですよね。

次からは目標14のターゲットを理解するためのポイントを説明していきます。

①海洋汚染の解決



まず1つ目は海洋汚染についてです。

これはターゲット14.1〜14.3・14.5に関わりがあります。

海洋汚染とは、大気中に排出される二酸化炭素や有害物質などによる「目に見えない汚染」と、工場・家庭からの排水、川や海に直接捨てられるゴミ・農薬、タンカーなどの事故による有害物質の流出などによる「目に見える汚染」の2つがあります。

どちらの汚染にも対策が必要ですが、SDGs目標14では特に、「目に見える汚染」にややウェイトが高く設定されています。
 

目に見える汚染




海に遊びに行くと、ゴミが波に流され海岸に打ち上げられたり、海底に沈んでいるのを目にすることがあります。

この海洋ゴミによって、生態系を含めた海洋環境の悪化、海岸機能の低下、景観への悪影響、航海の障害、漁業や観光への影響など、様々な問題が発生しているのです。

近年では海洋ゴミのなかでも特に、海洋プラスチックゴミに注目が集められてきました。

海洋プラスチックゴミに注目が集まったきっかけもともと海洋プラスチックゴミに関しては、専門家により長年議論が交わされていました。

それが私たち消費者の関心へと移ったきっかけが、SDGs採択の翌年2016年に開催された「世界経済フォーラム年次総会(通称「ダボス会議」)」に向け、エレンマッカーサー財団※1が、発表した報告書です。
 
※1
エレンマッカーサー財団とは、イギリス人女性のエレン・マッカーサーが設立した機関。特にSDGs目標12「つくる責任つかう責任」に関連するサーキュラーエコノミー(循環型社会)を推進している。

この報告書には、海洋に流れ出ているプラスチックごみの量は、世界全体でおよそ年間800万トン(2016年時点)に上り、このまま対策をしなければ2050年には魚の重量を上回ってしまうと書かれていました。

これにより一気に国際的な関心が高まり、さらには2017年6月に開催された「国連海洋会議」でも海洋プラスチックゴミが取り上げられたことで、世界の国々はもちろん、各ステークホルダーも問題解決に向けて動き出したのです。

海洋プラスチックゴミの影響は深刻注目が集まっている海洋プラスチックゴミですが、増えることで海洋にどのような影響を与えるのでしょうか。

主なものとしては、
 
・鳥や海洋生物が誤って食べてしまうことによる生物被害
・漁業用の網などに引っかかってしまうことが原因で海洋生物が死亡してしまう
・海岸の景観破壊・漁船のスクリューなどに絡まり操縦不能になる

などが挙げられます。

さらに、海に流出したプラスチックは、風や紫外線により粉々に形が崩れます。

これをマイクロプラスチックと呼びますが、表面に有害な化学物質が付着するケースが指摘されているのです。

このマイクロプラスチックを海洋生物が口にしてしまうことで、生態系への悪影響が懸念されます。

また、有害物質を含んだ魚が水揚げされれば、それが消費者の口に渡る可能性は高くなります。

このように、海洋生物だけでなく、まわりまわって人間にも影響を及ぼす海洋プラスチックゴミの影響は深刻なのです。

◆プラスチック削減に向けた世界の動き
こうしたなか、世界ではプラスチックゴミの削減に向けて、様々な動きが見られ始めています。

2018年1月に開催されたダボス会議では、コカ・コーラ、ペプシコ、エビアン、ウォルマート、ユニリーバ、ロレアル、マース、マークス&スペンサー、エコベール、アムール、Werner&Mertzのグローバル企業11社が、2025年までに、全パッケージを再利用、リサイクル、堆肥化可能な素材に変えることを宣言。

また、2018年6月に開催された「G7シャルルボワ・サミット」では、2030年までにすべてのプラスチックがリユース・リサイクル・回収可能にすることを目指す「海洋プラスチック憲章」が採択されました。

日本はこの「海洋プラスチック憲章」には合意しませんでしたが※22020年7月からレジ袋の有料化を義務付けるなど、プラスチックゴミ削減に向けて取り組みを進めています。

ここまでがターゲット14.1と14.2のおおまかな内容となり、プラスチックゴミなどによる海洋汚染を防止し、大幅に削減しながら、海や沿岸の生物の回復に取り組んでくことが掲げられているのです。
 
※2
日本が「海洋プラスチック憲章」に合意しなかった理由日本が「海洋プラスチック憲章」に合意しなかった理由は、衆議院のサイトの「海洋プラスチック憲章に関する質問主意書」に書かれています。
【以下引用】
"一 プラスチックごみが海洋汚染の原因となっているという認識は、署名した各国と変わりなく持っているのか、政府の見解を伺います。
→プラスチックごみを含む海洋ごみの生態系への脅威の緊急性に係る認識については我が国を含むG諸国の間で共有されている。
二 いかなる理由から合意文書に署名しなかったのか、政府の見解を伺います。
→我が国としては、御指摘の「海洋プラスチック憲章」の目指す方向性は共有するものの、同憲章が規定するあらゆるプラスチックの具体的な使用削減等を実現するに当たっては、国民生活や国民経済への影響を慎重に検討し、精査する必要があるため、今回参加を見送ることとしたものである。"
つまり海洋プラスチック憲章への理解はあるものの、合意する準備期間が短かったことが要因として挙げられています。
 

目に見えない汚染


次は目に見えない汚染について見てみましょう。

海洋酸性化の影響ターゲット14.3には、海洋酸性化の影響を最小限化すると書かれています。

海洋酸性化とは、大気中に放出された二酸化炭素を海洋が吸収して海洋自体が酸性化してしまうことです。

この海洋酸性化が進むと、海水中の化学性質が変化してしまい、海洋の二酸化炭素を吸収する力が低下。

その結果、吸収しきれない大気中に残る二酸化炭素の割合が増えて、温暖化が加速すると考えられているのです。



また、海洋酸性化により貝類やサンゴが骨格や貝殻を作れなくなってしまい、生態系への影響が懸念されています。

この海洋酸性化の水準は産業革命の開始から現在までに26%上昇しており、早急な対策が求められます。

ここまで見てきたように、①海洋汚染を解決するためには、目に見える汚染と目に見えない汚染両軸からの取り組みが必要なのです。

②海洋生物の保全

①海洋汚染への取り組みと同時に、②海洋生物の保全についても考えていかなければなりません。

先ほど触れたように、海洋汚染がきっかけで海洋生物に深刻な影響を与えることはもちろん、いきすぎた捕獲により生態系のバランスが壊れるなど、その在り方を見つめ直す必要もあります。

では、海洋生物にまつわる現状を見ていきましょう。
 

水産物の需要は増えている




世界の1人当たりの水産物の消費量はこの50年で2倍以上に増加しており、ペースは衰えを見せません。

要因として、近年、加工や輸送技術の向上によって水産物の国際的な流通が発展したことが挙げられます。

これによりスーパーなどの小売店が、国際的なフードシステム(捕獲から消費者の手元に届くまでの一連の流れ)とつながりやすくなりました。

またスーパーなどが数多く存在する都市の人口が世界的に増加していることで、食品を購入することが容易になった新興国や途上国の人々が、それまでの芋類中心の食生活から魚や肉中心の食生活に移行しつつあることも考えられます。

加えて、世界的な健康志向の高まりにより、年々水産物の需要は増えています。
 

漁業・養殖生産量の推移


この需要の高まりに合わせ、漁業・養殖業生産量も年々増加しています。

<漁業・養殖業生産量の推移>

引用元:水産庁
内水面:川や湖沼などの淡水魚介類

2016年の漁業・養殖業生産量は202,239,039トンで、1960年の36,778,556トンと比べて5倍以上の数値になっており、今後も増加が予想されています。

その内訳をもう少し詳しく見てみましょう。

海面漁船漁業・内水面漁船漁業は、約9,000万トンから大きく変動せずにほぼ横ばいで推移しているのに対して、内水面・海面養殖業が数値を伸ばしています。

この養殖業の増加は、主に中国などの内水面養殖による増加や、工業用原料としての藻類養殖が大部分を占めていますが、増え続ける消費を今後養殖が支えていくことになるのは明白と言えるでしょう。
 

漁獲量の増加による弊害


漁業・養殖生産量が増加している一方で、持続可能なレベルで漁獲されている状態の資源の割合が次第に減ってきているという課題があります。

<世界の海洋資源状況>

引用元:水産庁

このグラフでは、海洋生物の資源状況がまとめられています。
 
・適正又は低・未利用状態の資源(青色)→あまり漁獲されていない魚の割合
・適正利用状態の資源(緑色)→適正レベルで漁獲されている魚の割合
・過剰利用状態の資源(オレンジ)→乱獲傾向にある魚の割合

つまり、魚を過剰に獲りすぎたことにより減少してしまい、ゆくゆくは絶滅してしまう可能性も考えられるということがわかります。

日本人が好むマグロを例に見てみましょう。

日本はマグロの消費が多い国で、世界で漁獲されるほとんどのマグロを消費しています。

特にその中でも本マグロと呼ばれる太平洋クロマグロは競い合うように漁獲していた時期がありました。

◆漁獲された太平洋クロマグロの70%が0歳魚
水産庁によると、その漁獲された太平洋クロマグロの約70%が0歳魚です。

子供を産む年齢(親魚といわれる状態)になる前に捕獲してしまうことで、新たなクロマグロが生産されなくなってしまいます。

これによりクロマグロの数はみるみるうちに減少。

2016年の太平洋クロマグロの親魚資源量は、約2万1千トンで、初期資源量の3.3%まで減少していると推定されることから、問題の大きさがわかるのではないでしょうか。

このように、いきすぎた過剰漁獲により、生物学的に持続可能なレベルを大きく下回ってしまったことで、2014年国際自然保護連合(IUCN)で、太平洋クロマグロは絶滅危惧種に指定されました。

話を<世界の海洋資源状況>の表に戻しましょう。

1974年はこの生物学的に持続可能なレベルを下回っている資源は10%だったのに対し、2015年には31%まで上昇しています。

世界の足並み揃えた漁業の管理が必要になるのです。
 

漁業の管理体制を整える




ではこの管理体制を整える上で、どのような取り組みが求められるのでしょうか。

ターゲット14.4・14.6に関連しますが、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了させることが必要不可欠です。

ここにあるIUU漁業とは、
 
・密漁、禁止されている器具の使用をしている違法漁業(Illegal)
・漁業、漁獲量を報告しない、もしくは実際の漁獲量よりも少なく報告している漁業(Unreported)
・漁船が所属している国家や規制に従わない漁業(Unregulated)

の3つをまとめて指します。

このIUU漁業の対策はすでに行われており、状況が改善されてきた魚種も見られるようになりました。

具体的な取り組み内容は、水産庁の「漁獲証明制度に関する現状と課題」でまとめられています。
 
"●FAOは、2001年にIUU漁業対策の考え方を取りまとめた国際行動計画を発表。加盟国が行う自主的なものとして、IUU漁業を防止、抑止、排除することを目的に、
・旗国の行うべきこと(漁船の登録、漁船の記録、操業の管理など)
・沿岸国の行うべきこと(EEZ(排他的経済水域)内の漁業管理、IUU漁船の許可の制限など)
・寄港国の行うべきこと(港湾管理(寄港国によるIUU漁船の寄港の禁止、漁船検査など))
・すべての国が行うべきこと(国際的に合意された市場関連措置)などについて規定。
●また、マグロ類(大西洋クロマグロ、ミナミマグロ)については、違法に漁獲されたマグロの取引を防止するため、2007年以降、各地域漁業管理機関(RFMO)が漁獲証明制度を導入。"
水産庁「IUU漁業による漁獲懸念のある水産物の流入を防ぐ 漁獲証明制度の検討について」より引用

これらの対策は、複雑且つ難解であるので、「このような取り組みがある」程度の認識で問題ありません。

企業の取り組み

ここまでSDGs目標14が目指すゴールがなんとなく理解できたのではないでしょうか。

次に、この目標14に対して実際に行われている企業の取り組みを見ていきましょう。
 

【海洋汚染の解決】株式会社ピー・エス・インターナショナル




株式会社ピー・エス・インターナショナルでは、海洋汚染の解決に向けてプラスチックの削減に取り組んでいます。

取り扱っている固形シャンプーバーのエティークは、市場で販売されているビューティープロダクツが環境に与える問題に着目し、ニュージーランドで設立されました。

年間800億本廃棄されるシャンプーとコンディショナーのプラスティックボトルは、たったの9%しかリサイクルされていません。

そこで容器のない固形バー(髪や頭皮に必要な美容液成分と、必要最小限の洗浄成分を凝縮したシャンプー・コンディショナー)を作り、2019年までの7年間で600万本のプラスティックボトルの削減を実現しました。

2025年までに5,000万本削減を目標にしています。

またすべてのパッケージは生分解性(微生物によって分解される物質のこと)によるもので作られており、パッケージから商品に至るまですべての過程において、環境・動物・人体に影響を及ぼさないよう工夫されています。

また商品とあわせて、地球環境や海洋動物についての月刊情報誌を同梱し、親子、パートナー、家族で「環境」のことを話すきっかけを作れるような取り組みも行っています。

>>エティークの詳細はこちら

【海洋生物の保全】マルハニチロ株式会社


マルハニチロ株式会社では、魚を身近に感じて考える機会を増やすことを目的として専門のウェブマガジンサイト「海といのちの未来をつくる」を開設。

魚の生態や食べ方まで、普段ではなかなか知ることのできない情報を発信しています。

世界的には魚の消費量が上がっているものの、日本では魚離れが進んでおり、目標14をなかなか自分ゴト化できない方も増えていることが考えられます。

そんな方にとっては、このサイトを通して魚についての知識を増やし、興味を持つことで「海の今」をよりリアルに感じることができるのではないでしょうか。

ウェブマガジンの他にも、動画コンテンツやデータもまとめられているので、気になったものから見てみるといいでしょう。

SDGs目標14に関しては、具体的な解決につながる取り組みを展開することはなかなか難しい場合があります。

しかし、このように認知を高める活動も目標達成への第一歩になるため、企業や自治体でもできることから取り組んでいくことが求められます。

個人でも取り組めることがある



私たち個人も、「正しい商品を選択する」ことで、達成に貢献することができます。

ではその「正しい選択をする」ためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
 

水産エコラベルがついた商品を選ぶ


まずは水産エコラベルがついた商品を選択することが第一歩です。

水産エコラベルとは、生態系や資源の持続性に配慮した方法で漁獲・生産された水産物に発行される専用のラベルを指します。

2011年にFAOが「養殖業及び内水面漁業に関する認証スキーム」を策定したことで、世界中で水産エコラベル認証の取り組みが推進されるようになりました。

日本では、「海のエコラベル(MSCラベル)」と「マリン・エコラベル」の2種類のエコラベルを使用しています。

◆海のエコラベル(MSCラベル)

引用元:MSC日本事務所

海のエコラベルは、MSC(MarineStewardshipCouncil:海洋管理協議会)が定める、
・漁獲時期
・魚の大きさ
・他の生物に優しい漁具を使う
などの国際的な厳しいルールに則って獲られた水産物に与えられるラベルです。

しかし認証を受けるための費用が高額になるため、単一魚種を対象とする大規模な漁業(1種類の魚のみを漁獲する漁業)の認証が多い傾向があるようです。

◆マリン・エコラベル

引用元:一般社団法人 マリン・エコラベル・ジャパン協議会

海のエコラベル(MSCラベル)が国際的な認証であったのに対しマリン・エコラベルは、日本の認証機関であるマリン・エコラベル・ジャパンによって発行されるラベルです。

日本は、小規模で多様な漁業(定置網漁などで様々な種類の魚を漁獲する漁)が主流のため、海のエコラベル(MSCラベル)の認証を受けるための費用がネックとなり、普及が進まなかった背景があります。

そこで、認証にかかる経済的な負担を軽減できる仕組みを取り入れた日本独自のマリン・エコラベルが誕生しました。

スーパーでこれらのラベルが貼られた商品を選ぶことで、それが漁業者への支援にもつながり、巡り巡って水産資源の保全にも貢献できます。
 

プラスチック製品の利用を減らす




日常生活でもう少し手軽にできる取り組みとして、プラスチック製品の利用を減らしてみるのも1つの手です。

国連開発計画(UNDP)のサイトにおすすめの方法がまとめられていたので紹介します。
 
1.竹製の歯ブラシを使う
2.自然由来のファイバーデンタルフロスを使う
3.テフロン加工のフライパンは避ける
4.使い捨てのプラスチックかみそりの使用をやめる
5.プラスチックの材料が含まれないヘアケア製品を使う
6.自然由来のスキンケア商品を使う
7.オーガニックコットンを使う
8.釣りへ出かけたら漁具、釣り糸を持ち帰る
9.パーティーやお祝いでのバルーンの使用は控える
10.ペットボトル飲料の代わりにマイボトルを使う
11.ビニール袋の利用を控えるためにエコバックを持ち歩く
12.プラスチックストローの利用を控える
13.天然の生地や繊維の衣服を選ぶ
14.食器を洗う際には、天然素材のスポンジや洗剤を使う
15.プラスチックフリーの包装を選ぶ
16.ポイ捨てしない
17.市民活動に参加する(地域のゴミ清掃活動など)
参考元:国連開発計画(UNDP)「プラスチックを使わず生活する20の方法」

これらすべてを一度に始めようとするのは大変なので、できることをみつけて少しずつ実践すると良いですね。

できることから始めよう


ここまでSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」について①海洋汚染の解決②海洋生物の保全の2つの観点からポイントを見てきました。

目標14では、目に見えない海洋汚染や、目に見える海洋ゴミによる海洋汚染、いき過ぎた漁業による生物の減少などの課題の解決が求められています。

世界中の人々が海を守る共通認識を持ち、取り組みを始めることは大変なチャレンジではありますが、1人1人ができることを積み重ねることが持続可能な海を守ることへつながるはずです。

ゴミを捨てないこと・海岸沿いのゴミを拾うなど、個人でもできることはたくさんあります。

是非今日からSDGsを意識した生活を送ってみてはいかがでしょうか。

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SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」を考える|押さえたい2つのポイントを説明!
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