SDGs目標2「飢餓をゼロに」を考える|飢餓の現状・企業の取り組みまで SDGs目標2「飢餓をゼロに」を考える|飢餓の現状・企業の取り組みまで

SDGs目標2「飢餓をゼロに」を考える|飢餓の現状・企業の取り組みまで

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テレビや新聞・電車などで目にする機会が増えてきたSDGs。

自分たちも取り組みを始めなければ…と考えている企業も多いのではないでしょうか?

しかし、とっつきやすいアイコンのキャッチコピーとは裏腹に、ターゲットを見てみるとちょっとよくわからない…と頭を抱える方も多いはず。

そこでこの記事では、企業がSDGs目標2「飢餓をゼロに」に取り組むうえで、目標が設定された背景や現状、実際に企業が行なっている取り組みなどの大事なポイントを見ていきたいと思います。

これを読めば重要キーワードもわかり、今後の取り組み内容を考える土台になるかもしれません。

ではまずはSDGsのおさらいから始めましょう。
 


 
目次
1.SDGsとは
2.SDGs目標2「飢餓をゼロに」とは
3.飢餓とは
4.飢餓の原因を世界の現状から知る
5.持続可能な農業システムの確立で飢餓の解決を目指す
6.国の取り組み
7.飢餓解決に向けた企業の取り組み
8.持続可能な農業を実現するための企業の取り組み
9.飢餓の日本の現状
10.飢餓の解決に向けてわたしたちができること
11.飢餓の現状を知り、できることから始めよう

SDGsとは


まずは、SDGsの基本的な概要のおさらいです。

SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。
 

>>SDGsをさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
SDGsとは|概要や背景・日本や世界の取り組みまで

SDGs目標2「飢餓をゼロに」とは



SDGs目標2の「飢餓をゼロに」はキャッチコピーで、正式な和訳は「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」です。

見て分かる通り飢餓以外にも、食料を生産する農業にもスポットを当てた内容となっています。

世界の飢餓の状況はどうなっているのか、日本でも取り組めることがあるのかを知るためにまずはSDGs目標2「飢餓をゼロに」に設定されたターゲットを見ていきましょう。
 

ターゲット


ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:2.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:2.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

詳しい説明は後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。

2.1

2030年までに、飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。

2.2

5歳未満の子どもの発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。

2.3

2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4

2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。

2.5

2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。

2.a

開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力向上のために、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発及び植物・家畜のジーン・バンクへの投資の拡大を図る。

2.b

ドーハ開発ラウンドの決議に従い、すべての形態の農産物輸出補助金及び同等の効果を持つすべての輸出措置の並行的撤廃などを通じて、世界の農産物市場における貿易制限や歪みを是正及び防止する。

2.c

食料価格の極端な変動に歯止めをかけるため、食料市場及びデリバティブ市場の適正な機能を確保するための措置を講じ、食料備蓄などの市場情報への適時のアクセスを容易にする。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

ポップなアイコンと馴染みやすいキャッチフレーズとは一変してターゲットは複雑で難解な内容です。

次ではSDGs目標1の重要なポイントをピックアップしたのでまずは概要をつかみましょう。

SDGs目標2「飢餓をゼロに」のポイントをわかりやすくSDGs目標2「飢餓をゼロに」は、飢餓の改善はもちろんのこと、農業や気候変動への対応まで様々な課題の解決を求めています。

①飢餓の現状②原因③持続可能な農業システムの確立の3つのポイントを説明します。
 

①飢餓の現状




飢餓とは、食べるものがないために空腹が続き、必要な栄養を摂取できずに生存・生活が困難な状況を指します。

飢餓をゼロにというと、お腹いっぱい食べられるようにすることを真っ先に思い浮かべますが、同時に必要な栄養を十分に摂取できて初めて健康的な生活が送れるのです。

2020年に国連が発表した「世界の食料安全保障と栄養の現状」によれば、飢餓で苦しむ人の数は2019年時点で約6億9,000万人にのぼります。

2018年と比較すると1,000万人も増加しており、2020年は新型コロナウィルスの影響もありさらに増える見込みです。

とりわけ状況が深刻なのがアジアとアフリカで、2つの地域が飢餓全体の9割を占めています。

飢餓に苦しむ人々が多くいる一方で、飽食といわれる日本は飢餓とは無縁に感じることもあります。

しかし、平成27年度の人口動態統計を見ると、食糧の不足によって亡くなった方は22名もおり、どのように保護するのかを検討する必要があります。
 

②飢餓の原因は主に3つ


飢餓に陥る主な原因は⑴貧困⑵自然災害⑶紛争の3つです。
 

◆⑴貧困

アジアとアフリカは、SDGs目標1「貧困をなくそう」でも課題にあがっている貧困状態に陥っている人々が多く生活しています。

貧困状態に陥っている人々の多くはお金がなく、自分の土地を持つことができません。

そのため農業による自給自足ができずに、生計を立てることも食事をとることも困難なのです。

日本の飢餓状況に置かれる人々も、相対的貧困と言われる大多数の家庭の水準よりも所得が低い家庭に集中しています。

このように貧困と飢餓は密接な関係を持っており、両者を同時に解決していかなければなりません。
 

◆⑵自然災害



地震や大雨などの自然災害も飢餓に陥る原因の1つです。

大雨や干ばつの災害により田畑は大きな被害を受けて、家や職場などを失うこともあります。

貧困地域ではこのような状況に陥いるとすぐに復興できず、長期間にわたり収入や食糧を得られず結果的に貧困に陥ってしまうのです。

これは日本も同様の傾向が見られます。

災害により収入源である仕事を失う人も少なくなく、食糧を買うお金を捻出できなくなるケースも多いようです。
 

◆紛争

日本では紛争による飢餓は現在のところ見られませんが、アフリカ地域では深刻な問題です。

紛争が激化すると、人々は避難場所を求め住む場所を変えざるを得ません。

避難先で職をみつけることは難しく、収入が絶たれ結果的に食べることができなくなるのです。

また、避難をしない場合でも、いつ銃撃戦が始まるか分からず働きにでることも農作物を収穫することもできないといったこともあります。

近年の飢餓に苦しむ人の増加は、主にこの紛争が原因とも言われています。
 

③飢餓の解決に向けて




飢餓の解決に向けてできることは、支援に加えて持続可能な農業システムを確立することです。

支援は団体を通して寄付をすることで、わたしたちのかわりに現地に食料を届けてくれます。

ただしこれは一時的な解決策です。今後長期的に飢餓に陥らないようにするためには、持続可能な農業システムの確立が必要不可欠です。

この持続可能な農業システムとは、
・自然災害の影響を受けにくい
・災害の影響を受けたとしてもすぐに回復できる
・気候変動の原因となるような環境破壊対策や温室効果ガスの排出が抑制される
・地域の生活や生態系を大幅に変えるような開発はしない
といったことが重要な項目として挙げられます。

SDGsの目標である2030年以降も、継続して自給自足を可能にするシステムを提供できるように、政府や企業、教育機関などの様々なステークホルダーが連携を取り、取り組まなければなりません。

ここまでがSDGs目標2「飢餓をゼロに」の概要です。

飢餓と一言に言っても、食事の量の確保だけではなく、質や農業まで幅広いテーマが設定されているため、目標全体の理解を深化させることが大切です。

次からはさらに踏み込んで、飢餓の背景や持続可能な農業、企業の取り組みまで詳しく見ていきましょう。

飢餓とは

まずは飢餓の定義の再確認です。

飢餓とは、WFP(国連世界食糧計画)によれば、
“身長に対して妥当とされる最低限の体重を維持し、軽度の活動を行うのに必要なエネルギー(カロリー数)を摂取できていない状態を指します。必要なカロリー数は、年齢や性別、体の大きさ、活動量等によって変わります。”
【WFP(国連世界食糧計画)より引用】
とされています。

この場合、お腹を満たす食料の量に加えて栄養も摂取する必要があり、食料の質も求められているのです。

また飢餓は「慢性的な飢餓」と「一時的な飢餓」の2種類に分けられます。

慢性的な飢餓は、食料を継続的に入手できず、慢性的に栄養不良に陥る状態のことで、一方一時的な飢餓は、自然災害や紛争により一時的に食料を得られずに栄養不良に陥る状態のことを指します。
 

飢餓の影響




飢餓は、命の危機に陥る、行動力の低下、子供の成長を妨げ、免疫力の低下、妊産婦・乳幼児の健康不良など、様々な問題を引き起こします。

これらの問題はSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」で掲げられている「妊産婦・新生児・5歳未満児の死亡率を低下させる」項目にも深い関わりを持ちます。

現在揃っているデータのなかには、妊産婦と新生児の死亡の原因が栄養不良であると断定できるものはありません。

しかし、栄養不良により引き起こされた貧血が妊産婦の死因と関係しているという意見や、妊産婦が栄養不良に陥ることで、生まれてくる子どもの健康状態に悪影響が出ている可能性があるといったものもあります。

一方で、5歳児未満児の死因と飢餓の関係は明らかです。

国連広報センターの「事実と数字」によれば、栄養不良が原因で死亡する5歳未満の子どもは年間310万人にのぼるといいます。

そしてその死因の45%が栄養不良によるものです。

日本で生活していると栄養不良のイメージはなかなか湧きにくいものの、テレビなどでアフリカの映像が流れると、ガリガリに痩せているのにお腹だけぽっこり膨れ上がっている子ども達を目にしたことがあるのではないでしょうか。

あのお腹の膨らみこそ栄養不足を表しています。

栄養不足が原因でお腹の中に水が溜まり腫れ上がっているのです。

SDGs目標2「飢餓をゼロに」を解決しなければSDGs目標3「すべての人に健康と福祉」の達成は不可能であり、ひいてはSDGs全体の達成も遠のきます。

早急に対応しなければならない問題でしょう。

では、なぜ飢餓が起きるのでしょうか。

飢餓の原因を世界の現状から知る

SDGs目標2「飢餓をゼロに」のポイントをわかりやすくの章で、飢餓が起こる原因は⑴貧困⑵地震や気候変動による自然災害⑶紛争によるものだと説明しました。

ここではこの3つの原因について詳しく見ていきましょう。
 

飢餓の原因⑴貧困




飢餓の原因の1つに貧困が挙げられます。

貧困についてはSDGs目標1「貧困をなくそう」で具体的な対策を講じている課題ですが、SDGs目標2「飢餓をゼロに」とも密接な関わりを持ちます。

SDGsでは、貧困を見分けるラインとして、1日1.25ドル未満で生活する人々と定義しています。(貧困削減や開発支援を目的として活動している世界銀行が定める貧困ラインは、2015年より1.90ドル未満となっています。この違いについてはSDGs目標1「貧困をなくそう」で説明しているので合わせてチェックしてみてください。)

2021年1月現在で、1.25ドルは日本円にして約129円です。

国によって物価の違いはあるものの、1日129円・1ヶ月で4,000円弱のお金で暮らさなければならないとなると、栄養のある食料を購入することは困難です。

貧困状態に陥っている人々のほとんどがサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)と南アジアに集中しており、そしてそのほとんどが農民です。
 

◆農民が飢餓に陥る理由

農村地域に住む人々が貧困状態に陥り、飢餓に苦しむ傾向にある理由は様々ありますが、主に、
a.経済的理由により自分の土地が持てない・種や道具を揃えられない
b.インフラが整備されていない
ことが挙げられます。

a.経済的理由により自分の土地が持てない・種や道具を揃えられないに関してはイメージしやすいかと思いますが、b.インフラが整備されていないことが飢餓とどのように関係してくるのでしょうか。
 

◆水・電気・交通などのインフラの未整備

貧困層が多くいる地域では、水・電気・交通などのインフラが未整備であるケースが多々あります。

水であれば、飲み水ですら川に汲みにいかなければならず、田畑に水を引くとさらにお金がかかります。

また電気も水同様に満足に利用することができていません。

灯や家事、暖をとるために森林を切り開いて燃料を確保し、燃料源の森林が不足してくると、今度は家畜の排せつ物を利用するような生活を送っています。

このような状態では、収穫した作物を長期に渡って保管する機器(例えば冷蔵庫など)を持つことができません。

同様に雨や風などの天候に左右されない全天候型の道路や輸送サービスも利用できていません。

十分な交通・輸送アクセスが確保できていないことで、農作物を収穫しても市場に輸送することができず、保管設備もないことで腐らせてしまい、廃棄せざるを得なくなってしまうのです。

このように、インフラの未整備が飢餓を引き起こす要因の1つなのです。
 

飢餓の原因⑵地震や気候変動による自然災害




地震や大雨などによる自然災害も飢餓の原因です。

災害がきっかけで職を失えば経済的なダメージを負い、田畑が壊滅的な影響を負えば物理的に食料を得られなくなります。

WFP(国連世界食糧計画)のHPに、災害発生後の具体的な影響が記載されていました。
・開発途上国における身長のばらつきは、その20%以上が、環境要因(特に干ばつ)によるものです。干ばつが起きると、人々が口にする食品の品目が大幅に減り、また食べ物の総消費量も減少します。

・ザンビアでは、干ばつ時に生まれた子どもたちは、そうでない時に生まれた子どもたちと比べて、身長および体重が平均を下回る確率が最大12%高くなっています。

・ニジェールでは、生まれた場所に関係なく、干ばつ時に生まれた子どもたちが1歳から2歳の間に栄養不良になる確率は、そうでない場合とくらべて2倍以上です。

・バングラデシュでの調査によると、洪水後に未就学児の間で衰弱や発育阻害(年齢の割に背が低いということ。慢性的栄養不良の代表的な症状)の割合が増えることが分かっています。これは食糧が手に入りづらくなること、適切なケアの提供が難しくなること、そして汚染物質にさらされる確率が高くなることが原因です。

・フィリピンでは過去20年間に、台風の襲来時に亡くなった子どもの数よりも、台風発生後24カ月以内に亡くなった子どもの数の方が15倍多く なっています。また、そのほとんどが女児でした。

【WFP(国連世界食糧計画)より引用】

また、近年の地球温暖化の影響により、異常気象が頻繁に発生するようになりました。

長く続く干ばつ、局地的な大雨と、何十年に一度の災害が毎年のように起きています。

これらは、先進国による経済活動で大量の温室効果ガスが排出されたことに起因していると考えられます。

将来に渡って飢餓をゼロにするためにも、食料の支援と同時に地球温暖化への対策も進めなければなりません。
 

飢餓の原因⑶紛争


【SDGs目標2「飢餓をゼロに」のポイントをわかりやすく】の章で、近年、飢餓人口が増加していることについて触れました。

紛争が起こると、その土地に住む人々は家や農地を捨て、難民キャンプなどに避難したり、避難せずに残るケースもありますが、いずれにしても食料の確保が困難です。

2018年時点で紛争により避難を余儀なくされた人の数は約7,080万人にのぼりました。

2018年の1年間で避難することになった人々は、過去最多人数を記録した2017年よりも230万人増加しているのです。

そして注目すべきは難民の約50%が18歳未満の子どもで、親や保護者と離れてしまう子どもは13万8,600人もいます。

守ってくれる親や保護者がおらず、1人で見知らぬ土地に避難することで、さらに貧困は悪化し、飢餓にも陥ってしまうのです。

このように飢餓は、様々な要因により引き起こされているのです。

持続可能な農業システムの確立で飢餓の解決を目指す



飢餓の現状がわかったところで、続いては根本の解決策となる農業について見ていきましょう。

SDGs目標2「飢餓をゼロに」では、飢餓を解決するために持続可能な農業システムの確立を掲げています。

持続可能な農業システムとは、
【再掲】
・自然災害の影響を受けにくい
・災害の影響を受けたとしてもすぐに回復できる
・気候変動の原因となるような環境破壊対策や温室効果ガスの排出の抑制
・地域の生活や生態系を大幅に変えるような開発はしない
などを指します。

水・電気・交通インフラの整備はもちろんのこと、持続可能な農業のための技術指導も必要不可欠です。

持続可能な農業を確立できれば、常に食料を確保できるため、慢性的な飢餓、災害による一時的な飢餓からの脱却を目指せます。
 

現地の文化や慣習・生態系も尊重する


しかし持続可能な農業システムを確立させるにあたり、注意しなければならないこともあります。

それは現地の文化や慣習も尊重することです。

例えばアフリカでは、薬草を使った伝統的な医療方法が存在します。

災害に強い農地を開発するにあたり、これらの薬草を伐採してしまったり、薬草をビジネスのために乱獲したりして、現地の人々が利用できなくなる事態は避けなければならないということです。

また、生態系を保つことにも留意が必要です。

SDGsでは目標15「陸の豊かさも守ろう」で「森林減少を食い止めること」「生態系の保護」を掲げています。

過度な開拓を進めることで資源が減少することは避け、現地の土壌や環境に配慮しながらの取り組みが求められています。

国の取り組み



ここまでがSDGs目標2「飢餓をゼロに」の現状です。

では、この問題に対して国はどのような取り組みを進めているのでしょうか。

先進国が国際的な課題について話し合う先進国首脳会議(G7/G8)では、2002年のカナキス・サミット以降、特にアフリカ地域中心のフォローアップ体制を強化してきました。

短期的な取り組みとしては食糧危機における支援、中長期的な取り組みとして持続可能な農業開発のための資金援助などが展開されています。

日本でも2015年2月に閣議決定された「開発協力大綱」のなかで、途上国への食糧支援、農林水産業の育成を進める方針が掲げられました。

とはいえ、国家間の取り組みだけでは課題の解決を加速させることはできません。

そこで必要になるのが民間の力です。

次では、飢餓の解決に向けた企業の取り組みと、持続可能な農業を実現するための企業の取り組みを1つずつピックアップしました。

飢餓解決に向けた企業の取り組み

ここでは貧困による慢性的な飢餓の解決を目指した取り組みを展開する、特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO Internationalの活動を紹介します。
 

社食が飢餓を救う「特定非営利活動法人 TABLE FOR TWO International」



※写真はイメージです。

Table for twoは、社員食堂でカロリーを抑えた食事を提供し、社員の健康も増進しながら、その一食の売上の一部から20円をアフリカの子供達への学校給食に当てる、という社会貢献を展開しています。

他にも「おにぎりアクション」というキャンペーンも毎年実施しています。

Twitter、インスタグラム、FacebookなどのSNSに「#OnigiriAction」をつけて投稿すると、アフリカやアジアの子どもたちに給食が届けられます。(写真1枚につき給食5食。費用は賛同企業・団体が負担。)

食糧が有り余っている先進国と食糧不足の発展途上国を繋ぎ「売上の20円」で世界的な食糧の不均等を解決する仕組みです。

>>Table for twoの詳細はこちらから
 

教育環境の改善にもつながる


貧困状態に陥っている地域では、
・学校に行っても空腹で授業をまともに受けられない
・親が教育を受けることに理解を示さず、学校に通わせてくれない
といった課題を抱えています。

教育を受けることで、貧困から抜け出せる傾向にあると言われているのに対し、まともに教育を受けられないことで負の連鎖が続いてしまうのです。

Table for twoの取り組みは、栄養のある給食を食べられ授業に集中できる、子どもに食料を食べさせるため親が子どもを学校に行かせるようになるなどの効果があり、飢餓と教育の両面で貢献している活動なのです。

持続可能な農業を実現するための企業の取り組み

ここでは、持続可能な農業を実現するための企業「株式会社アメグミ」の取り組みを紹介します。
 

スマホの普及で生産性アップを目指す「株式会社アメグミ」



※写真はイメージです。

株式会社アメグミは、貧困地域の主に農家や小売店の店員にスマホを普及させるための取り組みを展開しています。

スマホがあれば効率のいい農業手法を調べたり、安いルートでタネを仕入れる方法などを知ることができますが、貧困地域の人々のほとんどはスマホを持っていません。

そこでアメグミは自社で開発したOSを使った最も安い価格帯のスマホを提供し普及させています。

アプリを利用することで、現地の農家が農地の写真を送り、農業団体からアドバイスをもらうといった技術向上のサポートも行っています。

このように通信手段を改善することで、持続可能な農業の実現が期待されています。

ここまでが世界の飢餓の現状と解決に向けた取り組みです。

最後に日本の現状も確認しましょう。

飢餓の日本の現状

日本でも近年、飢餓は増加傾向にあり、主に相対的貧困という、その地域社会の大多数の標準と比べて貧しい状態の人々が陥っています。
 

相対的貧困の現状


2018年に厚生労働省が報告した「相対的貧困率等に関する調査分析結果について」には、相対的貧困に陥っている世帯は全体の15.4%となっており、2015年の報告書には相対的貧困世帯の特徴が掲載されています。
【相対的貧困層の特徴】
・高齢者・単身世帯
・ひとり親世帯
・郡、町村の地方在住

このひとり親世帯のほとんどが母子家庭であり、子どもがいるために正規職につけない、また適切な養育費をもらえないことで貧困に陥ってしまうようです。

このひとり親世帯の貧困はそのまま子どもの貧困につながり、現在、子どもの7人に1人は貧困と言われています。

今後、相対的貧困に陥る世帯を保護する取り組みや食糧支援などの対応が必要です。

飢餓の解決に向けてわたしたちができること



最後に、飢餓の解決に向けてわたしたちができることを見ていきます。

ここでは食品ロスの削減と支援の2つをピックアップしました。
 

食料の再分配


食品ロスの削減が飢餓の解決と結びつくのには様々な理由が挙げられますが、その中の1つに食料の再分配という考え方があります。

食料の再分配とはその名の通り、まだ食べられる食料を飢餓で苦しんでいる人々に再度分配することです。

つまりはコンビニやスーパーで食べられる分だけ購入するようにし、残った商品を困っている人々の所へ届けられれば、廃棄・飢餓の両方を解決できるといった考え方です。

現在、国内ではこれらの取り組みは既に始まっており、国内の支援施設に食料が届けられています。

とはいえ、過剰食料を国内から国外へ輸送するのに時間がかかり過ぎてしまい、届く頃には腐敗してしまうなどの課題もあるため、今後の展開に注目しましょう。
 

食品ロスを削減する



この食料の再分配という考えを前提に、食品ロスの詳細を確認します。

「食品ロス(フードロス)」とは、まだ食べられるはずなのに捨てられてしまう食品のことです。

令和2年4月に農林水産省・環境省から発表された「食品ロス量(平成29年度推計値)」によると、1年間の食品ロスは612万トンとされています。

これを国民1人あたりに換算すると、「お茶碗約1杯分(約132g)」の食べものが「毎日」捨てられていることになります。

この食品ロスは、処分の際に焼却や埋め立てることで環境汚染につながることもありますが、削減することで飢餓の解決にもつながるのです。

また、食品ロスを削減することで、飢餓で苦しむ人々を支援できる「ゼロハンガーチャレンジ」といったキャンペーンも展開されています。
 

キャンペーンに参加する:ゼロハンガーチャレンジ


ゼロハンガーチャレンジとは、SNSに食品ロスの取り組みを投稿すると、1投稿するごとに120円が寄付されるキャンペーンです。

集まった寄付で、WFP(国連世界食糧計画)が途上国の子ども達に給食を届けています。

期間限定のキャンペーンではあるものの、2020年は投稿数+リツイート・シェア数の合計が56,047件にのぼりました。

これにより661万円の寄付を集め(協賛企業が負担)、およそ22万人の子どもたちに学校給食を届けられるとのことです。

ゼロハンガーチャレンジ以外にも全国各地の自治体や団体がキャンペーンを展開していたり、支援に取り組んでいたりするので、調べてみてくださいね。

>>2020年のゼロハンガーチャレンジの詳細はこちらから

飢餓の現状を知り、できることから始めよう

本記事ではSDGs目標2「飢餓をゼロに」を詳しく見てきました。

多くの人が飢餓で苦しんでいる現状や、日本でも飢餓があることは、普段生活していては身近に感じることは難しいように思います。

しかし、SDGsをきっかけに今世界や日本でどのようなことが起きているかを知ることで、私たちが行動を起こすきっかけとなります。

ぜひこの他の目標にも目を通し、様々な角度から持続可能な社会をつくるために何ができるかを考えてみてはいかがでしょうか。

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