SDGs8「働きがいも 経済成長も」とは?現状や取り組み事例・私たちにできること

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テレビや新聞・電車などで目にする機会が増え、SDGsという言葉も私たちの生活に定着してきました。「自分たちも取り組みを始めなければ」と考えている企業も多いのではないでしょうか。

しかし、親しみやすいアイコンのキャッチコピーとは裏腹に、ターゲットを見てみると「難しそうでよくわからない…」と頭を抱える方も多いはず。

そこでこの記事では、企業がSDGs8に取り組むうえで、目標が設定された背景や現状、企業の取り組みなどの大事なポイントを紹介していきます。

本記事を読んで重要キーワードを理解し、今後の取り組み内容を考える土台にしていきましょう!

ではまずはSDGsのおさらいから始めましょう。


目次
1.SDGsとは
2.SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」を考える
3.SDGs目標8のポイントをわかりやすく
4.SDGs目標8のポイント①経済成長と環境悪化の分断を図る
5.SDGs目標8のポイント②誰もが人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)をする
6.SDGs目標8のポイント③強制労働・児童労働・人身売買(取引)を撲滅する
7.SDGs目標8のポイント④企業はサプライチェーンを通したマネジメントを確立する
8.日本企業の取り組み事例
9.SDGs目標8の達成に向けて私たち個人でできること
10.目標達成には企業の積極的な取り組みが必要

SDGsとは


まずは、SDGsの基本的な概要のおさらいです。

SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

>>SDGsについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
SDGsとは|概要や背景・日本や世界の取り組みまで

SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」を考える


SDGs目標8の「働きがいも 経済成長も」はキャッチコピーで、正式な和訳は「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」です。

長い和訳で少々難しい内容に聞こえますが、要は経済の成長も目指しながら、すべての人が幸せに暮らせるような雇用体系を整えていこうという内容になります。

ではそのためには何を意識して行動していかなければならないのでしょうか。

次はSDGs目標8に設定されたターゲットを見ていきましょう。
 

SDGs目標8のターゲット


ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:8.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、「これを達成させましょう」という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:8.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

詳しい説明は後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。
 

8.1

各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。

8.2

高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

8.3

生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

8.4

2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。

8.5

2030年までに、若者や障害者を含むすべての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、ならびに同一労働同一賃金を達成する。

8.6

2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

8.7

強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

8.8

移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、すべての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。

8.9

2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

8.10

国内の金融機関の能力を強化し、すべての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。

8.a

後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。

8.b

2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

ポップなアイコンと馴染みやすいキャッチフレーズとは一変してターゲットは複雑で難解な内容です。

そこで次ではSDGs目標8の重要なポイントをピックアップしたのでまずは概要をつかみましょう。

SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」のポイントをわかりやすく



SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」は文字通り「働き方」と「経済成長」に焦点を当てた内容です。

ジャパンSDGsアワードの選考委員の1人である蟹江憲史さんの著書「SDGs(持続可能な開発目標)」の中には、SDGs目標8はとりわけ日本では大きな意味を持つものだと書かれています。
 

日本では「持続可能な開発」=環境問題への対応だった


「持続可能な開発」という言葉は、1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が発表した報告書「Our Common Future」で取り上げられたことから使われるようになりました。

これは「将来の世代の欲求も満たしつつ、現代の世代の欲求も満たす開発」とされており、環境と開発を共存させた社会を築き上げようという考え方です。

その後、
1992年 国連環境開発会議(地球サミット)
1997年 環境開発特別総会
2002年 「持続可能な開発に関する世界首脳会議」
2012年 国連持続可能な開発会議(リオ+20)
と、「持続可能な開発」の達成のために定期的に国際的な場での話し合いが続けられてきました。(会議についての詳細はここでは深く理解する必要はありません。)

もちろん日本でも「持続可能な開発」を推進するために議論が交わされましたが、環境に関する側面が強く、経済面に触れることは少なかったと言います。

その中で2015年にSDGsが採択され、目標8のような経済に関する目標が設定されたことで、企業や自治体の関心を集めるきっかけとなったようです。
 

SDGs目標8の4つのポイント


さて、SDGsの普及に一役買った目標8「働きがいも 経済成長も」ですが、ポイントは大きく分けると4つ挙げられます。
 
【SDGs目標8の4つのポイント】
①経済成長と環境悪化の分断を図る
→経済成長を目指す上で環境への配慮を忘れない

②誰もが人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)をする
→人種・性別・障がいの有無に関わらず、きちんとした条件・環境のもと働けるようにする

③強制労働・児童労働・人身売買(取引)を撲滅する
→強制労働・児童労働・人身売買(取引)を撲滅し、人権を尊重した労働環境を整える

④企業はサプライチェーンを通したマネジメントを確立する
→原材料から消費者に届く流れすべてが健全であるシステムを確立させる

この4つのポイントの1つも欠けることなく統合的に達成を目指すことがSDGs目標8では求められています。

ここまでがSDGs目標8の大まかな概要です。

次からはさらに踏み込んで世界・日本の現状や企業の取り組み、わたしたちにできることを見ていきましょう。
 
サプライチェーンとは、原材料の調達→製造→在庫管理、配送、販売、消費者に届く一連の流れ。

SDGs目標8のポイント①経済成長と環境悪化の分断を図る



まずは経済成長と環境悪化の分断についてです。

これまでの経済の形は「大量生産→大量消費→廃棄」の流れが主になっており、環境を顧みない活動が行われてきました。

その結果、地球温暖化をはじめとする環境問題が発生したのです。
 

地球温暖化の現状


現在の生産活動を続けると、2100年には今より気温が4.8℃上昇すると予測されています。


出典:IPCC第5次評価報告書/全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト

オレンジ箇所が、気温上昇に関する対策を講じなかった場合に予想されるシナリオで、青箇所が気温上昇を「2℃」に抑えるための取り組みを行なった場合の予想シナリオです。

2021年現在でも地球温暖化により、海面水位の上昇や異常気象の頻発など様々な影響を受けていることを考えると、4.8℃も上昇すればさらなる被害が発生することは明らかです。

そのためこれからの経済成長は、環境へ配慮した形で展開していく必要があるのです。
 

経済と環境の両立には技術革新が必要不可欠


先述したように環境に配慮しながら経済を成長させようとすると、これまでの「大量生産→大量消費→廃棄」のいわゆる線形経済では実現が不可能なことがわかります。

つまり、「経済を発展させるために(温暖化につながる)排気ガスを大量に排出する生産体制をストップさせ、少ない資源で最大限の効果をもたらすシステム」を作り上げる必要があるということです。

この社会の変化に伴い生まれた考え方が「サーキュラーエコノミー 」です。

サーキュラーエコノミー とは、廃棄を出さずに資源を循環させ、モノが円を描くようなシステムを指します。

具体例としては、フリマアプリです。

これは、自分には不要であるものの捨てるのはもったいないと感じている提供者と、欲しいものを安価に入手したい利用者がマッチングできるアプリで、廃棄物を出さない仕組みが確立されています。

このような仕組みはインターネットやスマホ、さらには運送システムまで幅広い分野の技術革新によって生まれたものです。

今後、様々な分野でさらなる技術革新を進め、経済と環境を分断させた成長を目指さなければなりません。
 
>>サーキュラーエコノミー に関連するSDGs目標12「つくる責任 つかう責任」の詳細は以下の記事をご参照ください。
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える|企業はどう向き合えばいい?

SDGs目標8のポイント②誰もが人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)をする

続いては2つ目のポイントである誰もが人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)をするについて見ていきましょう。

まずは人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)の定義の確認です。
 

人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)とは


人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)とは、1999年に国際労働機関(ILO)のファン・ソマビア事務局長が提唱したもので、以下のように述べています。
“ディーセント・ワークとは、権利が保障され、十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事を意味します。それはまた、全ての人が収入を得るのに十分な仕事があることです。」言い換えれば、「働きがいのある人間らしい仕事」とは、まず仕事があることが基本ですが、その仕事は、権利、社会保障、社会対話が確保されていて、自由と平等が保障され、働く人々の生活が安定する、すなわち、人間としての尊厳を保てる生産的な仕事のことです。”
【国際労働機関「ディーセント・ワーク - Decent Work - とは」より引用】

つまりは、「誰もが人間らしくきちんとした生活ができるような仕事に就けるようにしていこう」というものが人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)です。

この人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)が提唱された背景には、雇い主と労働者のパワーバランス・性別による格差などの不平等があります。

不平等についてはSDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」で目標が設定されていますが、このSDGs目標8とも密接な関係を持つのです。

では、世界や日本ではどのような格差があり、人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)が叫ばれるようになったのでしょうか。

次ではその背景を見ていきましょう。
 

世界の所得格差の現状




まず挙げられるのが所得の格差です。

貧困と不正の根絶を目指す団体「オックスファム」の報告書によると、2019年時点で10億ドル(日本円にして約1,000億円)以上の資産を持つ世界の富裕層2,100人の資産の合計は、世界の人口のおよそ6割にあたる46億人の資産の合計を上回っています。

この経済格差は日本を含む先進国やアジア、アフリカの途上国など、世界の3分の2で広がりを見せており、今なお進行しています。

特に途上国では安い賃金で雇われている人々の割合が多く、ほとんどの金銭は富裕層にしかまわらないシステムになっています。

そしてこの問題を大きく世界に知らしめるきっかけとなったのがバングラディシュのラナ・プラザという商業ビルで起きた崩落事故です。
 

◆時給約13円で働く女性たち

バングラディシュは、繊維産業の輸出入で急成長を見せる国です。

ここでは世界中のファストファッションが製造されており、多くの人々がミシンで衣服を縫う仕事に従事しています。

その環境の中で「ラナ・プラザ」の崩落事故が発生しました。

死者1,100人以上、負傷者は約2,500人にのぼる大事故でした。

これはビルの耐久性の問題、脆弱で劣悪な労働環境が原因で、さらには労働者の時給がなんと約13円だったことから国際的な注目を集めた事故となったのです。

時給が13円では、1日働いても100円程度の収入しか得られず、人間らしい生活を送れるとは到底言えません。
 

【グラフで見る】世界の失業率の現状


続いては失業率の観点から見ていきましょう。

以下のグラフはOECD主要国の失業率の推移です。

【失業率の国際比較】

出典:厚生労働省「コラム1-1図 失業率の国際比較」

国際労働機関(ILO)の「世界の雇用及び社会の見通し‐動向編 2018 年版 Executive Summary 」によると、世界の失業率は2017年時点で5.6%となっており、2000年の6.4%から低下しています。

とはいえ世界の人口は増え続けており、それに伴い労働市場へ参入する人口も増加傾向で、総失業者は約2億人にのぼるとのことです。

一方、途上国の失業は深刻です。

2015年の失業率が13.7%であったのに対し、2017年は13.7%と増加しているのです。(失業者数でいうと2015 年5,290万人から2017年5,350万人)

日本の失業率の現状

失業率の国際比較の表にもありますが、日本の失業率も低下傾向にあります。

【日本の失業率の推移】

出典:厚生労働省「第1-(2)-2図 完全失業率と有効求人倍率の推移」

しかし昨今のコロナ禍の影響で2020年の失業率は増加に転じました。

総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)」を元に作成

また、失業はしていないものの休業を強いられるケースが見られ、収入が大幅に減少するなど、人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)の達成が遠のいています。

2020年に入ってからはコロナ禍の影響で日本を含め世界的に失業率の増加があるものの、これまで少しずつ数値が減少してきていることがわかりました。

しかし、失業率が低下してきた一方で、雇用の質の悪化が問題となっています。
 

雇用の質の悪化も課題


もともと雇用の質の悪化は課題に上がっており、世界的にはインフォーマルセクターへの対応、日本では非正規雇用者への対応が必要だと言われていました。

順を追って内容を確認していきましょう。

雇用の問題点の一つ「インフォーマルセクター」とは

インフォーマルセクターとは、直訳すると「非公式な部門」です。

労働による経済活動は行なっているものの、国や行政の法の手続きをしておらず、管理が行き届いていない仕事を指します。(労働形態・生産形態が違法でも提供される商品やサービスは合法のものであることが前提)

インフォーマルセクターは主に途上国で見られ、ILOの定義によると、
①参入障壁が低い
②現地資源の利用
③家族的な経営(小規模)
④労働集約的で低い技術水準
⑤学校教育以外で技術を習得

機械では行えない人間の労働力による割合が大部分を占める産業。接客や介護などが挙げられる。
などが挙げられます。

具体的には露天商や靴磨き、自転車タクシーの運転手などです。

国連広報センターの「事実と数字」によれば、インフォーマルセクターで雇用されている労働者は全世界の労働者の61%を占め、農業部門を除けば51%が当てはまります。
 

◆インフォーマルセクターは貧困から抜け出せない

インフォーマルセクターは、その雇用形態の特性上、大きな収益は期待できずに低賃金であることや、国や行政の管理が不十分なことで保護されず、働いているにもかかわらず貧困から抜け出せません。

途上国では、特に若者の貧困が目立ちます。

ILOによれば、新興国と途上国の約 1 億 5,600 万人の若者が極度の貧困状態(1 日 1 人 当たり 1.90米ドル)または中程度の貧困状態(同じく 1.90~3.10 ドル)で生活しているとのことです。

これらの貧困を解決するためには、教育により能力を開発すること、公式(フォーマル)な労働形態への整備を整え国や行政が実態を把握できるようにすることなどが求められています。
 

日本では非正規雇用への対応が課題。ジェンダー格差にも注目

日本での課題は非正規雇用への対応です。

厚生労働省によれば、非正規雇用の労働者は平成29年時点で2,036万人にのぼります。


出典:厚生労働省『「非正規雇用」の現状と課題』

非正規雇用であっても賃金や待遇などが正規雇用と遜色なければ人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)といえますが、現状はそうではありません。

【非正規雇用の賃金の現状】

出典:厚生労働省『「非正規雇用」の現状と課題』

この表からは、正規雇用者と非正規雇用者に賃金の格差があり、とりわけ短時間労働者の待遇は一向に改善傾向が見られないことがわかります。

【非正規雇用の推移】

出典:厚生労働省「働く女性の状況」

また、非正規雇用は主に女性が占めています。

出産や子育てで仕事を離れなければならないといった原因が考えられ、ジェンダー格差の観点からも改善していかなければなりません。

今後、女性の社会進出を加速させるためにも国の政策に加え、企業による積極的な環境整備が必要です。

ここまで見てきたように、人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を促進するには解決しなければならない問題が山積みです。

国や企業はこれまでの概念を取り払い、抜本的な解決策を提示して行動を起こしていかなければ、SDGsが掲げる2030年の達成は非常に厳しい状況であることは間違いありません。

>>関連するSDGsのその他の目標についてはこちらの記事をご参照ください。

SDGs1「貧困をなくそう」とは|現状や取り組み事例・私たちにできること

SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」とは|3つのポイントをピックアップ

SDGs目標8のポイント③強制労働・児童労働・人身売買(取引)を撲滅する

SDGs目標8では、強制労働・児童労働・人身売買(取引)を撲滅することも掲げられています。

先述した人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)と異なるのは、強制労働・児童労働・人身売買は望まない形で働かされていると言う点です。
 

強制労働の現状


強制労働とは自分の意思に反し、他者に強要されて労働することです。

強制労働の現状はILOが以下のようにまとめています。
“・2016年の任意の時点で、推定4,030万人が現代の奴隷制にあり、そのうち2,490万人が強制労働、1,540万人が強制結婚しています。
・これは、世界の1,000人ごとに5.4人の現代奴隷制の犠牲者がいることを意味します。
・現代奴隷制の犠牲者の4人に1人は子供です。
・強制労働に巻き込まれた2,490万人のうち 、1,600万人が家事労働、建設、農業などの民間部門で搾取されています。
・女性と少女は強制労働の影響を不均衡に受けており、商業的セックス産業の犠牲者の99%、その他のセクターの58%を占めています。”
【引用元】ILO

 

児童労働の現状


児童労働とは、
・義務教育を受けるべき15歳未満(途上国では14歳未満)の子どもが、教育を受けさせてもらえずに大人と同じように働くこと
・18歳未満の子どもが危険で有害な仕事に就くこと
といった国際条約で決められた明確な定義があります。

そのため、15歳未満の子どもが学校から帰ってきた後に家の手伝いをすることや、15歳を過ぎて学校に通いながらするアルバイトは児童労働の対象ではありません。

ILOによると、世界の5~17歳の児童労働者数は2016年時点で、1億5,200万人(うち7,300万人が危険有害労働)にのぼると報告されています。
 
“最悪の形態の児童労働の一つで、第182号条約の第3条(d)項により、「児童の健康、安全もしくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務」と規定されています。”
【引用元】ILO「児童労働」

 

人身売買(取引)の現状


人身取引の定義は、搾取を目的に暴力などの手段により特に児童および女性を獲得することです。

18歳未満の場合は、暴力などの手段に関係なく獲得されることが取引の対象となります。
 
「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」通称「国際組織犯罪防止条約人身取引議定書」より
人身取引の主な目的は、強制労働や買春、強制結婚、家事労働、 物乞い、武装集団による徴用、臓器摘出が挙げられます。
ワールドビジョンによると、2016年時点で子どもから大人までの人身取引の対象は世界でおよそ4,030万人にのぼると推定されており、その約半分がアジア地域に集中しています。
そしてこの4,030万人のなかの約25%が子どもであると言われているのです。
この数値は氷山の一角であり、実際にはさらに多くの人々が被害にあっていると見られています。

 

児童労働・人身売買(取引)は教育を受けられないことが原因の1つ


強制労働・児童労働・人身売買(取引)のうち、児童労働と人身取引は貧困で働かなければならない理由のほかに、教育を受けられていないことが原因の1つと考えられています。

教育を受けなかった親は、子どもを学校に行かせることが無意味であると考える傾向にあります。

これにより子供は教育を受けられずに働かされ、児童労働や人身売買のきっかけとなってしまうのです。

そしてその子どもが親になったときに、また同じことが繰り返されてしまいます。
 

安い商品は強制労働・児童労働・人身売買(取引)の上に成り立っている可能性がある




賃金格差の章でラナ・プラザで働く女性は時給約13円であったことに触れました。

これは強制労働・児童労働・人身売買(取引)で働く人々にも同じことが言えます。

これらの状況下に置かれる人々の詳細な賃金データは収集しにくく、正確な金額は不明ですが、場合によっては対価が払われないこともあるようです。

生産にコストがかからない、またはそれが格安で済めば商品の価格は安価に抑えることができます。

私たちが普段目にするチョコレートやコーヒー、ファストファッションなどは、強制労働・児童労働・人身売買(取引)の上で成り立っている可能性があることを認識しなければなりません。

この解決策として近年ではフェアトレードが叫ばれるようになりました。

正当な対価が支払われている商品を選ぼう、という取り組みで、フェアトレードラベルが貼られた商品を選択することが課題の解決につながるとされています。

>>フェアトレードについて、個人でも取り組めることを知りたい方はこちらの記事をご参照ください。

フェアトレードとは?仕組みと商品を見極めるためのマークを簡単に説明!

 

SDGs目標8のポイント④企業はサプライチェーンを通したマネジメントを確立する

SDGs目標8の最後のポイントは、「企業はサプライチェーンを通したマネジメントを確立する」ことです。

サプライチェーンとは、原材料の調達→製造→在庫管理、配送、販売、消費者に届く一連の流れのことです。

日本国内の企業を例に考えてみましょう。

人間らしい仕事(ディーセントワーク)を実現するために、残業時間を減少や賃金格差を是正したとします。

しかし、製品を作るための原材料を生産している海外の労働状況が、児童労働や強制労働であった場合、企業の責任を果たしていないと考えられるのです。
 

化粧品に使われる「マイカ」から見る企業の責任




化粧品の原材料の1つとして使われている鉱物、マイカ。

貧困にあえぐ地域では、マイカを売って生活を成り立たせるために、子供が学校に通わずに毎日採掘して、業者に安い値段で売り渡している現状があります。

以前、とある海外の企業が、この児童労働によって採掘されたマイカを化粧品ブランドに卸していたことが問題視されました。

マイカに限らず、違法な労働形態で生産された原材料を購入してしまうことで、業者は潤い、いつまで経っても児童労働や強制労働を根絶することはできません。

そのため児童労働や強制労働によって生産された原材料を利用しないことが企業の責任といえるでしょう。

しかしその一方で、様々な業者を経由した原材料が、児童労働や強制労働によって生産されたものなのかを見分けることが困難だという声もあります。

今後、企業に求められるのは、違法な労働形態の原材料であるかを見極める方法を確立することです。

この方法を確立させずに、自社内の体制だけを整えるだけではSDGs目標8を達成とは言えないということを意識する必要がありそうです。

日本企業の取り組み事例

ここまでSDGs目標8のポイントを見てきましたが、最後に企業がどのような取り組みをしているのかを株式会社ピー・エス・インターナショナルを例に確認しましょう。
 

「児童労働による原材料は一切使用しない」株式会社ピー・エス・インターナショナル



株式会社ピー・エス・インターナショナルが扱う固形シャンプーバーのエティークは、市場で販売されているビューティープロダクツが環境に与える問題に着目し、ニュージーランドで設立されました。

エティークの原材料は児童労働によって生産されたものは一切使用しておらず、フェアトレードであること、リヴィングウェイジであることを条件として作られています。

不当に搾取されていない原材料を利用することは、不当な搾取商品の需要を減らせ、SDGs目標8の達成に貢献できると考えています。
 

◆エティークのその他の特徴

年間800億本廃棄されるシャンプーとコンディショナーのプラスティックボトルは、たったの9%しかリサイクルされていません。

そこで容器のない固形バー(髪や頭皮に必要な美容液成分と、必要最小限の洗浄成分を凝縮したシャンプー・コンディショナー)を作り、2019年までの7年間で600万本のプラスティックボトルの削減を実現しました。

さらに2025年までに5,000万本削減を目標にしています。
 

◆パッケージも環境に優しい



また、すべてのパッケージは生分解性(微生物によって分解される物質のこと)によるもので作っており、土に還ります。

なおかつインクも植物からとれるベジタブルインクを使用しているため、例えば開けたパッケージに土とタネを入れて、植物を育てることもできるのです。

一定の大きさに植物が育ったあとは、庭にパッケージごと埋められるのでゴミの削減につながります。

>>エティークの詳細はこちらから(リンク先で音楽が流れます。)

SDGs目標8の達成に向けて私たち個人でできること

SDGs目標8「働きがいも 経済成長も」は主に企業へのアプローチという側面があるため、個人で取り組めることは少ないかもしれません。

しかしその中でできることをピックアップすると、
a.フェアトレード商品を選択する
b.SDGsへの理解を深める
の2点が挙げられます。
 

私たちにできること①フェアトレード商品を選ぶ


フェアトレード商品とは、児童労働や搾取などがなく、健全な流れで作られた商品です。

フェアトレードラベル が貼られた商品を選択することで、不正な方法で利益を得ている業者に加担せず、是正することが期待されます。

フェアトレード商品かどうか判断がつかない場合は企業のHPを確認すると、詳しく商品の説明が書かれているので、購入前に1度チェックしてみてはいかがでしょうか。

 

私たちにできること②SDGsへの理解を深める


SDGsに関する書籍や資料を読んでいると、共通してまずはSDGsが何を目指しているのかを知り、理解を深めることだと書かれています。

1人1人が理解を深めることで行動に移すことができ、持続可能な社会を作り上げられるというのです。

SDGs目標8であれば、働くことと人間らしい生活を送ることを両立させる、環境に配慮しながら経済成長を目指すといった考え方が広がれば広がるほど、企業側もそれを意識した取り組みを展開させざるを得ません。

このことから、働く場所を選ばないテレワークがさらに普及したり、非正規雇用への待遇も改善されたりと、少しずつ変化が見られるでしょう。

目標8達成には企業の積極的な取り組みが必要

本記事ではSDGs目標8「働きがいも 経済成長も」についてポイントを見てきました。

環境に配慮した企業活動を行い経済成長を目指すことに加えて、社員の働きがいも同時に充実させることが求められています。

さらには健全なサプライチェーンを確立することで、世界的な問題の解決に貢献することができるでしょう。

SDGs目標8をきっかけに、自社の取り組みを見直してみてはいかがでしょうか。

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