テレビや雑誌でも特集が組まれるなど「サステナブル(Sustainable)」という言葉が注目を集めるようになりました。
この記事では、
・サステナブルについて詳しく知りたい
・自分にできることはなんだろう?
と考えている方に向けて、具体例を交えながらわかりやすく説明していきます。
サステナブルとは
「サステナブル(Sustainable)」とは、sustain(持続する)+able(可能な)が組み合わさった言葉で、「持続可能な」という意味を持ちます。
「持続可能な」は、「"将来にわたって持続的・永続的に活動を営むこと。"引用:weblio辞書」ということです。
現在は地球を持続可能なものにしていくという文脈で使われるケースが多い
近年では、経済活動を行いながら、環境問題や貧困・紛争といった社会問題の解決を目指す際に使われるケースが増えてきました。
具体的には、「サステナブルな地球環境を目指そう!」「サステナブルな社会を実現する」「サステナブルな経済活動を行う」といった文脈で使われています。
つまり、サステナブルを簡単に一言でまとめると、将来に渡って地球に住み続けられるよう、温暖化や異常気象による大雨・干ばつ災害などの環境問題、貧困や紛争といった社会問題をみんなが利益の出る形で解決していこうということです。
サステナビリティとの違い
サステナブルとよく似た言葉に「サステナビリティ」があります。 両者で大きな意味の違いはありませんが、サステナブル(sustainable)は「持続可能な」という意味の形容詞、 サステナビリティ(Sustainability)は名詞で「持続可能性」という意味を持ちます。
最近では、企業のサステナブルな取り組みに関して「サステナビリティ」が使われる傾向にあります。
例えば企業のコーポレートサイトには、「株式会社◯◯のサステナビリティ」のような形で表示されており、自社の取り組みを公表しています。
サステナブルが注目されるようになった背景
近年、サステナブルという言葉が注目されるようになった理由の1つにSDGsの存在があります。
SDGsとは?
SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。 読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。
2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指して、17個の目標が設定されました。
SDGsが採択されると、日本のメディアでも取り上げられる機会が増えました。そして認知度の高まりにつれ、国や自治体、企業はSDGsに関する取り組みを積極的に進めるようになり、その波は私たち個人にも押し寄せています。
それと同時に、SDGsの「S」を表すサステナブルにも注目が集まるようになりました。
【補足】サステナブルとSDGsの違いは?
ここまで読むと、「サステナブル」と「SDGs」の意味の違いがわからないという方もいると思います。
基本的には両者の意味すること、目指すものは同じです。とはいえ、SDGsは誰もがわかりやすい17個のアイコンが設定されているため、取り組みを伝えやすいという特徴があります。 例えば、ある企業が貧しい暮らしを送る人々を減らすために、途上国に売り上げの一部を寄付していたとします。 これはサステナブルな社会を実現するための取り組みと言えます。この取り組みを「SDGs目標1『貧困をなくそう』の達成に向けて売り上げの一部を寄付している。」とすることで、よりわかりやすく伝えられ、多くの人に知ってもらえるようになります。
>>SDGsについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
なぜ今サステナブルやSDGsへの取り組みが求められているのか
では、なぜ今サステナブルやSDGsへの取り組みが求められているのでしょうか。
環境問題
一つ目が環境問題が深刻化していることです。私たちの生活は時代と共に豊かに便利になってきました。それに伴い、消費形態も大量生産大量消費が当たり前となり、地球に多大なダメージを与えてきたのです。
その結果、
・夏は毎年のように過去最高気温を記録するなど地球温暖化が進行
・地球温暖化に伴う大雨などの異常気象の増加
海が酸性化し、生態系へ悪影響を及ぼしている
・海にプラスチックが大量に流れ込み、生態系へ悪影響を及ぼしている
・二酸化炭素の吸収源である森林が減少し、砂漠化が進む。生態系への悪影響も。
などが見られるようになりました。
この問題を解決するためには、「二酸化炭素の排出量を削減する」「ゴミを出さない選択をする」など、これまでの消費・生活行動を見直し、サステナブルな生活を送ることが求められています。
社会問題
社会問題もサステナブル・SDGsが推進される理由のひとつです。
現在、世界では「貧困」「紛争」「児童労働」「格差」など様々な社会問題が未解決のままとなっています。
例えば貧困を例に挙げると、世界には推定で11億人もの人々が貧しい生活を送っていると言われてます。そのうち3億3,300万人が子どもというデータも出ています。ここでの貧しい生活とは、ご飯が食べられない、着る服もないなど、途上国で見られる貧しさの形です。
また、先進国である日本でも貧困が課題となっています。近年、「相対的貧困」と呼ばれる、水準を下回る収入しか得られず、貧しい生活を送る人々が問題視されるようになりました。
球上に住むすべての人が「自分らしい生き方」ができるようになるためにも、サステナブル・SDGsへの取り組みが必要です。
多くの人が取り組むためには経済活動も不可欠
とはいえ、これらの課題を解決するためには資金が必要になります。
これまで、サステナブルな活動を推進するのは体力のある大企業が中心でした。 その理由としては、環境問題や社会問題に取り組む際には利益を得ない形で進める、いわゆるボランティア精神が求められる傾向にあったからです。
これは資金的に余裕のない中小企業には取り組みにくいものです。そこで、サステナブルな取り組みでは、自社の利益を出しながらこれらの問題を解決することも目指しています。
例えば、
・従来のペットボトルと比較して、製造の際に発生する二酸化炭素の量を約50%削減できる新しいペットボトルを開発する
・廃棄されるものをアップサイクルして、新たな価値を持たせて販売する
どが、これにあたります。
つまり、多くの企業が取り組みやすくなり、環境・社会問題を解決すると同時に、自社も持続可能な形にすることができるのです。
サステナブルに関連する言葉
ここからは、サステナブルに関連する言葉を紹介します。
※サステナブルに関連する「エシカル」「オーガニック」「フェアトレード」については、関連記事でチェックしてみてください。
サステナブルデザイン
サステナブルデザインとは、「次の世代のために地球環境を維持、向上させるデザイン」を意味しており、特に建築物に用いられることが多く、私たちの住まいに大きく関係します。
具体的には、古くなった建物を取り壊さず修繕して長く使う、古材を廃棄するのではなく再利用することがサステナブルデザインの取り組みの一部です。
サステナブルデザインは、インテリアや電気エネルギーの使用など、さまざまな方法で生活に取り入れることができるのです。
>>従来のデザインの問題点や、サステナブルデザインの事例はこちらの記事をご参照ください。
サステナブルシティ
サステナブルシティは別名「エコシティ」とも言われ、環境負荷を考慮して設計された都市のことを指します。
ステナブルの先進国であるスウェーデンの首都ストックホルムには、このサステナブルシティがあります。 これは「ハンマビー・ショースタッド」という地域で、ゴミを肥料として再利用する仕組みや、交通機関の使用の仕方など、環境に配慮した設計が町全体でなされているのです。
水質汚染や大気汚染の改善、CO2の削減などを目指し、国民ひとりひとりの意識によってサステナブルシティは作られています。
サステナブル素材
サステナブル素材は、言葉の通り「持続可能な素材」を指します。
具体的には、
①地球環境に配慮していること…環境負担が少ない自然素材由来の原料・繊維や、リサイクルによる材料などを使用して作られているもの。
②適正な労働環境により生産されていること…製品の生産に関わった人が、適切な労働環境で働いていること。
を意識することが重要です。
>>サステナブル素材の詳細はこちらの記事をご参照ください。
サステナブルフード
サステナブルには、サステナブルフードという言葉もあります。
その名の通り、サステナブルを意識した食べ物であり、その中でもサステナブルシーフードは、ヨーロッパを中心に浸透しつつあります。マグロやウナギなど、魚の中にはいずれ絶滅してしまい食べることが出来なくなると言われる魚がいます。
サステナブルシーフードは、そういった食べられなくなると予想される魚の漁獲量や漁獲方法を配慮することで、絶滅を食い止めようとする取り組みなのです。
ファッションとサステナブルの関係
ファッション業界でも取り組みが進んでいます。
いらなくなった洋服で新しい洋服を作り出すといったリサイクルに関わる施策から、天然素材を使いすぎないこと、地球環境に優しいオーガニックにこだわるなど、その素材へのアプローチまで、サステナブルな取り組みが広がっているのです。
ファストファッションで知られるH&Mでは、いらない洋服を回収するボックスを設置するなど、積極的な取り組みを見せています。
>>環境に配慮した服装選びがわかる記事はこちらをご参照ください。
企業がサステナブルな取り組みを進めるためには
「サステナブル」は、企業でも取り入れることができる考え方の一つです。
サステナブルに関して、企業が押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
サステナブル経営とは
「サステナブル経営」の元々の意味は、「企業が消費者の信頼を得て利益を上げることで、存続し続けること」です。
ただし、SDGsの広がりを受けて、消費者も企業活動に「サステナブル」を求めるようになったことで、企業としてはリサイクルやエコなどサステナブルな考えを用いた事業内容にシフトしなければ、消費者の信頼を得難い時代になってきています。 そのため、近年は企業の事業活動に「サステナブル」の概念を取り入れることを「サステナブル経営」と呼ぶようになってきました。
このように「サステナブル」は、時代の価値観を反映した言葉になりつつあるのです。
「ESG投資」を意識し持続可能な発展を目指す
サステナブル経営を行う上で意識したいのが「ESG投資」です。
「ESG」とは、E(Environment:環境)、S(Social:社会)、G(Governance:企業統治)の略で、環境問題、社会問題、企業内部の不正や問題に配慮し、 企業活動の中でこれらへの対応にも注力していくことです。
近年投資家もESGに注目しており、単純に利益を生むだけの企業ではなく、社会貢献に積極的な企業を評価し投資する「ESG投資」が世界的に行われています。 サプライチェーンマネジメントが叫ばれている中、大企業は今まで以上にこの「ESG」を意識しており、取引先企業にはサステナブルへの積極的な取り組みが求められています。
エシカミーで人気のサステナブル商品2選
サステナブルな考えを持つブランドは、世界中に増えはじめています。
その中でも特にサステナブルにこだわる2つのライフスタイルブランドを紹介するのでぜひチェックしてみてください。
ethique(エティーク)
原料からパッケージまで商品に関わるもの全てにサステナブルを取り入れたブランド「ethique(エティーク)」。
エティークは、市場で販売されているビューティープロダクツが環境に与える問題に着目し、ニュージーランドで設立されました。年間800億本廃棄されるシャンプーとコンディショナーのプラスティックボトルは、たったの9%しかリサイクルされていないという事実から、容器のない固形バー(髪や頭皮に必要な美容液成分と、必要最小限の洗浄成分を凝縮したシャンプー・コンディショナー)を開発。
これにより、2019年までの7年間で600万本のプラスティックボトルの削減を実現し、2025年までには5,000万本削減を目標にしています。
また、すべてのパッケージは生分解性(微生物によって分解される物質のこと)によるもので作られており、パッケージから商品に至るまですべての過程において、環境・動物・人体に影響を及ぼさないよう工夫されています。
さらに商品とあわせて、地球環境や海洋動物についての月刊情報誌を同梱し、親子、パートナー、家族で「環境」のことを話すきっかけを作れるような取り組みも行っています。
ecoffeecup(エコーヒーカップ)
コーヒー文化が浸透している現代では、コーヒーを入れる紙コップが毎年1000億個もごみとして捨てられています。そこで立ち上がったのがこの「ecoffeecup(エコーヒーカップ)」です。
このエコーヒーカップは、竹の繊維やコーンスターチ、アミノ酸由来の樹脂などから出来ており、安心して使用することができます。
またカップは、土の中で分解することのできる素材で環境にも配慮しています。 蓋やホルダーは全てシリコンで作られ、取り外しも可能です。
カップを清潔に保ちながら繰り返し使用できます。 もちろん通い慣れたコーヒーショップやオフィスなどでも使える便利でエコな商品となっています。
私たちがサステナブルな暮らしを送るためにできること
サステナブルな社会を実現するために、私たち一人一人ができることはたくさんあります。 すぐに取り入れることのできるサステナブルな行動をいくつか紹介します。
節電・節水
電気も水も限りなく存在するものではありません。
・シャワーを出しっぱなしにしない
・お風呂のお湯を洗濯に使う
・こまめに電気を消す
といった基本的なものもサステナブルな行動と言えるでしょう。
使い捨てを減らし、長く使えるものを選ぶ 使い捨ては便利で簡単ではありますが、決してエコな行動ではありません。使い捨てのものを長く使えるものに変えることで、ゴミを格段に減らすことができます。
先ほどご紹介したエコーヒーカップや何度も使えるオーガニック素材の生理用ナプキンなど、最近は長く使えるエコの商品がたくさん発売されています。
日ごろから使っているものを、エコの観点で見直すことが大切です。
>>オーガニックナプキンについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
車を使わず公共交通機関や自転車を使用する
CO2の排出量のうちおよそ2割が自動車などによる排気ガスと言われています。この2割のCO2を削減することは、地球環境維持に大きな影響をもたらします。
車を使わずに公共交通機関や自転車を使用するといった取り組みもおすすめです。
食品ロス(フードロス)しない 日本は、世界に比べて食品ロス(フードロス)が多いことでも知られています。
イギリスなどのヨーロッパでは、食品ロス(フードロス)ゼロを目指して、コンビニなどでも早めの時間から割引を始めるなど、商品を売り切ることを徹底しています。
・「賞味期限」「消費期限」をチェックして食べられる分を購入する
・本来食べられる部分まで捨てないように気を付ける
・保存の仕方を工夫する
などできることから始めましょう。
>>食品ロス(フードロス)ついて詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
エコバッグを使い、袋や過剰包装をやめる
日本でも2020年7月1日からレジ袋の有料化が義務付けられ、エコバックの使用もだんだんと広がってきました。
普段からしっかりとエコバックを持ち歩く・過剰包装のものを買わないといったこともサステナブルな行動です。
オーガニック素材・再生生地でできたエコバッグも増えているのでぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
マイカップやマイタンブラーを使用する
エコーヒーカップのようにマイカップやマイタンブラーを使用してみましょう。
持ち運びができる再利用可能なカップは特に便利なので、この機会にお気に入りのマイタンブラーを探してみてはいかがでしょうか。
生分解性の商品を選ぶ
生分解性の商品を選ぶというのもサステナブルな行動の一つです。 この生分解性とは、植物などの生物資源で作られたもので、特定の微生物によって水とCO2まで分解することができるものを指します。
先述したethique(エティーク)もパッケージが生分解性の紙でできており、なおかつインクも植物からとれるベジタブルインクを使用しています。
そのため、例えば開けたパッケージに土とタネを入れて植物を育てることもできます。 一定の大きさに植物が育ったあとは、庭にパッケージごと埋められるのでゴミの削減につながるのです。
ゴミを出さない選択を
ここまで見てきたように、生分解性の商品を選ぶことやマイエコバッグ・マイタンブラーを持ち歩くことは、ゴミを出さないことにつながります。
ゴミを減らすことができれば地球環境の維持につながるため、ひとりひとりの小さな努力が必要です。
サステナブルな暮らしを意識して世界を変えよう
本記事ではサステナブルについて詳しく説明しました。
サステナブルの意味を理解すると、私たちの生活と密接な関係があることがよくわかります。 平和で持続可能な環境を作るためには、ひとりひとりの行動が鍵となります。
ゴミを出さない努力など、地球を守るために身近に始められることから取り組んでみてはいかがでしょうか。