SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは|SDGsに取り組む企業担当者のインタビューも

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは|SDGsに取り組む企業担当者のインタビューも

テレビや新聞・電車などで目にする機会が増えてきたSDGs。

自分たちも取り組みを始めなければ…と考えている企業も多いのではないでしょうか?

しかし、とっつきやすいアイコンのキャッチコピーとは裏腹に、ターゲットを見てみるとちょっとよくわからない…と頭を抱える方も多いはず。

そこでこの記事では、企業がSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に取り組むうえで、目標が設定された背景や現状、実際に企業が行なっている取り組みなどの大事なポイントを見ていきたいと思います。

これを読めば重要キーワードもわかり、今後の取り組み内容を考える土台になるかもしれません。

また、現在SDGsを最重要視して事業を展開する株式会社ピー・エス・インターナショナルの人事担当に、どのような取り組みを行なっているのかもインタビューしているので目を通してみてくださいね。
 


目次
1.SDGsとは
2.SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは
3.SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のポイントをわかりやすく
4.①女性や少女への差別
5.②女性の社会的地位の向上
6.③ICTの活用で女性の能力開発促進を
7.④LGBTQについて
8.【企業の取り組みインタビュー】株式会社ピー・エス・インターナショナル
9.自分にできることは知ること

SDGsとは

まずは、SDGsの基本的な概要のおさらいです。

SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」とは



SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」はキャッチコピーで、正式な和訳は「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」です。

これまでの歴史の中で形成されてきた「女性らしさ」「男性らしさ」という価値観を捨て、すべての人が平等であると同時に、女性の能力も高めていこうといった内容になります。

難しい目標ではありますが、具体例やデータを交えながらできるだけイメージしやすいように書き進めていますので、気負わずに読み進めてくださいね。

次ではSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に設定されたターゲットを見ていきましょう。
 

ターゲット


ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:5.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:5.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

詳しい説明は後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。

5.1

あらゆる場所におけるすべての女性及び女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃する。

5.2

人身売買や性的、その他の種類の搾取など、すべての女性及び女児に対する、公共・私的空間におけるあらゆる形態の暴力を排除する。

5.3

未成年者の結婚、早期結婚、強制結婚及び女性器切除など、あらゆる有害な慣行を撤廃する。

5.4

公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する。

5.5

政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する。

5.6

国際人口・開発会議(ICPD)の行動計画及び北京行動綱領、ならびにこれらの検証会議の成果文書に従い、性と生殖に関する健康及び権利への普遍的アクセスを確保する。

5.a

女性に対し、経済的資源に対する同等の権利、ならびに各国法に従い、オーナーシップ及び土地その他の財産、金融サービス、相続財産、天然資源に対するアクセスを与えるための改革に着手する。

5.b

女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。

5.c

ジェンダー平等の促進、ならびにすべての女性及び女子のあらゆるレベルでの能力強化のための適正な政策及び拘束力のある法規を導入・強化する。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

ポップなアイコンと馴染みやすいキャッチフレーズとは一変してターゲットは複雑で難解な内容です。次ではSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の重要なポイントをピックアップしたのでまずは概要をつかみましょう。

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のポイントをわかりやすく

SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」のポイントは4つです。

ポイントに入る前にまずはジェンダーとはどのような意味なのかを確認します。
 

ジェンダーとは


ジェンダーの定義は、生物学的な性差(性別)のことを指すセックスとは異なり、「男性/女性はこうあるべき」といった社会や文化が形成されていく中でセックス(性別)に付け加えられた性差を指します。

具体的な例としては、「男性は外で働き、女性は家で家事をするべき」というような、古来より社会を形成する上で作り上げられた価値観です。

この価値観を根本から変え、性差(性別)の隔たりのない社会を実現することが、ジェンダー平等が掲げる内容となります。
 

ポイント①女性や少女への差別の根絶


1つ目のポイントは、女性や少女への差別を根絶することです。

世界には、
・女性および女児の18歳未満の結婚(児童婚)
・FGMと呼ばれる女性器の切除の慣習
・妻が働くことを夫が合法的に禁止できる
などの差別が問題視されています。

また、女性や女児の人身売買(取引)も深刻です。
・低賃金または無償で労働させる
・性的搾取のために人身売買(取引)
がなされており、主に貧困に喘ぐ地域で親が業者に売るケースが多く見られます。

宗教や文化の違い、経済状況により、これらの問題を根絶することを訴えてもなかなか理解されないという難しさもありますが、法で一定の強制力を持たせながら改善を目指さなければなりません。
 

ポイント②女性の社会的地位の向上


2つ目のポイントは、女性の社会的地位の向上です。

近年、女性の社会進出は少しずつ改善が見られました。

しかし、それでもまだ男性に比べて地位が低いのが現状です。

とりわけ日本は、この課題に対する進捗が悪く、
・非正規雇用の割合の高さ
・企業の役員、管理職の割合の低さ
・政治家の少なさ
など、女性の活躍の場が少ないことへの対策を講じる必要があります。

また、子育て・介護・家事などの無償労働が女性の役割であるという考えが根強く残っていることも課題です。

共働きの場合でも、子育て・介護・家事を主に女性が行なっているというデータもあり、解決策の検討が求められています。
 

ポイント③ICTの活用で女性の能力強化の促進を




3つ目のポイントは、ICTの活用で女性の能力強化を促進することです。

ICTとは「情報通信技術」のことを指します。

ICTと女性の能力強化の例としては「オンラインセミナー」などが挙げられます。

近年、パソコンとインターネットさえあればどこでも学ぶことができるようになりました。

さらには2020年初頭からコロナ禍の影響でテレワークも普及しています。

これらは自宅にいながら教育を受けられる、業務に就けるなどのメリットがあり、世界の未だ「女性は家にいるべき」という価値観が残る地域でも女性の能力を強化することができるでしょう。

また、蟹江憲史さんの著書「SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書」によれば、お掃除ロボットや食器洗浄器など家事の短縮になるものもこのICTに含まれるそうです。

これらにより、家事労働時間が短縮され、女性のみならず男性にとっても生活の質を向上させることができます。

このように、技術を活用してすべての人が働きやすい、または生活しやすいようにしていこう、といった内容がSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」で掲げられているのです。
 

ポイント④LGBTQへの取り組み


SDGs全体に言えることですが、LGBTQについての具体的な記載はありません。

とはいえすべての人の人権を尊重することが大切であり、取り組みを進めなければなりません。

現在、LGBTQであることを理由に仕事に就けなかったり、差別を受けたりと、平等とは言えない状況です。

LGBTQの方々が生きづらさを感じない社会を構築することも、SDGsが掲げる「誰ひとり取り残さない」社会において必要不可欠になります。

ここまでがSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の大まかな概要です。

次からはさらに踏み込んで、目標が設定された背景や現状、企業の取り組みを詳しく見ていきましょう。

①女性や少女への差別

まずは女性や少女への差別です。

ここでの差別とは、児童婚や家庭内暴力、女性器切除などの人権を無視した形態を指します。

1つずつ詳しく確認します。
 

①-a.児童婚




児童婚の定義は、18歳未満での結婚またはそれに相当する状態にあることです。

ユニセフによると、世界的に児童婚は減少傾向にあるものの、今でも年間1,200万人が児童婚を強いられています。

児童婚が特に多く見られる地域は、南アジアとサブサハラ(サハラ以南のアフリカ)です。

この2つの地域は、貧困状態に陥っている人々が多く生活していることも特徴で、実はこの児童婚と貧困は密接な関わりを持ちます。

貧困状態に陥っている地域では、経済的な理由から子どもを育てることが困難な場合が多くあります。

そのため、
・子どもが生活できるように結婚させる
・学校の制服、教材費が払えず学校を辞めさせて結婚させる
などにより、早期に結婚をさせなければならない状況に陥ってしまうのです。

このように経済的な観点から児童婚を見てみると、問題がないと感じる方もいるかもしれません。

しかし、彼女たちは発育段階で妊娠、出産を経験することとなり、死亡リスクが高まります。

加えて、家庭内で夫からの暴力や性的虐待の被害を受けやすいといった事実があるのです。

では具体的な数値を見てみましょう。
 

◆妊娠・出産のリスク

国連人口基金が発行している世界人口白書(2013年)によると、途上国での18歳未満の女性の出産は年間約730万件にものぼるといいます。

さらにはこの730万件のうち200万件は10歳〜14歳の女の子です。

発育段階、そして貧困による慢性的な栄養不足の状態での出産により、合併症などを引き起こし、年間7万人の18歳未満の女性が命を落としています。
 

◆暴力・性的虐待



暴力や性的虐待も深刻です。

ユニセフが2009年に発刊した「子どもたちのための前進」によると、最貧困層の家庭出身の女性、または正規の教育を受けていない女性は、夫からの暴力を正当化する傾向があると報告しています。

つまり、教育を受けられずに結婚させられた児童にとっては、暴力や性的虐待が悪いことだと判断することができません。

また、夫から精神的にも肉体的にも暴力を受けているため、性的虐待をされてもその恐怖から誰にも相談できないというケースもあるようです。
 

①-b.FGM(女性器切除)


現在でも、伝統的な慣習からFGM(女性器切除)の文化が続いている地域があります。

FGMの現状がユニセフにまとめられていました。
・世界30カ国の少なくとも2億人の女の子たちや女性たちがFGMを経験している。うち、半数以上が3カ国(インドネシア、エジプト、エチオピア)に集中している
・FGMを経験した2億人以上のうち、15歳未満の女の子は4,400万人。FGMを経験している15歳未満の女の子の割合が最も高い国々は、ガンビア(56%)、モーリタニア(54%)、インドネシア(49%)
・現在の傾向が続けば、2030年までに、さらに1億5,000万人の15〜19歳の女性がFGMを受けることになる見込み
【引用元】ユニセフの主な活動分野|子どもの保護「女性性器切除(FGM)」
FGM(女性器切除)により出血が止まらず、感染症や不妊の原因となり、最悪死に至るリスクもあります。

また、女性の心と体に深い傷を負わせ、大人になっても影響を与え続けてしまうのです。

これは重大な人権侵害であると世界中で声が上がっており、撲滅に向けた運動が各地で起きています。
 

①-c.人身売買(人身取引)の現状




続いては、人身売買(人身取引)の現状を見ていきましょう。まずは定義の確認です。
 

◆人身売買(人身取引)とは

人身売買(人身取引)とは、搾取を目的に、暴力などの手段により特に児童および女性を獲得することとされています

18歳未満の場合は、暴力などの手段に関係なく獲得されることが取引の対象です。
 
「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」通称「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書」に記載された人身取引の定義より。
人身取引の主な目的は、強制労働や買春、強制結婚、家事労働、物乞い、武装集団による徴用、臓器摘出などが挙げられ、人権を無視した扱いを受けることになります。

 

◆【世界の現状】人身売買(人身取引)はアジアに集中している

人身売買(人身取引)は表に出ないよう水面下で行われているため、正確なデータがとりにくい側面があります。

そのなかでワールド・ビジョンによると、2016年時点で子どもから大人までの人身取引の対象は世界でおよそ4,030万人にのぼると推定されており、その約半分がアジア地域に集中しているといいます。

そしてこの4,030万人のなかの約25%が子どもであると言われているのです。

この数値は氷山の一角であり、実際にはさらに多くの人々が被害にあっていると見られています。
 

【日本の現状】日本でも人身売買(人身取引)は行われている

人身売買(人身取引)というと、世界で起きている問題で、わたしたちが生活する日本では無縁のものだと考えてしまうかもしれません。

しかし、首相官邸から発表された、「人身取引対策に関する取組について(令和元年年次報告)」によると、2018年に日本で保護された人身取引者は27人いるのです。

内訳は、
日本人女性→17人
日本人男性→1人
外国人女性→9人
となり、圧倒的に女性が多い状況です。

このうちの5人が18歳未満(男性含む)で、主に売春・性風俗・労働搾取・ホステスで働かされており、搾取されていたことがわかります。

海外同様、明るみに出ていない人身取引は発生しているようです。
 

課題解決で女性の社会参画が期待できる


これまで見てきた女性や少女への差別や人身売買(人身取引)をなくすことは、女性が社会に参画できるチャンスが増えることにもつながります。

社会に参画するために、教育は必須です。

読み書きができるようになれば生活に必要な情報や知識を得られます。

これまで正当化していた暴力に対する認識が変わり、また危険な問題に直面した際に正しい判断ができるようになる、さらには職業を選択できるようになり貧困からの脱出も期待できるのです。

そのためにも、差別や人身売買の早急な解決が必要なのです。

とはいえ、経済的な問題で教育を断念しているという状況も鑑み、今まさに貧困に苦しんでいる家庭への支援も忘れてはいけません。

②女性の社会的地位の向上

女性への差別をなくすと同時に、社会的地位の向上も目指さなければなりません。

社会的地位の向上を目指すために参考にする指標としては、就業率や賃金格差などがあります。

これらは改善のペースは遅いものの、対策が練られています。

その一方で、世界的にもまだ関心を持たれていないのが無償労働(アンペイドワーク)です。

無償労働(アンペイドワーク)とは、家事労働・育児・介護など金銭が発生しない労働のことを指し、ほとんど女性が行なっています。

たとえ今後就業率や賃金格差の不平等がなくなったとしても、この無償労働(アンベイドワーク)の改善がない限り、本当の意味での平等は訪れないと考えられているのです。
 

女性は男性よりも長時間働いている



無償労働(アンベイドワーク)のほとんどが女性が担っている現状は、先進国でも途上国でも男性より長時間働いているというデータから確認できます。

とりわけ途上国でその傾向が顕著にあらわれており、オックスファムによれば女性が一週間に働く時間は60時間から90時間にのぼるようです。

さらには、女性が給与の発生する仕事に就いている世帯でも、男性と女性の無償労働(アンペイドワーク)の比率は変わりません。

例えばメキシコでは、女性は給与が発生する仕事に加えて週33時間の無償労働(アンペイドワーク)を行なっているのに対し、男性は週6時間程度にとどまっているのです。

これは「家事を行うのは女性」と付け加えられた性差が根強く残っていることを示しています。

このような世界の状況に対して日本はどのような格差が見られるのでしょうか。

男女間の不均衡を示すものとして、ジェンダー・ギャップ指数があります。

ジェンダー・ギャップ指数とは、世界経済フォーラムが経済・教育・政治・保健の4分野、合計14の項目から各国の男女の不均衡を数値化したものです。

2020年にとりまとめられたランキングによると、日本は149ヶ国中110位でした。

【「ジェンダー・キャップ指数2020」における日本の結果】

引用元:内閣府政策統括官(経済社会システム担当)「参考資料」

4分野のなかでも目立つのが経済と政治で、ほとんどの項目が低い数値となっています。

経済面で特に課題に挙げられるのが役員・管理職に占める女性の割合です。

【階級別役職者に占める女性の割合の推移(100人以上が務める企業)】

出典:男女共同参画局「第11図階級別役職者に占める女性の割合の推移」

この表を見ると、女性の企業における地位は年々向上しているように見えますが、海外と比較するとその差は歴然です。

【就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)】

出典:男女共同参画局「就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)」

この理由として考えられるのが、非正規雇用の増加や出産・子育てで仕事を離れなければならないことです。

今後、女性の社会進出を加速させるためにも国の政策に加え、企業による積極的な環境整備が必要です。

③ICTの活用で女性の能力開発促進を

ここまで見てきたように、世界的に女性の社会進出は進んでいるものの、未だジェンダー平等が達成されているとは言い難い状況です。

そこでICTを利用して女性の能力開発を促進していくことが掲げられているのです。

ICTとは、InformationandCommunicationTechnologyの略で、インターネットなどの通信技術を利用したサービスなどを指します。

現在さまざまなセミナーや教育プログラムなどがオンラインで展開されていますが、これらはICTと言えるでしょう。

ICTを活用するためにはインターネットの普及が必要不可欠ですが、世界ではどのような普及率となっているのでしょうか。
 

インターネット普及率の現状


インターネットは2000年以降、劇的な進歩を見せています。

【インターネット・携帯電話の普及率】

出典:総務省「世界におけるICTインフラの広がりとインフラ輸出の現状」

2015年時点で、世界の人口の約半数にあたる34億8,800万人がインターネットを利用できるようになりました。

しかし、貧困層が多く生活している途上国では未だに低い数値で推移しています。

【インターネット・携帯電話の人口普及率】

出典:総務省「世界におけるICTインフラの広がりとインフラ輸出の現状」

とりわけアフリカ地域では、4人に1人の割合でしかインターネットにアクセスできておらず、今後加速度的に普及するような取り組みが求められています。
 

日本の現状


【インターネット・携帯電話の人口普及率】の表にもあるように、日本のインターネット普及率は91.1%と高い数値を誇ります。

一方で山間部や離島エリアをカバーしきれていないといった課題も残されています。

地方の活性化や山間部や海での人命救助などをさらに活発化するためにも、日本全国100%のエリアでインターネットを活用できる環境を整えなければなりません。

また高い普及率があっても、個人のレベルで見た際に、世帯年収によってインターネットの利用状況の差異が見られます。

【属性別インターネット利用率】

出典:総務省「インターネットの利用状況」

特に世帯年収が200万円未満の人々は約半数がインターネットを利用できていなこともあり、インフラ整備に加えて誰もが利用できる仕組みを検討して行く必要がありそうです。
 

アフリカ地域におけるICT普及のための日本の対応


SDGsが掲げる2030年までのICTの普及促進には、インターネットの導入が不可欠です。

現在、アフリカ地域などにICTを導入できるよう、世界各国で取り組みを進めており、日本でも総務省を中心に動きを見せています。
・アフリカにおける調査・情報収集機能の強化
アフリカにおけるICT分野の調査環境を整備
各国・地域が抱えるニーズや課題、日本企業の展開可能な分野等の調査・収集・分析、イベントの支援を実施
調査結果は可能な限り公表、日本企業等と共有
・質の高いICTインフラの訴求
日本国内やアフリカで、官民ミッション、セミナー、展示会を関係省庁やJETRO等と連携して開催
政務・省幹部の訪問、招へい等を通じた相手国との関係構築・強化(例:ルワンダ国との関係強化による情報発信)
・案件形成、人材育成支援
総務省予算等を活用した相手国ニーズ調査、実証事業の実施
JICAと連携し、ODA(研修)やABEイニシアティブの枠組みを活用した人材育成支援を実施
【引用元】アフリカ地域における我が国ICTの展開より引用

このように様々な段階を経てICTの普及を目指していますが、これまで同様、女性が利用しにくい環境になるのは避けなければなりません。

そうならないためにも、人材育成支援の段階から誰もが公平に利用できるものだという価値観を提供する必要があるでしょう。

④LGBTQについて


近年、価値観の多様化が進んでおり、そのなかでLGBTQの権利を守ることも求められています。

LGBTQとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)、Questioning(クエッショニング、性自認・性的嗜好を定めていないまたは定まっていない人)の頭文字をとったもので、性的マイノリティを指します。

実はSDGsにはLGBTQについての記載は一切ありません。

これは、宗教上の問題などから性的マイノリティを認められない国があることによります。

例えば、ある国では同性間の性的関係を法律で禁じており、厳しい罰則を定めているため、国際的な枠組みの中には取り入れられませんでした。

しかし、LGBTQが理解されていない国々の価値観を変えなければ、本当の意味でのジェンダー平等は実現しません。

今後、国際的な話し合いの中で具体的な解決策を見いだすことが求められています。

その一方で、日本でも性的マイノリティに対して理解が進んでいないのも事実です。

LGBT法連合会が発表した「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト」によれば、
子供・教育
・性的指向について、教員や同級生がおかしいものと話したり、「うちの学校にはいない」と言われ、何も言い返すことができなかった

就労
・就職活動の際、結婚などの話題から性的指向や性自認をカミングアウトしたところ、面接を打ち切られた
・職場での昇進・昇格に結婚要件があったため、同性パートナーがいたのにもかかわらず昇進・昇格できなかった

医療
・認知症・意識不明状態のパートナーが入院したが、病院・医師から安否情報の提供や治療内容の説明を受けられず、面会もできなかった
・医療機関の受付では戸籍上の名前で呼ばれるため、受診しづらくなった

公共サービス・社会保障
・高齢者向けの施設において、男女分けで施設が運営されているため、性別違和を抱える当事者の意向を伝えても考慮されず、戸籍の性で分類され、精神的な負担が大きかった
・同性パートナーと公営住宅への入居を申し込もうとしたが、同居親族に当たらないことを理由に拒否された
LGBT法連合会「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト」より抜粋
など、辛い生活を強いられていることがわかります。

今後、LGBTQについての認識を広めることや価値観を変えていくなどの取り組みを進めて、すべての人々の人権を守ることが必要です。

ここまでがSDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」の概要です。

では、この目標の達成に向けて企業はどのような取り組みが必要なのか。

次では、本サイト「ethicame」を運営する株式会社ピー・エス・インターナショナルの取り組みを紹介します。

>>SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に関連するその他の目標の詳細は以下をご参照ください。

【企業の取り組みインタビュー】株式会社ピー・エス・インターナショナル



株式会社ピー・エス・インターナショナル(以下PSI)は、
・化粧品の輸入、製造、卸および販売
・エステサロン「美腸エステGENIE(ジニー)」の運営
・ナチュラル・オーガニックコスメショップ「favostyle(ファボスタイル)」、エシカルなライフスタイルを提案する「ethicame(エシカミー)のECサイト運営
・ネイルスクール「CLASTYLE(クラスタイル)」、セラピスト養成スクール「アロマビューティーライフカレッジ」のスクール運営、美容専門のキャリアアップスクール「Beauty Biz UP(ビューティービズアップ)」の運営
など、美容に関する事業を展開している企業です。

社員の8割を女性が占め、離職率も業界平均を下回るPSIでは、女性が力を発揮しやすい職場環境の設備やSDGsの取り組みをどのように展開しているのでしょうか。

今回、コーポレートマネジメント本部人事総務部長の関口さんに話を聞いてきました。


 

社員の8割が女性


---PSIの現在の社員数や男女比率を教えてください。

関口 2021年1月時点で、役員を除いて66名の社員が在籍しており、内訳は女性が55名、男性が11名と、83%が女性で構成されています。

エステ・ネイルなどの美容部門に12名(女性12名・男性0名)、オフィスワークが54名(女性43名・男性11名)です。

---管理職の割合はどのようになっていますか?

関口 役員を除く部長以上の管理職は8名で、女性3名・男性5名になります。

---帝国データバンクが発表した「女性登用に対する企業の意識調査(2020年)」によれば、全国平均で女性従業員割合が25.8%、女性管理職の割合が7.8%となっています。これに比べてかなり高い数値ですが、人事として意識している点はありますか?

関口 これは私の考えなんですが、「意識して女性を採用しよう、管理職に引き上げよう!」というのがすでにジェンダー平等に反していると思うんです。

性別のフィルターをかけずに、「この人は力を発揮してくれそうだ」「この人は能力が高いから管理職に向いている」と、純粋に能力で判断することが大切だと考えています。

それが結果的に数値に反映されているのではないでしょうか。

---では女性が働きやすい環境整備についてどのような施策をとっていますか?

関口 これは私も色々悩みながら取り組んでいますが、具体的には「時短勤務の改善」「休暇システムの変更」が挙げられるかと思います。
 

時短勤務の延長・有給を1時間単位で取得できるようにして働きやすく




---行なった施策を1つずつ聞いていきます。まずは「時短勤務の改善」について教えてください。

関口 これまでの時短勤務制度は子供が小学校に入学するまでとしていましたが、最近小学校卒業までに延長しました。

時短勤務って実は小学校に入ってからの方が必要になることが多いんですよね。

低学年なんかは特に家に帰ってくる時間が早いですし。本当に時短勤務が使いたい時期に使えない。

これでは働きにくいのでは、と感じてルールを変えました。

---では、休暇システムについてはいかがですか?

関口 弊社は介護休暇・看護休暇も有給にしていますが、この有給システムを1時間単位で取得できるようにしました。

---1時間単位で取得できるメリットはなんでしょうか?

関口 これまで「半日」「1日」どちらかしか選べなかったかった制度と比べ、融通が利くようになりました。

例えば病院に行きたい場合、1時間〜2時間で済んでしまうことも多いですよね。

でも半休の場合って、用事が済んでも残りの時間も休まなくてはならない。

これってもったいなくないですか?本人もこの時間に仕事を進められたのに…と感じてることも多いですし。

1時間単位で有給がとれれば、社員が自分の生活事情と相談しながら仕事を効率的に進められますし、会社としても生産性を上げられると考えて導入しています。

---世間的に有給を取りにくい…といった声も聞かれますが対策はされてますか?

関口 有給が取得しやすいように、申請書の「取得理由欄」をなくしました。

有給の理由がなんであれ原則会社は拒否することはできないと法律で決まっていますのでそれなら理由を必要なくないか?と。

あとは役員が積極的に有給を取るようにと呼びかけてくれていますね。
 

育休復帰率100%




---PSIは育休復職率も100%ですが、これはどのような施策を打っているのでしょう?


関口 1つ断っておきたいのが、直近でご家族の事情により復職する環境が整わないためにやむを得ず退職される方がいるので100%ではなくなります。

それでも会社が原因で復職しないという方は今のところいません。

具体的な施策としては産休前の上長面談以外に、人事との1on1面談も取り入れました。

「こういう書類出してね。」はもちろんですが、産休・育休に関する制度の事務的な説明だけではなく、復帰後もポジションを確保していること、休暇中不安なことがあればいつでも連絡してほしい旨を伝えて、安心して休暇に入ってもらうようにしています。

---これらの制度改定で離職率にも変化がありましたか?

関口 そうですね。加えて採用方法の変更により離職率(入社1年以内で退職する割合)が下がったと考えています。
 

企業理念に共感して応募する方が増加




---「採用方法を変えたことが離職率の改善につながった」とはどういうことでしょうか?


関口 私がPSIに入社したのが2018年なんですが、同年度の入社の離職率は19%でした。

もっと掘り下げると2018年度までに入社した方々はすでに61%が退職していた。

これでは採用コストに見合わない、というところから採用方法の見直しに着手しました。

---もともとはコスト削減が目的だったということですか?

関口 そうですね。もちろん働きやすさなども合わせて検討していましたが、まずは辞めない人材を効率的に集めるところから始めようと。

そこで従来の人材会社経由の採用手法から、「engage」で自社の経営理念、ミッション、ビジョンや事業内容、職場環境がより伝わるページを作り込んで募集をかける方法に比重を置くことにしました。

ただ、人材会社を全く利用しなくしたわけではなく、人材会社の担当者の方とは何度も打合せさせていただき、PSIが求める人材と求めない人材はどういう方で、その理由を徹底して伝えていきました。

要は、従来スキル重視であったところを、PSIがやろうとしていること、実現しようとしていることへの共感性を重視した採用活動へ転換しました。

---これが効果があったんですね。

関口 応募してくるのは自分で情報を取りにきた方ばかりです。

PSIの理念、ミッション、ビジョンに共感してくれたり、PSIが取り扱う製品・サービスに高い興味を持ってくれたり、また環境保護に興味を持ってくれたりと弊社の価値観に合った方が応募・入社してくれるので、入社後のアンマッチが防げているのだと思います。

弊社は中途採用がメインですので、即戦力という意味においてはもちろんスキルは重要です。

しかし、スキルがあってもPSIや既存社員とうまくいかなければ応募者本人も入社後スキルを発揮できませんし、PSIにとってもマイナス要因です。

そのため、スキル重視から会社の理念と合う人重視に方向転換したのが良かったですね。

---その結果2019年度の離職率は13.6%まで下がりました。今後はさらに改善できそうですか?

関口 離職率の改善については、弊社の考え方を知っていただく必要がありますね。

実は2019年1月以降の入社で退職されたのはすべて非正規雇用の方でした。

弊社は原則として正規雇用を前提に入社していただいていますが、エステ部門は入社段階では非正規雇用です。

---その理由は?

関口 もちろん正規雇用を前提とした採用ですので、長く働いていただけることにこしたことはありません。

しかし、いざサロンで働いてみたらその方が私にセラピスト職向いていないかも…と感じるケースがあります。

その場合無理に続けていくのはお互いにとってメリットはありません。

そこで期限を決めて非正規雇用として働いてもらって判断してもらっているんです。

ですので、非正規雇用の方の離職率については、数字だけで判断しないようにしています。

---ちなみに非正規雇用時期の待遇の差はありますか?

関口 ありません。弊社の場合は正規・非正規雇用に関わらず同じ条件で働いていただいています。
 

SDGsとの連動




---PSIはSDGsを最重要視していると掲げていますが、これまで伺ってきた「働きやすい環境づくり」以外にも事業と連動させているものがあれば聞かせてください。

関口 正直SDGsを達成するために「働きやすい環境を作っている」「環境に良い商品を取り扱うようにしている」というわけではありません。

取り組んでいる事業が自然とSDGsとリンクしているといったほうが正しいですね。

もちろんその関係性を意識してもらうのは大切ですので、定期的に配信される社内報や年1回の全社会議等において、役員トップ自らことあるごとにSDGsの重要性を発信するなど社員への啓もうも行っています。

---目指している方向が同じということですね。

関口 そうですね。例えば、事業の一環でオンラインで学べるネイルスクール「CLASTYLE(クラスタイル)」やセラピスト養成スクール「アロマビューティーライフカレッジ」、美容専門のキャリアアップスクール「Beauty Biz UP(ビューティービズアップ)」を展開しています。

これもSDGs5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲット5.b「女性の能力強化促進のため、ICTをはじめとする実現技術の活用を強化する。」につながりますが、この達成のために始めたのではなく、我々の考え方と一致していた。

---オンラインといえばPSIはテレワークも導入していますよね?

関口 2020年3月からの緊急事態宣言以降テレワークを導入しています。

部署によっては緊急事態宣言以降も継続していくことが決まっていますが、全部署に対象を広げるかどうかは検討中です。

当社としては、テレワークのメリットとデメリットを十分考慮し、より働きやすく成果が出やすい働き方であったりPSIの理念達成を目指し、テレワークを活用していきたいと思います。

---次が最後の質問です。さまざまな取り組みを行った結果、自然とSDGsにリンクしてきた。その過程で大変なこともあったのではないですか?

関口 そうですね。PSIは創業こそ1988年ではありますが、2016年にもとの創業者から今の経営陣に切り替わったんです。

その後3社ほどM&Aを行なったということもあり、今は第二創業期といえるかもしれません。

M&Aを行なった企業で働いていた社員は、働く場所を含めそのまま引き継いだので、組織文化の統合や従業員同士の関係性など、会社組織として多くの課題があったと聞いています。

現在も、全社一丸となって成長できるような組織体制の統一化を目指して動いています。

今後さらに事業とSDGsをリンクさせて発展できるよう日々試行錯誤を繰り返していきたいと思います。

---ありがとうございました。

自分にできることは知ること

今回、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の現状や達成に向けた取り組みを行なっているPSIの事例を紹介しました。

SDGsは目標のみが掲げられている体系であって、細かなルールが決められているわけではありません。

正解がないSDGsだからこそ、さまざまな状況に応じて試行錯誤を繰り返す必要があります。

そのためにもSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」に向けわたしたちができることは、まずはジェンダー平等についての理解を深めることです。

SDGsに関する複数の書籍には共通して、行動を起こすためにはまず知ることと書かれています。

特にSDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」は、女性はこうあるべき、男性はこうあるべきという価値観から変えていく必要があります。

そのためにもまず理解を深めることから始めましょう。

そのあとに自分に何ができるか、企業がどのように取り組むのかを検討してみてはいかがでしょうか。

SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を考える|電気・再生可能エネルギーの現状
SDGsのロゴ使用のルールを理解しよう|オリジナルロゴの運用例も
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