SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」とは|飲み水・トイレ以外の重要ポイントも

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」とは|飲み水・トイレ以外の重要ポイントも

近年テレビや雑誌で耳にする機会が増えてきたSDGs。

本記事をお読みになる方は、すでにSDGsについてだいたいは理解できていて、各目標についてもう少し知りたいと思っているのではないでしょうか。

「SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」のポイントは何なのか。」「目標を達成するために個人や企業でできることはないのか」

この記事では設定された背景や取り組み事例を交えながらわかりやすく説明していきます。

まずはSDGsのおさらいからはじめましょう。
 


目次
1.SDGsとは
2.SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」を考える
3. ①【飲み水/トイレ】世界の現状
4.【飲み水/トイレ】日本の現状
5.水不足と人口増加の関係
6. ②【水源の管理】統合水資源管理が求められる
7.企業の取り組み
8.わたしたちにもできること
9.SDGs目標6を達成するためにできることからはじめよう

SDGsとは


SDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

そのなかで設定された17の目標は、課題解決の糸口になるものです。

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」は、すべての人が安全に水を飲めるようにすること、トイレを利用できるようにすることに加えて、水不足や水質向上など水に関するあらゆる問題を解決する内容となっています。

ではここからはそのSDGs目標6について掘り下げながら見ていきましょう。
 
>>SDGsをさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
SDGsとは|概要や背景・日本や世界の取り組みまで

SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」を考える


SDGs目標6の「安全な水とトイレを世界中に」はキャッチコピーで、正式な目標の和訳は「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」です。

目標のアイコンとキャッチコピーを見ると、世界中で安心して飲める水が提供できるようにすることと、トイレを利用できるようにすることが主な内容であることがわかります。

SDGs目標6は、それに加えて水質や生態系、水災害まで水に関連する幅広い内容が設定されているのです。

まずはSDGs目標6に関するターゲットを確認しましょう。
 

ターゲット


ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:6.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:6.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

詳しい説明は後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。
 

6.1

2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。

6.2

2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。

6.3

2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加により、水質を改善する。

6.4

2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。

6.5

2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。

6.6

2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。

6.a

2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。

6.b

水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

ターゲットに目を通しても内容が複雑で、SDGs目標6が何を目指しているのかがわかりにくいですよね。

そこで次からはSDGs目標6で押さえておきたい、①飲み水・トイレ②水源の管理の2つのポイントを説明していきます。

①【飲み水/トイレ】世界の現状



SDGs目標6では、2030年までに世界中のすべての人が安全な飲み水を手にできること、安全なトイレを利用できる環境を整えることを目標の1つに置いています。

まずは安全な水に関する世界の現状から考えていきましょう。
 

飲み水:世界の10人に3人は安全な水を自宅で利用できない


2017年にユニセフとWHOが発表した「衛生施設と飲料水の前進:2017年最新データと持続可能な開発目標(SDGs)基準」によると、世界の21億人(世界人口の10人に3人)は、安全に管理された水を自宅で利用できていないとされています。

この「安全に管理された水」という表現ですが、水に関する資料やデータを読む際には、これ以外にも「基本的な飲み水」「限定的な飲み水」といった表現が用いられます。

この表現の違いは、各国の飲み水に関する状況を詳しく把握するために2015年に細かな定義が設定されたことにあります。

それぞれの定義は以下の通りです。
 
“水に関するデータの定義について
・安全に管理された飲み水(供給サービス)
自宅にあり、必要な時に入手でき、排泄物や化学物質によって汚染されていない、改善された水源から得られる飲み水。

・基本的な飲み水(供給サービス)
自宅から往復30分以内(待ち時間も含めて)で水を汲んでくることができる、改善された水源から得られる飲み水。

・限定的な飲み水(供給サービス)
自宅から往復30分よりも長い時間(待ち時間も含めて)をかけて水を汲んでくることができる、改善された水源から得られる飲み水。

・改善された水源
外部からの汚染、特に人や動物の排泄物から十分に保護される構造を備えている水源。例えば、水道、管井戸、保護された掘削井戸、保護された泉、あるいは、雨水や梱包されて配達される水など。

・改善されていない水源
外部からの汚染、特に人や動物の排泄物から十分に保護される構造を備えていない水源。例えば、保護されていない井戸、保護されていない泉、地表水など。

・地表水
川、ダム、湖、池、小川、運河、灌漑用運河といった水源から直接得られる水”
引用元:ユニセフ「ユニセフの主な活動分野|水と衛生」

これらの表現を用いると2017年時点で世界には下記のような水難民がいます。
 
・安全に管理された飲み水が利用できない→21億人
・基本的な飲み水が利用できない→8億4,400万人
・限定的な飲み水が利用できない→2億6,300万人
・改善されていない水源しか利用できない→1億5,900万人

また途上国の特に農村部での状況がひどく、多くの人々が水を利用できないのが現状です。
 

トイレ:42億人が安全に管理されたトイレを利用できない




トイレも水と同様に、使用状況を把握するための定義がありますので、先に確認しましょう。
 
“衛生施設(トイレ)に関するデータの定義について
・安全に管理された衛生施設(トイレ)
排泄物が他と接触しないように分けられている、あるいは、別の場所に運ばれて安全で衛生的に処理される設備を備えており、他の世帯と共有していない、改善された衛生施設(トイレ)。

・基本的な衛生施設(トイレ)
他の世帯と共有していない、改善された衛生施設(トイレ)。

・限定的な衛生施設(トイレ)
他の世帯と共有している、改善された衛生施設(トイレ)。

・改善された衛生施設(トイレ)
人間が排泄物と接触しないよう、衛生的に設計された衛生施設(トイレ)。例えば、下水あるいは浄化槽につながっている水洗トイレ(水を汲んで流す方式、換気式トイレを含む)、足場付ピットトイレ、コンポストイレなど。

・改善されていない衛生施設(トイレ)
足場がないピット式トイレ、バケツに排せつし外に捨てる方式のトイレ(Bucket latrine)、池や川の上に設置され排泄物がそのまま落ちる方式のトイレ(Hanging latrine )など。

・屋外排泄
道端、野原、森、やぶ、水域、海岸、その他の屋外で排せつすること。”
引用元:ユニセフ「ユニセフの主な活動分野|水と衛生」

トイレに関しては、飲み水よりも状況は深刻です。
・安全に管理された衛生施設(トイレ)を利用できない→42億人
・野外排泄をしている→6億7,300万人

トイレも水同様に途上国の農村部がひどい状況です。

ここまで飲み水とトイレの世界の現状をまとめてきましたが、飲み水とトイレが利用できないことでどのような問題が発生するのでしょうか。
 

飲み水・トイレを利用できない問題点①健康への影響




清潔な飲み水とトイレを利用できない問題点としてまず第一に挙げられるのが健康への影響です。

途上国の農村部の多くは安全に管理された飲み水を利用できないために、わざわざ遠くまで水を汲みに行かなければなりません。

そしてようやく水源に辿り着いても、そこにあるのは泥や細菌、動物の糞尿が混じっている危険な水です。

その水を口にすると、特に子どもは下痢になり、最悪の場合命を落としてしまいます。

実際この下痢が原因で命を落としている乳幼児は年間30万人にのぼります。

またトイレに関しても、排泄物が適切に処理されていないため、水同様に細菌が体内に侵入して下痢や感染症など様々な病気を引き起こします。

◆石けんで手を洗うこともできない
SDGs目標6のターゲットにわかりやすい記載はありませんが、石けんで手洗いのできる環境を整えることも目標に含まれています。

水やトイレを確保できない地域では、石けんの普及率も低く満足に手洗いができません。

石けんで手洗いができないと手についた細菌などの汚れを落とすことができず感染リスクが上昇します。

先述した下痢などの病気に加えて、2020年初頭から猛威を振るう新型コロナウィルスに感染するリスクも高くなり、石けんでの手洗いの普及が急がれます。
 

飲み水・トイレを利用できない問題点②教育への影響




途上国では、水を汲みに行く仕事のほとんどを子どもたちが担っています。

サハラ以南のアフリカ諸国だけでも約330万人の子どもが水を汲むために毎日長時間歩き続けます。

帰り道は重さに耐えて歩き続けるため、帰宅する頃には体力は残っておらず、学校に通えません。

また、思春期の女の子は人に排泄姿を見られることが恥ずかしく、トイレのない学校を休む傾向があります。(10人に1人の割合)

学校を休むうちに授業についていけなくなり、最終的には退学してしまうことも少なくないようです。

教育は貧困・不平等・死亡率の改善などSDGsで掲げられている様々な課題を解決できるとされていますが、この教育を受けられない状況では負の連鎖を止めることはできません。

すべての人が飲み水やトイレを利用できないことは、すべての問題の根底にある課題なのです。

ここまで世界の飲み水・トイレ状況を見てきましたが日本の現状はどのようになっているのでしょうか。

【飲み水/トイレ】日本の現状



日本では蛇口をひねれば水が出て、トイレもいたるところに設置されているため無縁の問題だと感じる方も多いのではないでしょうか。

確かに世界の状況と比べると高い水準にあることは間違いありませんが、まだ一部の人々が取り残されていることを知る必要があります。
 

日本の水道・下水普及率


日本の水道普及率は98%と非常に高い数値ではありますが、残りの2%の約230万人は日常的に水道が利用できない状態です。

【水道の普及率】

出典:厚生労働省「水道普及率の推移(平成30年度)」

今後この2%をゼロにするために、国や地方自治体の取り組みが求められています。

また、トイレについては、下水道普及率からその実態を確認することができ、2019年時点の数値は79.7%です。

下水道が整備されていない地域のほとんどがくみ取り式のトイレを使用しており、水は処理されてから川に流されるため、海外のような感染症のリスクはほとんどありません。

しかし、トイレ以外の風呂や台所で使用した汚れた家庭用水はそのまま川に流されてしまうことになるので、川や海に住む生物への影響が懸念されています。

今後下水道普及率100%を達成させることが求められます。

ここまでは水道とトイレの施設面から見た水の課題でしたが、そもそもの水が不足する事態も起きています。

水不足と人口増加の関係



近年、世界の水不足は深刻になりつつあります。

水不足の原因として挙げられるのは、⑴人口増加と⑵地球温暖化です。1つずつ見ていきましょう。
 

⑴人口増加による水ストレス


世界の人口はこれまで増加の一途をたどり、そのことで水不足が引き起こされました。

水不足を測る指標の1つに水ストレスがあり、これは1人あたりが年間に使用可能な水の量が1,700トンを下回る状態を指します。

1,700トン(2リットルのペットボトル約2,300本分)を下回ると人間は日常生活で不便さを感じるようです。

この水ストレスに陥る地域は年々増加しており、2025年にはさらに増えると予測されています。

【水ストレスの予測】

出典:日本水フォーラム「学習コンテンツ: 地球上の水問題」

現在、世界の人口増加は鈍化傾向にありますが、それでも途上国が多いアジアとアフリカは今後100年間で人口が4倍以上増加するとされています。

【人口推移と2050年までの予測】

出典:総務省「第1部 特集 「スマートICT」の戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか」

人が増えればその分だけ水の使用量も増えますが、その一方で地球全体の水の総量はほとんど一定です。

つまり、1人が使える水の量が減っていくことを意味します。

これが人口増加起因による水不足となりますが、さらに深刻なのが地球温暖化によるものです。
 

⑵地球温暖化による水不足


地球の平均気温は年々上昇傾向にあります。

下の表は、1880年から2012年の世界の地上気温の変化を示したものです。

出典:温室効果ガスインベントリオフィス 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトより
 
:英国気象庁による解析データ(HadCRUT4)、薄オレンジ:米国海洋大気庁国立気候データセンターによる解析データ(MLOST)、濃オレンジ:米国航空宇宙局ゴダード宇宙科学研究所による解析データ(GISS)

この表は、1961年〜1990年の平均気温を基準(0.0)として、そこからの差異がまとめられています。

これを見ると、1880年から2012年の間に0.85℃上昇していることがわかります。(表を読み込もうとすると、専門的な知識や様々な前提が必要なため、気温が上昇している、程度の認識で良いでしょう。)

今後この気温は上がり続け、2100年には最大で4.8℃も上昇することが予測されています。
 

温暖化による気候変動で異常気象が頻発


相関関係は未だ解明されてはいないものの、異常気象も温暖化の影響であると指摘されています。(世界気象機関(WMO)が、異常気象は地球温暖化の傾向と一致していると発表。)

気象庁の定義によると、異常気象とは、
“・気温、降水量などの気象要素が過去30年以上にわたって観測されなかったほど著しく高いか、あるいは低い値を示す場合。 ・30年に1回以下の出現確率の現象(正規分布すると仮定した場合、平均値から標準偏差の約2.2倍以上偏った現象が発生する確率に相当)”
引用元:中央環境審議会地球環境部会 気候変動に関する国際戦略専門委員会提出資料より引用
とされていますが、近年では毎年のように大雨や酷暑についての報道を目にします。

日本では「平成29年7月九州北部豪雨」、「平成30年7月豪雨」などの大雨や、2018年の記録的な猛暑など記憶に新しいのではないでしょうか。

これは世界共通の問題で、アメリカ南東部からカリブ海諸国にかけての地域で190名以上の犠牲者を出したハリケーン(2017年)、北極圏でも30℃を超える記録的高温など、これまでに体験したことのない異常気象が頻発しています。
 

なぜ異常気象と水不足が関係するのか




異常気象が頻発していることと水不足は様々な点から相関関係を持ちます。

ここでは代表的なポイントをピックアップして説明します。

a.降雨パターンの変化で水資源の確保が不安定
b.干ばつの増加
c.洪水リスクの高まり
d.海面上昇による影響

a.降雨パターンの変化で水資源の確保が不安定
温暖化の影響により、日本も含めて世界的に降雨パターンが変化しています。

集中豪雨が起きる一方で長期に渡り雨が降らなかったりするなど、年間を通しての降水量・年ごとの降水量が不安定な傾向があるのです。

水を蓄える役割を果たすダムの容量や数には限界があり、集中豪雨や台風で大雨が降ってもその分をすべて蓄えられるわけではありません。

結果的に降水量が少ない時期が続くと、使える水の量が減り水ストレスにつながります。

さらには不安定な気候がより水資源の確保の見通しを立てにくくしているのです。

b.干ばつの増加


降水量が極端に減少して干ばつの被害を受ける地域が増加しています。

特に地中海沿岸、中近東、アフリカ南部、アメリカの中西部ではこの傾向が顕著に見られます。

途上国では貯水システムが確立されていないため、干ばつが発生すると飲み水を得られないだけでなく、農地に水が引けない・家畜の衰弱など多大なダメージを負うことになります。

c.洪水リスクの高まり
集中豪雨や大雨により洪水リスクが高まります。

洪水が起こるとトイレが整備されていない地域では、人の排泄物が水に大量に混じって汚染されてしまい、水源を利用できなくなったり、その水を誤って体内に取り込んでしまうと病気の原因にもつながります。

d.海面上昇による影響
海面の水位は1901年から2010年の約100年の間に19cmほど上昇しました。

1年あたりの海面上昇の平均は1.7mmですが、とりわけ1993年から2010年は3.2mm上昇するなど、急激な変化が見られます。

海面水位も気温同様に何も対策をしなければ21世紀末には0.82m上昇するとの予測が出されました。

海面が上昇すると、海抜の低いフィジー諸島共和国、ツバル、マーシャル諸島共和国などの島国は高潮の被害を受けやすく、普段でも潮が満ちると住宅街に海水が浸水してしまいます。

海水が侵入することで地下水などにも塩分が混ざってしまい、飲めなくなってしまうのです。

ここまで見てきたように、地球温暖化により様々な場所で水不足が引き起こされています。

水不足の解決には、温暖化へのアプローチが鍵を握っているのです。
 
>>地球温暖化とSDGsの関係について詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」と|地球の現状・温暖化のメカニズム・取り組みまで

②【水源の管理】統合水資源管理が求められる



これまで「飲み水」「トイレ」「水不足」など水に関連する内容を見てきましたが、水は生命活動の根幹にある重要な存在であることから他にも課題は山積みです。

例えば水質の向上を目指すこと、水を有効利用すること、さらには生態系の保全など多岐に渡る課題の解決が求められているのです。

しかしこのような様々な課題があるにも関わらず、これまではそれぞれの問題に対して他国、日本、行政、企業、団体が縦割り的に取り組む傾向にありました。

そこで横断的に連携を取りながら課題の解決を目指していこう、といった考え方が生まれます。

これが「統合的水資源管理」です。


出典:内閣官房 水循環政策本部事務局「令和元年版 水循環白書について」

人間が利用できる水の量は地球上にある水のごくわずか※1です。

このわずかな水を「統合的水資源管理」によって有効に活用できるようにし、持続可能な水資源の実現を目指そうというものです。

次では川の上流と下流の連携の面から、「統合的水資源管理」の具体的な対策を探っていきましょう。
 
※1人間が利用できる水の量地球上にある水の97.5%は海水で、残りの2.5%が淡水です。そして淡水の70%は南極や北極の氷で、残りの大半は地下水となります。地下水も半分以上が地下800メートルよりも深い場所に流れているため人間が使える水は全体の水のわずか0.01〜0.02%(川、湖、沼より取水)です。地球全体の水をお風呂1杯分に例えると、人間が利用可能な水は大さじ1杯ほどではありますが、川や湖、沼の水は蒸発して雲となり、やがて再び雨となって地上に降り注ぐ循環型であるため人間は水を利用できています。
 

上流と下流の連携




「統合的水資源管理」を一番イメージしやすいのが川の上流と下流の連携です。

川の水は上から下へと流れます。

もし上流で水質を汚染するようなことがあれば、下流で利用できる水は限られてしまいます。

また、上流地域から工場のための水や生活用水を大量に取水した場合、下流域に住む人々が取水できる量が減少するのです。

◆飲み水の質にも影響が
先述した途上国で飲み水の水質が悪いことは、まさに上流域での水質汚染が関係しています。

上流域で生活する人々もトイレのない生活を強いられていることが多く、人間の排泄物や家畜の糞を川へと流します。

加えて食物を育てるために大量の農薬を使うことも少なくなく、滲み出た農薬が川へと流出して下流へ放出されてしまうのです。

これまでは地域ごとで対策を検討していましたが、今後は上流のコミュニティと下流のコミュニティが連携を取りながら解決していくことで水質の改善にもつながります。

さらに、河川は国にまたがり流れていることもあるため、国家間でも協力して解決に努めなければなりません。

企業の取り組み

ここまでSDGs目標6のポイントを見てきましたが、企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。
 

高品質簡易トイレを普及させる「株式会社LIXIL」


住宅設備メーカーの大手である株式会社LIXILは、SDGsへの取り組みが評価されて第2回ジャパンSDGsアワードでは「SDGs副本部長(外務大臣)賞」を受賞しました。

その取り組み内容は、
・途上国向けの簡易かつ高品質でさらには安価なトイレ「SATO」を展開
・同社のトイレを1台購入ごとに「SATO」を途上国に寄付
・途上国でのトイレ市場を確立して雇用を創出
など、様々な面からSDGs達成への取り組みを行なっています。

現地のニーズと合わないトイレを提供しては意味がないとの思いから、デザイナーの方は3週間ほどバングラディシュで現地の人と生活を共にして開発に至ったそうです。

今後、株式会社LIXILの取り組みがモデルケースとなり、トイレ支援の活動が普及していくことが期待されます。
 
>>株式会社LIXILが選ばれた「ジャパンSDGsアワード」についての詳細は以下の記事をご参照ください。
SDGsアワードとは?選定のポイントもわかる!|様々なアワード・2020年最新受賞団体の紹介も

わたしたちにもできること



SDGS目標6を達成するための具体的な取り組みは、どちらかといえば水やトイレに関連した企業や国が中心になるかもしれません。

そのなかでも私たちにできる取り組みは、SDGs目標6についての現状を知ることです。

SDGsに関する複数の書籍には、日本を含めた世界で今起きている課題を知り、「自分ゴト化」して日々の生活で意識を変えていこうと書かれています。

SDGs目標6でいえば、「普段から水を節約する」「ゴミのポイ捨てはしない」など些細なことでも行動することが大切です。

この記事で気になるポイントをさらに掘り下げて調べてみると、さらに「自分ゴト化」できるでしょう。

とはいえもう少し直接的な行動を起こしたいと考えている方もいるかと思います。

その場合にはユニセフの水に関する寄付による支援はいかがでしょうか。
 

ユニセフへの寄付




ユニセフでは安全な水を利用するための寄付を受け付けています。

任意の金額をクレジットカード、コンビニ払い、インターネットバンキングで支払いが可能です。

また、毎月の定額募金か1度の募金かも選べるので目的に応じた寄付ができます。

寄付されたお金は、汚れた水をきれいにする浄化剤や家庭用衛生キット、給水施設の管理人育成など様々な用途に使われるとのことです。

さらに詳細を知りたい方はユニセフのHPをご覧ください。

SDGs目標6を達成するためにできることからはじめよう

この記事ではSDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」の押さえておきたいポイントを見てきました。

安心して飲める水やトイレ以外にも、水不足や統合的水資源管理など多くのキーワードがあります。

1度読んだだけでは完璧に理解することは難しいと思いますが、他にも国連や政府が出している資料を読み込み、今起きていることを把握してまずは自分のできることから始めてみてはいかがでしょうか。

SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」と|地球の現状・温暖化のメカニズム・取り組みまで
SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは|3つのポイントをピックアップ
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