エシカルとは?サステナブルとの違いやエシカル消費、ファッション、私たちにできること

LINE Twitter Facebook note

環境問題や人権問題を取り上げる際によく聞くのが「エシカル」という言葉。

オーガニックやサスティナブルとはまた違う意味を持ち、エシカルとは地球環境や生産者を意識した消費行動に直結した考え方のことです。
この記事では、エシカルについて詳しく解説していきます!
 

目次

1.エシカルとは
2.エシカルに配慮しない生産活動とは?
3.私たちにできる「エシカル消費」とは?
4.エシカルファッションとは
5.エシカル食品とは
6.エシカル商品の選び方
7.SDGsとの関係性
8.エティークでエシカル消費を始めよう
9.エシカル消費で持続可能な地球へ
 

エシカルとは



エシカルは直訳すると「倫理的な」「道徳的な」という意味があります。

言い換えて、エシカルは「数多くの人が正しいと思うこと」や「良識的・公平的に考えるとこうである」という考え方をすることと理解すると良いでしょう。

エシカルの広がりは、環境問題や人権問題の解決に繋がると考えられています。
 

エシカルが必要とされる理由




エシカル消費は大きく「環境消費」「社会消費」「地域消費」の3つに分かれます。

「環境」「社会」「地域」に配慮した消費を行うことで、次のような問題が解決に向かうと言われています。
 
●環境
水質汚染や資源の使いすぎなどによる環境破壊。

●人や社会
社会的に立場の弱い人たちを低賃金で働かせることや、児童労働などの社会問題。

●地域
地産地消では生産物を地域以外に送る際の二酸化炭素排出や地域経済の損失。

例えば東南アジアの発展途上国の1つであるバングラデシュでは、縫製工場の崩壊事故により、多くの生産者が犠牲になりましたが、そこでは先進国で人気のファストファションブランドの商品が作られていた生産背景がありました。

長時間労働や低賃金で過酷な労働を強いられていることがこの事故につながったと言われており、世界的な問題になっています。

 

エシカルが社会問題を解決する

このように労働搾取や児童労働などの社会的問題、環境破壊は地球環境に悪影響を及ぼしています。

エシカルの考えを持ち、商品の生産過程や、生産に関わる人たちの生活背景にまで目を向けることで、人や環境に配慮していない商品を買わないという選択ができるようになります。

一人ひとりの消費行動が「エシカル」に変わっていくことで、人や環境に配慮していない商品は売れにくくなれば、企業は生産活動を見直さなければなりません。

このようにエシカルの広がりは、社会問題の解決につながっていくのです。

 

サステナブルとの違いは?

「エシカル」と同様に「サステナブル」という言葉にも注目が集まっています。
エシカルが「倫理的な」「道徳的な」という意味であるのに対し、サステナブル(Sustainable)は直訳すると「持続可能な」という意味です。

地球環境への配慮や人権の保護など、地球上のすべての存在がより良くあることを目指すという前提はエシカルもサステナブルも同じです。
そのうえで、エシカルは「すべての存在がより良くあるために、多くの人にとって倫理的な行動(活動)を個々人で意識し、行っていくこと」を指します。
サステナブルは「すべての存在がより良くあるための、システムや活動があり、それらが地球全体で長期的に行われていく」ことを指します。

個人のエシカルな行動が結果的にサステナブルな社会づくりに貢献するという関係性にあると言えます。

>>「サステナブル(Sustainable)」についてさらに詳しく知りたい方はこちら
サステナブル(Sustainable)とは?持続可能な世界に発展するための新しい考えを暮らしに取り入れよう
 

エシカルに配慮しない生産活動とは?

先進国では発展途上国で起こっている生産背景を知らずに、生産活動を行っている企業があります。

ここでは、「環境」と「人」に配慮しない生産活動の例をご紹介します。
 

環境・地域に配慮しない生産活動の例



商品の生産過程で出るゴミや産業廃棄物の排出は、気候変動による地球温暖化や水質汚染などの原因となります。

2018年には神奈川県の浜辺に打ち上げられたクジラの胃の中から、大量のプラスチックゴミが出てきた事例や、2019年にも同様にフィリピンでクジラの胃の中から約40kgものビニール袋が出現するなどの事例が報告されているのです。

クジラ以外にも海の生き物が、エサと間違えてプラスチックゴミやビニール袋を食べて、死んでしまうケースは多数報告されています。

年間約500万トン〜1000万トン以上ものプラスチックゴミが海に流れ込んでいるという事実がある中で、このままいけば2050年には海へ流れ込むプラスチックゴミは海中の魚の量を上回るのではないかと言われています。
参考:WWF「海洋プラスチック問題について」

 

人に配慮しない生産活動の例



特に途上国では、生産にかける時間や労力に釣り合わない賃金で働き、十分な生活をおくるのに必要な賃金が得られない人たちがいます。

この中には暮らしのために児童が働いているケースもあり、教育を受ける機会が失われています。

このように、労働に見合った賃金を得ることのできる「フェアトレード」の考え方や、生活に最低限必要な給与である「リヴィングウェイジ」が守られていない現実が世の中にはあるのです。

中でも、フェアトレードがなされていないケースが特に多いのが、コーヒー豆やバナナ、チョコレートです。

チョコレートの原料であるカカオの主な生産地である西アフリカ諸国では、約200万人の児童がカカオ農場での労働を強いられていると言われています。

食べ物以外でも、90年代に取り上げられたパキスタンでのサッカーボール作りは、児童が低賃金でボールを手縫いしている現状があり、深刻な児童労働が問題となりました。

改善はされたものの、未だ低賃金や児童労働の実態があるようです。
参考:NGO ACE「児童労働とは(特集記事)」
 

私たちにできる「エシカル消費」とは?



環境地域や人に配慮しない生産活動が行われている現状を受けて、エシカル消費という考え方が広がりつつあります。

エシカル消費とは、衣服や化粧品をはじめとした製品の「製造・処分過程」まで見据え、生産者や地球環境に配慮した消費行動を行うことを指します。

ここでは、エシカル消費のもたらすメリットや、エシカル消費の具体例を見ていきましょう。

 

エシカル消費に必要な3つの考え

エシカル消費を日常生活に取り入れるには、日頃の消費行動を「環境」「人・社会」「地域」の3つの観点で見直してみることをおすすめします。

例えば、美容製品の消費活動をこの3つの観点で見直すとしたら、次のポイントを意識すると良いでしょう。

 

「環境」「人・社会」「地域」を意識したエシカル消費のポイント

 
 
環境
 ①生分解性のあるものを選ぶ
 ②オーガニックや自然由来の原材料を使用しているものを選ぶ
 ③動物実験を行っていないものを選ぶ
 人・社会 
 ①フェアトレード製品を選ぶ
 ②エシカル金融の利用
 ③障害者が製作した製品を選ぶ(寄付金付き)
地域
 ①地域の資源や水を使用したものを選ぶ
 ②地域産業や伝統を守っているものを選ぶ


製品のパッケージを見ただけではわからない人は、パッケージに記載されているオーガニック認証マークやエコマーク、国際フェアトレード認証マークなどを確認して商品を選択することで、エシカル消費を実現していくことができます。

地域に関しては、最近では野菜などにも実際に作った人の写真の記載があるように、化粧品でも産地のものを使用した記載があるものを選ぶことができます。
 

エシカルファッションとは


「エシカルファッション」とは、環境問題や労働問題、社会問題に配慮した素材を選び、生産し、販売を行っているファッション業界の取り組みを指します。
具体的には、生産時の化学物質の管理、汚染削減、環境に優しい素材の使用、リサイクルや循環アプローチを用いる、アニマルフレンドリーなど、独自のエシカルファッション推進団体が条件を定め、実行しています。

エシカルファッションが広がることで、衣服の素材を育てる際に使われている農薬や殺虫剤の削減や、染色のための漂白剤の削減、ファッション製品生産に関わる労働者の最低賃金の確保などにつながっていきます。

>>エシカルファッションについてより詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
エシカルファッションとは?目的や意義・選び方簡単に説明!おすすめブランドの紹介も

 

エシカル食品とは

「エシカル食品(エシカルフード)」とは、環境問題や労働問題、社会問題に配慮した食品のことです。
具体的には、オーガニック・無農薬などの環境にやさしい方法で生産された原材料の使用や、フェアトレードな食材の使用、生産の過程でのCO2排出削減、アップサイクルされた食材の使用などがあげられます。
エシカル食品を選ぶ目印として、「有機JASマーク」や「国際フェアトレード認証マーク」「レインフォレストアライアンス認証マーク」など食品についた認証マークがあります。

エシカル食品が広がることで、食品ロス(フードロス)の削減や、農産物に対する農薬・殺虫剤の削減、食品生産に関わる労働者の問題解決などにつながっていきます。

エシカル商品の選び方

1つ1つの製品に対して、その製品がエシカルかどうか?を自分で見極めるのが難しい!と感じる方もいらっしゃいますよね。

そういうときは、次のような製品を選ぶと良いでしょう。
 
・フェアトレード製品を選ぶ
・オーガニック製品を選ぶ
・フードロスをしない製品を選ぶ

それぞれを具体的にご紹介します。

 

フェアトレード製品を選ぶ




エシカル消費行動の1つの例は、フェアトレード製品を選ぶことです。

適正価格で取引されるフェアトレード製品を選ぶことは、貧困や低賃金で働く人たちをサポートし、守っていくことにつながります。

発展途上国ではスマホも普及し、情報化社会になりつつある中でフェアでないと理解しながらも過酷な労働を強いられながら生活している人もいます。

適正な価格による適正な賃金で、生活する上で困らない必要最低限の暮らしができるようにすることが本来の形であるとともに、「人・社会」の問題を解決します。

フェアトレード製品を選ぶことは、発展途上国の人たちを貧困や重労働環境から救い、当たり前の生活ができるように手助けするエシカルな選択と言えます。

このように人として当たり前の生活ができるように適正な価格設定で販売されているフェアトレード製品ですが、見分けるには基本的には国際フェアトレード認定ラベルが付いているかどうか確認することです。

 

フェアトレード製品でも品質が低下することはない

また、フェアトレードのよくある疑問として、「フェアトレード製品は商品の品質が下がるの?」と言った不安の声を耳にすることがありますが、フェアトレード製品だからと言って、商品の質を不安視することはないでしょう。

例えば、マザーハウスというブランドでは、バングラデシュの特産品ジュートを使用したバッグや小物が人気を集め、日本には直営店があります。

ブランドを立ち上げた山口さんはバングラデシュの貧困の問題を解決するべく「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という信念の元、フェアトレード製品でも品質向上を目指し、質の高い商品を作っています。
 

オーガニック製品を選ぶ




オーガニック製品を選ぶことも、エシカル消費の1つです。

食品はもちろん、化粧品や衣類にもオーガニック認証のものがあり、化学成分を使用せずに自然由来の原材料から作られた環境に配慮された製品です。

多くの化粧品で使用されている化学成分の中でも、お肌に吸収されることにより健康に悪影響を及ぼすものあり、排水を通じて海に流れ出たものが自然界に戻されると環境にも悪影響です。

また、化粧品にも動物実験を行っているものがあるため、自然界の動物たちが犠牲になっています。

オーガニック製品を選ぶことは、自然由来の成分が人体への安全性を守り、動物の命を守り、クリーンな地球環境を持続させることを実現できる「環境」に配慮した消費行動なのです。

 

見分ける方法は認証マーク

オーガニック製品かどうかを見分けるには、オーガニック認証マークが製品に付いているかを確認します。

オーガニック認証マークは世界的に数多くあり、海外では「エコサート」や「USDA」などが代表的なオーガニック認証マークで、日本では「有機JASマーク」が認証されています。

オーガニック認証マークが付いていない製品は「オーガニック」と名乗って販売することはできません。
 

 

フードロスをしない




エシカル消費の具体事例の一つとして、フードロスをしないことがあります。

フードロスとは食品を余分に購入せずに、必要な分だけを必要な時に購入することです。

フードロスは「消費期限内に食べきれずに廃棄してしまった」「腐らせて廃棄してしまった」「外食で食べ残してしまった」などのフードロスが多くの家庭で発生しています。

フードロスが起こることで廃棄量が増えてしまうだけでなく、農家の人など生産者が丹精込めて作ったものをダメにしてしまうことで、「環境」と「地域」の配慮に欠けた行動になってしまいます。

フードロスをしないことで、廃棄がなくなり、様々な変化をもたらしてくれます。

 

フードロスの削減がもたらす効果

 
・資源の無駄がなくなる
・温室効果ガスの削減健康促進になる
・経済的損失がなくなる
・貧困問題を解決する

また、フードロスをしないための工夫はこちらです。
 
・必要なものを必要な時に購入する
・消費期限が近づいてきたら冷凍する
・外食時に食べ残した分は持ち帰りができるかどうか確認する
・フードバンクを利用する(廃棄される前の食品を、食事に困っている人たちに届けるサービス)
・フードシェアリングを利用する(食品が余ってしまった飲食店が低価格で消費者に提供するサービス)


セブンイレブンやローソンのコンビニでは、消費期限が近づいた商品を購入した人にポイントを還元するなど、廃棄ロスの削減に乗り出しています。

また、ロッテでは、食べ物に困っている人などに提供するフードバンクを活用してフードロス削減に取り組んでいます。

2028年には50%削減する目標を掲げています。

このように企業もフードロスの削減に向けて行動を起こし始めているのです。

 

SDGsとの関係性




「持続可能な開発目標」であるSDGsには17の目標がありますが、より良い地球環境にするために国際社会全体で取り組むべき目標が掲げられています。

特にエシカルと関係の深い目標はこちらです。
 
目標1「貧困をなくそう」
目標10「人や国の不平等をなくそう」
目標12「つくる責任 つかう責任」
目標14「海の豊かさを守ろう」
目標15「陸の豊かさを守ろう」


これらの環境目線の目標は、エシカル消費を意識することによって改善することができます。

「長く使えるものを購入する」「フェアトレード製品を購入する」「オーガニック製品を購入する」というエシカル思考な消費行動は、SDGsが掲げる目標に貢献することになるのです。

特に、SDGsの目標12に掲げられた「つくる責任 つかう責任」は、生産と消費においての行動を変えることが廃棄物などの排出を抑えることを目指すため、エシカル消費と深く関わりがあると言えます。
 

エシカル消費に対して私たちにできること

エシカル消費を行うにあたって、エシカルな考えのもと作られた製品を選ぶことが環境や人・社会、地域を守っていくことにつながるとご紹介しました。
そこでエシカル消費の第一歩として、オススメなのが原材料からパッケージまでサスティナブルな製品で統一された固形バーで人気の「エティーク」です。

 

エティークが生まれた背景



エティークは2012年に生まれたサスティナブル思考のヘアケアブランドで、プラスチックの廃棄による海の汚染問題に着目して、製品にプラスチックを使用しないことや化学物質を使用しないことを掲げています。

特徴は固形化しているソープバーで、プラスチック容器を排除しています。

多くのシャンプーやコンディショナーで使用されているプラスチック容器は、ほとんどが海に流されていきます。

これによりマイクロプラスチックを保有した海洋生物が増え、海の汚染だけでなく、それらを食べる私たちの健康にも影響があります。

また、公正な取引によるフェアトレードが行われていない途上国は今でも存在し、安価なものを低賃金で生産させ、人件費としても適正価格ではない労働を強いられている人たちがいます。

エティークはこのような問題を解決するべく、パッケージや原材料にも配慮しています。
 

普段使っているシャンプーを固形バーに変えてみよう




固形バーにすることで、海にプラスチックが流出せずに水質汚染や海洋生物を守ることができます。

エティークのパッケージはプラスチックを排除して、すべて生分解性のあるものを使用することで海の問題を解決します。

ちなみに2025年までには約1000万本のプラスチックボトルの削減を目標としています。

また、サモア産のココナッツオイルとカカオバターを使用して、フェアトレードを意識しながら機能しているブランドです。

それだけではなく、児童労働が問題になっている主原料を使用せず、主原料のすべてはリヴィングウェイジの観点からきています。

普段使っているシャンプーをエティークに変えてみるところから、エシカルな消費を始めてみてはいかがでしょうか?

エシカル消費で持続可能な地球へ



エシカル消費は、エシカル的な考え方で作られたものを購入することに加えて、まずは一人一人のエシカルに対する意識を高めることで、「環境」「人・社会」「地域」を守ることにつながっていきます。

積極的にエシカル消費行動をして、地球の未来を持続させていきましょう。

LINE Twitter Facebook note
サステナブルデザインとは?身の回りの取り組み例を見てみよう!
フェアトレードとは?メリットや問題点、私たちにできること
INDEX