地方創生にはSDGsが欠かせない!背景や取り組み事例で理解が進む!

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昨今、テレビや雑誌で特集が組まれ、SDGsという言葉も定着してきました。
SDGsの概要を調べるためにインターネットで検索していると、「地方創生」というキーワードを目にした方も多いのではないでしょうか?

本記事では、「地方創生って何?」「SDGsと地方創生にはどんな関連があるの?」といった疑問に具体例を織り交ぜながら、詳しく解説していきます。SDGsと地方創生は、読者の方が住んでいる街でも取り組みが進んでいる可能性もあるので、記事を読み終わる頃には身近に感じることができるかもしれません。

まずはSDGsのおさらいから始めましょう。

SDGsとは?分かりやすく解説

SDGsとはSustainable Development Goalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

この目標の達成のためには、世界中の人々が、地球が今抱えている課題を認識し、行動に移すことが求められています。

そこで課題を「自分ゴト」できるよう、17個の視点から目標が掲げられています。

それぞれの目標を達成するために、どのような課題を解決しなければならないのか。

SDGsには目標の達成を目指して、具体的なターゲットが合計で169個掲げられています。

例えばSDGsの目標1では「貧困をなくそう」が目標です。

この貧困をなくすために、ターゲットの1つとして「2030年までに、貧困と定義される1日1.25ドル未満で生活する人をなくす」ことが挙げられているのです。

 
>>SDGsの各目標についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
SDGs17の目標を1つずつ解説!世界や日本の現状を理解できます


今のところは、すべての目標やターゲットを理解している必要はありません。
「SDGsの目標は、私たちの生活に関わる内容が多いんだな」という程度の認識ができていれば大丈夫ですよ。

では早速、SDGsと地方創生の関係についての説明に入ります。
まずは、地方創生とは一体何を指すものなのかを見ていきましょう。

地方創生とは?背景には日本の人口減少の現状が



地方創生とは、2014年に政府が地方の活性化を目指して立ち上げた政策です。

これを受け、地方創生を進めるための組織「まち・ひと・しごと創生本部」が設置され、そこで話し合われた具体的な方針が、「まち・ひと・しごと創生基本方針」として毎年発表されています。

ではなぜ地方に焦点を当てた政策が展開されることになったのでしょうか。

これは、日本全体の人口が減っていることが大きく関係しています。
 

日本の現状


総務省統計局によると、2020年11月現在の日本の総人口は1億2,577万人で、2004年の1億2,784万人をピークに年々減少傾向にあります。(表1参照)

表1「日本の人口推移位」

出典:総務省「市町村合併の推進状況について」

これに対して、東京の人口の推移は右肩上がりで、2009年(平成21年)の約1,300万人から2020年(令和2年)には約1,400万人と、この10年でおよそ100万人増となっています。(表2参照)

表2「東京都の人口推移」

出典:東京都「東京都の総人口(推計)の推移」

これがいわゆる東京一極集中というもので、このまま日本の総人口は減少していくのに対して東京の人口が増加する現象が続くと、地方には人がいなくなり消滅してしまう自治体も出てくるでしょう。

現に、東京への一極集中による人口減・少子高齢化による税収減や医療費の支出増などにより、運営が困難になっている地方自治体が増えてきているのです。

政府は、こうした一極集中を是正し、それぞれの地域で住みやすい環境を確保することで、日本全体の活力を維持しようと、地方創生を立ち上げました。

「日本全体の活力を維持する」と一言で言っても、達成すべき目標は多岐に渡ります。

そこで次では、地方創生によって、日本全体の活力を維持するという大きな目標を達成させるため、「まち・ひと・しごと創生基本方針」で掲げられた4つの基本目標と2つの横断的な目標について見ていきましょう。
 

地方創生で掲げる4つの基本目標と2つの横断的目標


4つの基本目標と2つの横断的な目標は以下の通りです。

【4つの基本的目標】
①稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
②地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる
③結婚・出産・子育ての希望をかなえる
④ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

【2つの横断的な目標】
⑴多様な人材の活躍を推進する
⑵新しい時代の流れを力にする

まずは4つの基本的目標を1つずつ簡単に見ていきましょう。

①稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
これは地方の就労者数の増加や、15歳から35歳までの若い世代の正規雇用の割合を増やすことが目標です。

そのためにも安定して収入を得られる環境を作ることが必要で、地域資源や産業を活かした地域の競争力の強化や、働きやすく魅力的な就業環境の整備を進めていくことが求められています。

②地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる

これはU・I・J※1ターンを含めた地方移住の推進や、新しいひとの流れとして「関係人口※2」を拡大させることが目的です。

そのためには魅力ある大学などの教育機関を構築することや、移住促進のための支援金制度の拡充を進め、住みたいと思われる環境を整備していく必要があります。
 
※1
Uターン:地方から都市に移り住み、再び元の地方に戻って住むこと
Iターン:生まれ育った都市から、別の地方に住むこと
Jターン:地方から都市に移り住み、その後生まれ育った地方近郊の都市に住むこと
 
※2
特定の地域に継続的に関わる人のこと。観光以上移住未満と表現されることが多い。兼業や副業・イベントなどで関わったり、ふるさと納税をしながらその地域のイベントに参加するなど。

③結婚・出産・子育ての希望をかなえる
これはその名の通り、結婚・出産・子育てしやすい環境を整えることです。

そのためには結婚・出産・子育ての支援制度の確立や、仕事と子育てを両立できる仕組みづくりを進めることが求められています。

④ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる

これは、地方に住む住民が安心して暮らせる環境を確保することです。

そのために、まちの機能を充実させることが必要で、一箇所のエリア内に住居や商業、福祉、医療施設、公共交通を集約し、高齢者でも負担なくどこにでもアクセスできるようにすることが求められています。

次は2つの横断的な目標を見てみましょう。

⑴多様な人材の活躍を推進する
これは誰もが活躍できる社会を作ることです。

年齢・性別・国籍・障がいの有無に関わらず、多様な人が働いたり、安心して暮らしていける環境を確保することが求められています。

⑵新しい時代の流れを力にする
課題解決のために、新しい力をどんどん取り入れていこう、といった内容です。

具体的には、Society 5.0※3を地域で推進し、未来技術を積極的に活用することが挙げられています。
 
※3
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもの。番号は社会が進化・発展してきた順番になっている。「IOT(Internet of Things)(モノがインターネット経由で通信すること)」で、すべての人とモノをつなげ、様々な知識を共有し、少子高齢化や地方の過疎化などの課題を解決していこうとする社会。

これらの目標を達成することで、地方の活力の維持につながるとされています。

ここまでが地方創生の概要です。

少々難しい部分もありますが、「様々な力を結集して、魅力ある地方を作り上げ、人口を増やすことを目指す」というのが地方創生と言えるでしょう。

しかし、この地方創生がなぜ、SDGsと関連づけられて語られるのでしょうか。

なぜ地方創生にSDGsが必要なのか


SDGsと地方創生の関係を考える鍵として、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」が挙げられます。

SDGs目標11のポイントをざっくりと説明すると、地域のコミュニティの強化と個人の安全を確保しつつ、技術革新や雇用を促進しながら、土地や環境に負荷をかけない都市を維持・発展させることを目指しています。

さらに掘り下げると、地震や異常気象による災害への対応や、過疎地域や貧困地域に住む人の交通のアクセスの確保、都市への一極集中の解消まで、日本が抱えている課題とリンクする箇所が多く、地方創生と親和性が高いのです。

また、SDGs目標11以外でも、高齢化社会であればSDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」、結婚・出産・子育てであれば「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」と一致するなど、ほぼすべてのSDGs目標が地方の抱える課題とマッチします。
 
>>SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」についての詳細は以下の記事をご参照ください。
SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える|コロナ禍との関わりも

>>SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」についての詳細は以下の記事をご参照ください。
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考える|世界の現状や日本の取り組みも


先述の地方創生が始まったのは2014年。

政府はその後2015年に採択されたSDGsに注目し、地方創生を目指す全国の自治体がSDGsの手法を取り入れることで、それまでに行なっている取り組みがより加速するのではと考えたのです。

そこで政府は、地方創生にSDGsの手法を取り入れて活動している自治体の成功例を発信し、全国の自治体が参考にできるよう、優れた取り組みを進めている自治体を「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」として選定する制度をスタートさせました。

これが、地方創生とSDGsが関連づけて語られる大きな理由なのです。

地方創生と関わりの深い「SDGs未来都市」「自治体SDGsモデル事業」とは


「SDGs未来都市」についてもう少し踏み込んでみましょう。

「SDGs未来都市」とは、日本のSDGsモデルの構築を目的とし、「経済」「社会」「環境」の三側面についての課題解決や新しい価値創造に向けて、優れた提案(計画)をした自治体を国が選定するもので、2018年から開始されました。

政府は2024年までにSDGsに取り組む自治体の数を全国の60%まで引き上げることを目標としています。

「SDGs未来都市」に選定されると、計画を実行するために有識者や各省庁からアドバイスをもらえたり、進捗評価のサポートなどのフォローを受けられ、SDGs達成に向けての取り組みをより一層強化できるのが特徴です。

また、SDGs未来都市のなかでも特に先導的な取り組みを計画した提案(計画)である場合は「自治体SDGsモデル事業」に選定され、補助金がつきます。

◆SDGs未来都市は「環境モデル都市」「環境未来都市」の発展系
実は、このSDGs未来都市以前にも、成功モデルを発信するために「環境モデル都市」「環境未来都市」を選定してきた経緯があります。

SDGs未来都市は、この2つを発展させたものであると位置付けられており、SDGsと地方創生を考える際には一緒に語られることの多い言葉です。

SDGs未来都市の理解をより深めるためにも、環境モデル都市と環境未来都市について簡単に説明します。
 

「環境モデル都市」とは


「環境モデル都市」とは、日本を低炭素化社会(二酸化炭素の排出が少ない社会)に転換するために、温室効果ガスの削減などに対する取り組みが評価されて選出された自治体を指します。

2008年からこの制度がスタートし、23の自治体が環境モデル都市に選定されています。
 

「環境未来都市」とは



引用元:内閣府『「環境未来都市」構想』

2010年に環境や高齢化といった課題の解決を目指した「環境未来都市」構想が閣議決定されます。

ここでの成功事例を国内外に普及していくことで、雇用を生み出し、最終的には日本全体を持続可能な経済社会に発展させようとする施策です。

2011年には、その足掛かりとなる「環境未来都市」の選定が始まり、「環境モデル都市」の要素に「環境・超高齢化対応等に向けた、人間中心の新たな価値を創造する都市」であることが加わりました。

より高いレベルで事業に取り組む自治体が選ばれたのです。
 
<各施策の時系列>
2008年 「環境モデル都市」の選定がスタート
2010年 「環境未来都市」構想が閣議決定
2011年 「環境未来都市」の選定がスタート
2014年 「地方創生」が掲げられる
2015年 SDGsが採択
2018年 「SDGs未来都市」の選定がスタート

このように、日本はSDGsが採択される以前から、日本全体を持続可能な国にしていくための取り組みを進めており、今後どのような形でSDGsの手法を取り入れていくのかがキモとなるでしょう。
 

SDGs未来都市一覧


ここまでで大まかな地方創生とSDGsとの関係性を説明しました。

続いては、これまでに「SDGs未来都市」に選定された自治体やその取り組みを紹介します。

【第1回(2018年)】

北海道

北海道
 札幌市 

北海道
ニセコ町

北海道
下川町

宮城県
 東松島市 

秋田県
 仙北市 

山形県
飯豊町

茨城県
 つくば市 

神奈川県

神奈川県
横浜市

神奈川県
鎌倉市

富山県
富山市

石川県
珠洲市

石川県
白山市

長野県

静岡県
静岡市

静岡県
浜松市

愛知県
豊田市

三重県
志摩市

大阪府
堺市

奈良県
十津川村

岡山県
岡山市

岡山県
真庭市

広島県

山口県
宇部市

徳島県
上勝町

福岡県
北九州市

長崎県
壱岐市

熊本県
 小国町 

 

【第2回(2019年)】

岩⼿県
陸前⾼⽥市

福島県
郡⼭市

栃⽊県
宇都宮市

群⾺県
 みなかみ町 

埼⽟県
さいたま市

東京都
⽇野市

神奈川県
川崎市

 神奈川県 
⼩⽥原市

新潟県
⾒附市

富⼭県

富⼭県
南砺市

⽯川県
⼩松市

福井県
鯖江市

愛知県

愛知県
名古屋市

愛知県
豊橋市

滋賀県

京都府
舞鶴市

奈良県
⽣駒市

奈良県
三郷町

奈良県
広陵町

和歌⼭県
 和歌⼭市 

⿃取県
智頭町

⿃取県
⽇南町

岡⼭県
⻄粟倉村

福岡県
 ⼤牟⽥市 

福岡県
福津市

熊本県
熊本市

⿅児島県
⼤崎町

⿅児島県
 徳之島町 

沖縄県
恩納村

       

【第3回(2020年)】 

岩手県
岩手市

宮城県
仙台市

宮城県
石巻市

山形県
鶴岡市

埼玉県
春日部市

東京都
豊島区

神奈川県
相模原市

石川県
金沢市

石川県
加賀市

石川県
能美市

長野県
大町市

岐阜県

静岡県
富士市

静岡県
 掛川市 

愛知県
岡崎市

三重県

三重県
いなべ市

滋賀県
湖南市

京都府
亀岡市

大阪府
大阪市

大阪市
豊中市

大阪市
富田林市

兵庫県
明石市

岡山県
倉敷市

広島県
 東広島市 

香川県
三豊市

愛媛県
松山市

高知県
土佐町

福岡県
宗像市

長崎県
対馬市

 熊本県 
 水俣市 

 鹿児島県 
 鹿児島市 

 沖縄県 
 石垣市 

   

毎年約30団体が「SDGs未来都市」に選定されています。

応募数は、2018年が55自治体、2019年が57自治体、2020年が77自治体と年々増加傾向にあり、関心の高さが伺えるとともに、全国的にSDGsと地方創生を関連づけた取り組みが広がっていることがわかります。
 

SDGs未来都市の具体的な取り組み事例


「SDGs未来都市選定」が開始されてから3年で、およそ100の自治体が選定されましたが、具体的にはどのような取り組みを行なっているのでしょうか。

2018年の第1回で「SDGs未来都市」に選ばれた北海道下川町の事例で確認しましょう。
 
>>SDGs未来都市についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
SDGs未来都市とは?|過去の選定結果・事例から傾向を知ろう!

 

森林を軸に持続可能な街へ 北海道下川町の取り組み



引用元:北海道下川町

SDGsの取り組みを調べていると、この北海道下川町を目にする機会が多くあるかもしれません。

実はこの下川町は、2008年に「環境モデル都市」、2011年に「環境未来都市」にも選ばれており、さらにはSDGs達成に向けた優れた取り組みを表彰するSDGsアワードで、最も優れた賞である「SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞するなど、いわばまちづくりのエキスパートなのです。

◆急激な過疎化で町運営の危機


その下川町は、1960年代には15,000人を超える人口でしたが、基幹産業の衰退やJR名寄本線の廃止などにより急激に人口が減少。

1980年の国勢調査では人口減少率が北海道で1位、全国で4 位を記録するなど、過疎化が深刻な問題でした。

この危機を乗り越えるべく、2001年から行政、企業、町民が一体となって、課題解決に向けた取り組みをスタートさせます。

その結果、人口の減少率は緩和されつつあり、近年では転入してくる人が転出する人の数を超えることもあるのです。(下川町の人口推移位表参照)

【下川町の人口推移】

出典:総務省「平成30年度第1回過疎問題懇談会 資料8」

人口減少緩和のため成果が見られた具体的な取り組みを見ていきましょう。

◆森林を軸としたまちづくり
下川町は、町の面積の9割が森林で覆われている土地ですが、この森林を軸にまちづくりを進めています。

その取り組みの1つに、伐採→植林→育林→伐採の循環型森林経営があります。

この循環システムを構築するメリットとして、安定して木材を確保できることがまず挙げられるでしょう。

さらに、これまで林業に関わる仕事としては生産・加工業に重きが置かれていましたが、育林が加わることで「森林保育事業※4」も展開でき、就労・雇用の場も確保できます。

この取り組みを始めてから、平成元年以降のUターン、Iターン者18名が森林組合に就職し、森林管理の仕事についているとのことです。

また、生産・加工段階で余った木材は森林バイオマス資源(バイオマスとは生物から生まれた資源のこと)として活用されており、再生可能エネルギーの拡大も見込め、環境への配慮もされています。

下川町への移住者が増加傾向にあるのは、これらの総合的な取り組みの成果ですが、その一方で、移住者の住まいが慢性的に不足するといった課題に直面しました。
 
※4下川町の森林の62%を占める人工林(人間が苗木を植え育ててきたスギ、ヒノキ、カラマツなどの主に針葉樹のこと)は、植栽から伐採まで長い年月を要し、その間の手入れに手間がかかります。適切な管理を怠ると不健康な人工林が増加。これにより森林が持つ、大雨が降った時に、その水を抑え一定期間雨が降らなくても水が途絶えないようにする機能などの低下が懸念されます。これを防ぐためにも、森林を適切に保育する事業の展開が必要なのです。

◆空き家の活用で住まい不足を解決
下川町は、移住者の住まい不足を解決するために、空き家の活用に注目しました。

下川町では高齢化の影響もあり、2030年には空き家が582戸まで増加することが予想されています。(2017年時点では81戸)

しかしこれまで、空き家の所有者と移住者との連携がうまくいかずに、移住者の住まいに活用されていない、といった需要と供給のミスマッチが発生していたのです。

そこでこの空き家問題や、慢性化する住宅不足の解消・移住定住促進といった地域の課題を解決することを目的とした「しもかわ空き家バンク」が開設されました。

これにより専用のサイト上で、家を貸したい・売りたい町民と、移住を検討している方が手軽に連絡を取り合えるようになりました。

下川町の情報も盛り込まれており、移住後の生活をよりリアルにイメージできる工夫も施されています。

◆SDGsとの関わり

これらの取り組みがSDGsとどのような関わりを持つのでしょうか。

ここまで紹介した取り組みとの関わりを例に見ていきましょう。

下川町のすべての取り組みの根底には、住みやすいまちにするという信念があります。

これはSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の達成とつながっています。

また、森林経営で雇用を生み出していることはSDGs目標8「働きがいも 経済成長も」に貢献。

さらには、「循環型森林経営」でFSC認証※5を取得しており、SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成に大きな意味を持ちます。

このように、地方創生を進めていく上でSDGsの手法を取り入れることは非常に有効で、取り組みを加速させる効果があるのです。
 
※5
第三者機関が、一定の基準をもとに環境・経済・社会の3つの側面から適切な森林経営がされているかを判断し、認証する制度。違法伐採などの撲滅に有効とされている。

地方創生SDGsの促進には官民連携プラットフォームの活用が必要不可欠



ここまで読み進めると、SDGsと地方創生で地方を活性化させるためには、自治体の力だけでなく、民間や市民と連携をとることが必要不可欠であることがわかるのではないでしょうか。

これまでは行政と民間の連携の場が少なく、パートナーシップを締結することが難しい状況でした。

そこで2018年8月から登場したのが地方創生SDGs官民連携プラットフォームです。

地方創生SDGs官民連携プラットフォームとは、SDGsで地方創生に取り組む自治体と、SDGsに関心のある企業をマッチングさせる内閣府が運営するマッチングサイトです。

これに登録することで①普及促進活動②マッチング支援③分科会開催の3つのメリットを受けられます。
 

①普及促進活動



引用元:地方創生SDGs官民連携プラットフォーム

地方創生SDGs官民連携プラットフォームに登録している会員は、自身が開催するイベントなどの情報を発信することができ、また他の団体のイベント情報も得ることができます。

これにより、幅広くの会員に取り組み内容を知ってもらえる、他の団体の取り組みを知れるなど、情報を交換しやすくなります。
 

②マッチング支援



引用元:地方創生SDGs官民連携プラットフォーム

地方創生SDGs官民連携プラットフォームに会員登録している団体のノウハウを閲覧・利用できます。

また、事前のアンケートをもとに、課題の解決が期待できるノウハウを持つ会員と繋がることもできます。
 

③分科会開催



引用元:地方創生SDGs官民連携プラットフォーム

地方創生につながる新事業を創出するための分科会を開催できます。

お互いの知識やノウハウを共有することで、課題の解決に向け充実した話し合いができることもメリットです。
 

地方創生SDGs官民連携プラットフォームでの事業化実例


実際にこの地方創生SDGs官民プラットフォームを利用し、パートナーシップを結び、事業に発展させたケースは多数あります。

その一例として、メビオール株式会社と愛知県犬山市シルバー人材センターの事業を紹介します。
 

フィルム農法で高齢者の雇用創出 メビオール株式会社×愛知県犬山市シルバー人材センター




愛知県にある、犬山市シルバー人材センターは、高齢者の社会参加を通して生きがいや就業、福祉の促進を目指す公益法人です。

この犬山市シルバー人材センターが、フィルム農法※6を展開するメビオール株式会社とタッグを組み、高齢者の雇用の創出に向け、独自ブランドのトマト「おいしい花子」を栽培し、販売する事業を開始しました。

メビオール株式会社が提供するアイメック®(フィルム農法)は、薄いフィルムで作物を育てる農法です。

土の代わりにこのフィルムを使うことで、農業未経験の高齢者でも参加できるメリットがあります。

犬山シルバーセンターの会員により育てられたトマトは、たくさんの糖分やアミノ酸が含まれているそうです。

雇用を生み出すこの取り組みは、高齢化が進む日本の社会において成功モデルになるでしょう。
 
※6
【メビオール株式会社HPより引用】
"アイメック®(フィルム農法)は、世界が今日直面している食の安全性、水不足や土壌汚染等の深刻な問題に対処するために開発されたハイドロゲル膜を用いた世界初の技術。"

SDGsと地方創生は身近なところでも始まっている


本記事では、地方創生が掲げられた背景やSDGs未来都市の取り組みなどを通して、SDGsと地方創生の関係を詳しく見てきました。

地方の人口減少に歯止めをかけ、活性化することは、日本全体が活力を維持した持続可能な社会へとつながります。

すでに各地の自治体で取り組みは進められているので、自分が住んでいる地域がどのような活動を展開しているのか調べてみるのも良いでしょう。

現在、SDGsと地方創生を体感的に理解できる「SDGs de 地方創生」といったカードゲームもあるように、社会全体がSDGsと地方創生に関心興味を示しています。

子供、孫の世代でも住み続けられるまちにするためにも、少しでも自分ができることに取り組むことが大切ですね。
 
>>カードゲーム「SDGs de 地方創生」の詳細は以下の記事をご参照ください。
SDGsのカードゲームを紹介!|すぐに取り入れられるゲームの紹介も

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