SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える|企業はどう向き合えばいい? SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える|企業はどう向き合えばいい?

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える|企業はどう向き合えばいい?

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テレビや新聞・電車などで目にする機会が増えてきたSDGs。自分たちも取り組みを始めなければ…と考えている企業も多いのではないでしょうか?

どの目標を軸に事業を展開させようかと17個の目標を眺めると、特に企業と関わりの深そうなSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」が目につきますよね。

しかし、とっつきやすいアイコンのキャッチコピーとは裏腹に、ターゲットを見てみるとちょっとよくわからない…と頭を抱える方も多いはず。

そこでこの記事では、経済・社会・環境の三側面を統合的に捉えられたSDGs目標12を読み解く上で、大事なポイントを見ていきたいと思います。

これを読めば重要キーワードもわかり、今後の取り組み内容を考える土台になるかもしれません。で

はまずはSDGsのおさらいから始めましょう。
 

目次
1.SDGsとは
2.SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える
3.SDGs目標12の達成に向けた4つのキーワード
4.SDGs目標12に関する企業の取り組み
5.目標12の達成は個人の取り組みも必要不可欠

SDGsとは



SDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

そのなかで設定された17の目標は、課題解決の糸口になるもので、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は消費と生産にスポットを当てたものとなっており、多くの企業が参考にしたい内容です。

早速ここからはその目標12について掘り下げながら見ていきましょう。

>>SDGsの各目標・ターゲットについて詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
 SDGs17の目標を1つずつ解説!世界や日本の現状を理解できます   SDGs169のターゲットを紹介~目標1から5まで~|企業の取り組み内容もわかる!

 SDGs169のターゲットを紹介~目標6から11まで~|企業の取り組み内容もわかる!  SDGsの169のターゲットを紹介~目標12から17まで~|企業の取り組み内容もわかる!

 

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える



「つくる責任 つかう責任」がキャッチコピーのSDGs目標12は「持続可能な生産消費形態を確保する」が目標として掲げられています。

これまでの大量生産大量消費から、少ない資源で生産性をあげ良いものを使えるようにし、さらには廃棄自体も減らす社会構造を作っていこう、という目標なのです。

このSDGs 目標12は、「経済」「社会」「環境」の三側面を総合的に成長させようとするSDGsの考えをすべて反映している目標であるため、様々な場で重要視されています。

では、SDGs目標12を達成するために、果たすべきターゲットの確認をしてみましょう。
 

ターゲット


ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:12.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:15.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

詳しい説明は後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。

<まずは実際のターゲットを確認!>
 12.1   開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
 12.2   2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
 12.3   2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
 12.4   2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
 12.5   2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
 12.6   特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。 
 12.7   国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
 12.8   2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
 12.a   開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
 12.b   雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
 12.c   開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。
出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」
 

ターゲット12.1「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」とは




ターゲット12.1からいきなり聞き慣れない「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」というワードが出てきました。

これは、2012年に開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)で採択された枠組みです。

各国からの拠出金をもとにつくられた基金を通し、低炭素型ライフスタイル(二酸化炭素の排出が少ない社会)とその社会システムの確立を目指しています。

「ジャパンSDGsアワード」の審査員の一人でもある 蟹江憲史さんの著書(SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書)によると、
 
“ 10YFPには、「持続可能な公共調達」、「消費者情報」、「持続可能なツーリズム、エコツーリズム」、「持続可能なライフスタイル及び教育」、「持続可能な建築・建設」、「持続可能な食糧システム」という6つのプログラムがあり、それぞれに関する政策や情報共有、実施のためのツール開発などが行われている。”
【引用元】SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書/蟹江憲史 著 P106

つまり、12.1では上記の6つのプログラムに沿った形で、世界の持続可能な消費と生産を推進する取り組みを行ないましょうというものなのです。

>>「SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書」の著者である蟹江憲史さんが審査員を務める「ジャパンSDGsアワード」についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
 SDGsアワードとは?選定のポイントもわかる!|様々なアワードの紹介も 

 

ターゲット分布


ターゲット12.1の「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」を踏まえた上で、SDGs12は「資源」「サプライチェーン」「消費」の3つの面から各ターゲットが設定されています。

サプライチェーンとは、原材料の調達→製造→在庫管理、配送、販売、消費者に届く一連の流れ。

◆3つの面とターゲットの関係


「資源」「サプライチェーン」「消費」の3つの面とSDGs12のターゲットとの関係を説明します。

少し難しい話になるので、ここはなんとなく読み進めていただいて問題ありません。

12.3では、食品ロスの減少を目指しています。

12.2・12.4・12.5・12.7・12.8は、SDGs目標12を達成するための具体的な方法についての記載です。

天然資源を適切に使うことやナチュラル・オーガニックなものを使うようにする・廃棄物を減らしリサイクルできるようにするなどが含まれています。

12.6では、大企業や多国籍企業に対し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう推奨しています。

これは、我々にとって身近な企業が情報を開示することで、消費者の行動を変えていこうとする国連の考えの表れであるとの声もあります。

企業にとっても会社の透明性を向上させ、また他企業もそれを参考にすることで、社会全体がSDGs達成に向け歩みを進められるのです。

12.cでは、これまでの補助金により化石燃料が安くなったことから、生産から消費の一連の流れで化石燃料を無駄に消費してしまい、環境破壊の一因になっているため、是正が必要だと述べています。

このように、SDGs目標12では、製品をモノとして単体で捉えるのではなく、生産から廃棄までの一連の流れを強く意識することや、その取り組みを波及させていくことが求められているのです。

SDGs目標12の達成に向けた4つのキーワード


ここまででSDGs目標12のターゲットが目指すところはなんとなく理解できたと思いますが、まだわかりにくい箇所も多々ありますよね。

そこでここでは、押さえておくとよりSDGs目標12の理解が進む、4つのキーワードを取り上げてみましょう。
 

①食品ロス


食品ロスとは、本来食べられるのに捨ててしまうことです。

農林水産省によると、日本では食品廃棄物など年間2,550万tが廃棄されていて、うち食品ロスは612万t(1人あたり年間48kg)にのぼります。

さらには612万tのうち、約半分が家庭から出る食品ロスとなっており、目標達成には食品を扱う事業者の改革はもちろん、個人個人の取り組みも必要不可欠です。

>>食品ロスについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
 食品ロス(フードロス)とは?その原因・問題点と私たちにもできる対策 

 

②フットプリント


フットプリントとは、原料から製造・消費、そして廃棄にいたるまでに、どれだけ環境に負担をかけたのかを計算して出された指標です。

普段生活していては気づきにくい環境負担を見える化し、具体的な取り組みに活かすためのもので、様々な種類のフットプリントがあります。



例えば、・エコロジカル・フットプリント・カーボンフットプリント・ウォーターフットプリント・大気汚染物質フットプリント・マテリアルフットプリント・土地利用フットプリント・生物多様性フットプリントなどが挙げられます。

なかでも「エコロジカル・フットプリント(EF)」は国土交通省や環境省などでも指標として使われることもあるので、簡単に説明します。

「エコロジカル・フットプリント」は、人間がモノを作るために資源を利用したり、経済活動で発生したCO2を吸収するのに必要な生態系サービス(すべての生態系から受ける恩恵)の量を地球の面積で表した指標です。

簡単に言うと、現在の消費活動を続けた場合、地球があと何個分必要になるかを示したものと言えます。
 
<世界のエコロジカル・フットプリント(一部)>
・アメリカ 地球5.0個
・日本 地球2.8個
・中国 地球2.2個
・インド 地球0.7個
・世界平均 地球1.7個
※2018年グローバル・フットプリント・ネットワーク発表

このように、先進国と途上国の間には大きな差があることや私たちがどれだけ環境に負荷をかけているのかがわかります。

国連広報センターの「事実と数字」によると、2050年までに世界人口が96億人に達した場合、現在の生活様式を維持するためには地球が3個必要になる可能性があるとも書かれており、早急な対策が必要なのです。
 

③リニアエコノミー・リサイクリングエコノミー・サーキュラーエコノミー


※オランダ政府 From a linear to a circular economyを参考に作成

これまでの経済は「大量生産→大量消費→廃棄」の一方通行で、線形経済(リニアエコノミー)と呼ばれています。

結果的にこれが環境破壊につながっており、その解決のため日本ではリサイクリングエコノミーを推進していく「循環型社会形成推進基本法」が2000年に制定されました。

よく耳にする「3R活動」はここから広く知られるようになったのです。


3Rとは、①Reduce(できるだけ廃棄物を出さない)・②Reuse(再利用)・③Recycling(資源などの再生利用)の頭文字をとったもので、①→②→③の順で優先順位が高く設定されています。

一見するといい取り組みですが、結局はこれも廃棄物をいかに再利用するかに焦点が当てられており、廃棄物の発生が前提です。

つまり線形経済(一方通行型経済)の延長線上にあるのです。

そこで2010年頃から廃棄を出さず、資源を循環させる社会を目指そうと「サーキュラーエコノミー(CE)」の活動が始まりました。
 

サーキュラーエコノミーはイギリス人女性のエレン・マッカーサーがヨットで世界一周するなどの経験から発案したもの。



これを受け日本政府は、廃棄物を出さない商品のデザイン設計やシステムを構築することを企業に求め、「シェアリング・サブスクリプション」という新しいビジネスモデルを推奨し始めました。

◆シェアリング
シェアリングの具体例としては、フリマアプリです。

これは、自分には不要だが捨てるのはもったいないと感じている提供者と、欲しいものを安価に入手したい利用者がマッチングできるアプリで、場所を問わずに取引が可能です。

◆サブスクリプション
サブスクリプションの例は、トヨタのKINT ONEが挙げられます。

これは新車を“購入させる”のではなく、“月々定額で利用できるサービス”として提供するもので、WEBですべて完結でき、近くの販売店に納車されることも特徴です。

とはいえ、この「サーキュラーエコノミー(資源循環型施策)」は、廃棄物を出さない前提でのビジネスモデルであるため、リサイクルの位置付けが相対的に低いという課題もあるようです。

今後、3Rと「サーキュラーエコノミー」を同時に展開し、循環型社会を形成していくことが必要です。
 

④エシカル消費




エシカル消費のエシカルは、直訳すると「倫理的な」という意味です。

SDGsでは度々出てくるワードですが、要は人権や地球環境に配慮した倫理的な消費を行いましょう、といった意味合いを持ちます。

「倫理的消費」調査研究会が2017年に発表した「「倫理的消費」調査研究会取りまとめ ~あなたの消費が世界の未来を変える~」では、エシカル消費を以下のように説明しています。
 
“消費者それぞれが、各自にとっての社会 的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援したりし ながら、消費活動を行うことであるといえる。”
【引用元】「倫理的消費」調査研究会「「倫理的消費」調査研究会取りまとめ ~あなたの消費が世界の未来を変える~」

今後の消費行動においては、フェアトレード商品・エコ商品・リサイクル製品・地産地消・動物への配慮がされた製品・環境破壊や児童労働問題を排除したオーガニックコットンなどを用いた製品などを選ぶことが求められています。

>>エシカル消費についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
 エシカルの意味や消費行動とは?意識して行動するポイントもご紹介 

 

すべてが複合的に絡み合っている


ここまでの話でお気づきかもしれませんが、食品ロスの問題を考えると、課題解決のためにエコロジカル・フットプリントやサーキュラーエコノミーを理解しなければならなかったりと、すべてがつながってきます。

わからないキーワードが出てきたらそのままにせずに一度立ち止まって調べることが大切ですね。

SDGs目標12に関する企業の取り組み

ここまででSDGs目標12のポイントはなんとなくご理解いただけたと思います。最後に具体的な企業の実践例を見てみましょう。
 

①株式会社ピー・エス・インターナショナル




本サイトが扱う固形シャンプーバーのエティークは、市場で販売されているビューティープロダクツが環境に与える問題に着目し、設立されました。

年間800億本廃棄されるシャンプーとコンディショナーのプラスティックボトルは、たったの9%しかリサイクルされていません。

そこで容器のない固形バーを作り、2019年までの7年間で600万本のプラスティックボトルの削減を実現しました。

さらに2025年までに5,000万本削減を目標にしています。

またすべてのパッケージは生分解性によるもので作っており、商品すべてにおいて環境・動物・人体に影響を及ぼしません。
 

微生物によって分解される物質のこと



他にも、フェアトレードによる公正な取引で素材を調達・製造することで不当労働に加担しない取り組みをしたり、最低年齢に満たない児童により作り出されたモノの取引をしない、動物実験は行わないなど、SDGsの目標に貢献しています。

さらに売上利益の20%を、世界の抱える問題解決に尽力する団体に寄付をするなど、徹底した取り組みを行っています。

>>エティークの詳細はこちらから(リンク先は音楽が流れます。)

>>エティークが目指すプラスチック削減と関わりが深いSDGs目標14については、以下の記事をご参照ください。
 SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」2つの重要キーワードを解説|企業や個人の取り組みも 

 

②株式会社ローソン




コンビニの期限切れ商品を廃棄している問題は長年テレビや新聞で騒がれてきました。

この食品ロスを改善すべく、株式会社ローソンでは様々な取り組みを行なっています。

例えば、物流センターで店舗への納品期限を迎えてしまった商品(賞味期限は残っている商品)を一般社団法人全国フードバンク推進協議会を通して、子ども食堂や支援が必要な子どもたちに寄贈。

また、KDDI株式会社と共同で、消費期限の迫った商品の値引き情報をアプリを通してお知らせすることでユーザーがより購入しやすい仕組みを2020年10月から埼玉エリアで試験的に開始しました。

他にも食品ロスに関する活動を展開しており、課題解決に向けた動きを加速させています。

目標12の達成は個人の取り組みも必要不可欠



SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」は、これまでの原材料から消費・廃棄までが一直線だったリニアエコノミーから循環型社会へ変わっていくことがポイントとして挙げられました。

これは企業だけではなく、消費者である個人にも関わってくる課題です。

食品ロスの段落で家庭から出る割合が多いことを説明しましたが、減らす努力は今日からでも取り組めるのではないでしょうか。

また、食品に関わらず、衣類やシャンプーなどの商品がどのように作られ、捨てた後はどうなるのかという1つのストーリー性を持って考えることで、おのずと選択すべきものが見えてくるかもしれません。

持続可能な社会を達成するためにも、目標12の内容をもう一度見直して、1つずつできることを考えていきましょう。

>>SDGsについてさらに理解を深められるおすすめ本を以下の記事にまとめています。
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