SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考える|世界の現状や日本の取り組みも

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考える|世界の現状や日本の取り組みも

近年目にする機会が増えてきたSDGs。

「全体像はわかったけれど、次は目標単位で詳しく知りたい。」「自分でも取り組める目標はないか。」そう考えている方も多いのではないでしょうか。

ここで取り上げるSDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、国際的にはスラムなどの貧困地域の住まいの改善が掲げられていますが、近年の大雨災害の増加、少子高齢化、東京への一極集中が進む日本にも関わりが深い内容です。

現に、この目標11をベースにSDGsに取り組む企業や自治体が増えてきています。

そこでこの記事では、今後の活動に取り入れられるよう、目標11を読み解く上で重要なポイントを説明していきます。

これを読めば、目標が設定された背景や世界・日本の現状がわかり、より理解を深められるかもしれません。

まずは、SDGsの基本的な概要のおさらいから始めましょう。
 

目次
1.SDGsとは
2.SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考える
3.ターゲットのポイント
4.世界の現状
5.日本の現状
6.SDGs目標11に関連したSDGs未来都市の取り組みを紹介
7.目標達成には官民連携が重要
8.住み続けられるまちづくりを目指そう

SDGsとは

SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。

読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。

これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。
 

>>SDGsについてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。
SDGsとは|概要や背景・日本や世界の取り組みまで
 

このSDGsの達成に向けて、テーマに沿った17個の目標が掲げられているのはご存知だと思いますが、この記事で取り上げる目標11は誰もが住み続けられるまちづくりに焦点が当てられています。

目標11は、他の目標1〜15のほとんどの目標と相互関係があり、重要なポイントです。

一度読んだだけでは理解するのは難しいとは思いますが、具体例を入れながら説明しているので、まずはなんとなく読み流していただき、大枠を捉えることができれば良いかと思います。

では早速SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考えていきましょう。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」を考える



SDGs目標11の「住み続けられるまちづくりを」はキャッチコピーで、正式目標は「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」です。

レジリエントは弾力や柔軟といった意味合いで、物理学や心理学で使われていた言葉ですが、近年では変化する状況や変わりゆく出来事に対して柔軟に対応していく、といった広域な使われ方をしています。

目標11で使われているレジリエントは、自然災害や環境の変化に対応できるようにしていこう、といった内容です。

日本で見ると、地震や毎年のように起こっている豪雨災害への対策、被害を受けた後の復興とも関わりが深い目標となります。

他にも都市部への一極集中を解消することも課題に挙げられているなど、様々な側面から住み続けられるまちを作っていくことが目標の大まかな概要です。

なんとなく全体像をつかんだところで、設定されたターゲットの詳細を見て、より掘り下げて目標11を考えていきましょう。
 

ターゲット


ターゲットとは具体的な行動指針のようなもので、「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:3.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:3.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。

詳しい説明は後述するので、まずは一通り目を通してみましょう。

まずは実際のターゲットを確認!
 11.1   2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2  2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3  2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4  世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5  2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6  2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7  2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a  各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b  2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c  財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

少し読んでみると難しい言葉が並んでいて、一気にハードルが上がった気がしますよね。

そこで次からは、ターゲットを読み解くために、ポイントとなる箇所やキーワードを説明して聞きます。

ターゲットのポイント

目標11のターゲットの構成は「都市・住居改善」「災害」「環境」の3つのポイントに分けられます。
 
・都市・住居改善→11.1〜11.4・11.7・11.a・11.c
・災害→11.5・11.b
・環境→11.6

これらの観点は、それぞれが独立した内容になっているわけではありません。

例えば11.2にある「公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。」の達成のために、山を切り開き道を整備し、ガソリン車を普及させたとします。

これにより土砂災害のリスクが高まったり、排出されるCO2の増加により温暖化が進んでしまう可能性も否定できず、11.5や11.6を無視した形での取り組みになりかねません。

このようなことを防ぐためにも、すべてのターゲットを総合的に勘案しながら目標達成に向けて取り組みを進める必要があります。

世界の現状


まずは、目標11における世界の現状から見ていきましょう。

世界の人口が77億9500万人(世界人口白書2020より)ということを念頭において読み進めるとイメージしやすいかもしれません。
 

スラム下で生活する人は8億8,300万人




まず、11.1にあるスラムの状況です。

国連人間居住計画(UN-Habitat)によると、スラムの定義は以下の項目の中から1つ以上欠如している世帯と定義しています。
 
"•改善された水へのアクセス過度な身体的努力や時間を必要とせず、適量の水が手ごろな価格で入手できる。
•改善された衛生施設(トイレ)へのアクセス私用トイレまたは妥当な人数で共用する公共のトイレの形態で、排泄物処理設備が利用できる。
•住み続けられる保証住居の確実な賃貸または所有の状態の証明として、または強制退去からの保護のために、使用できる証拠または文書がある。
•住居の耐久性危険のない土地に永続的で適切な構造で施され、降雨、寒暖、または湿気といった気候条件が極度に至っても居住者を保護できる。
•十分な生活空間同じ部屋を共用するのは最高3名までである。"
【世界子供白書 2012 EXECUTIVE SUMMARY より引用】

この条件に当てはまる状況下に置かれている人たちは、現在世界に8億8,300万人にのぼり、ほとんどが東アジアと東南アジアで暮らしています。
 

環境に悪影響を及ぼす交通システム


スラムの次は、交通・環境に関する課題です。都市化が進むことへの課題と、貧困地域の課題の両面から考える必要があります。

都市化拡大での課題

現在、世界の都市に住む人口は35億人と、全人口の半数を占めています。

これが2030年になると50億人にも達するといったデータもあり、特に今後数十年間は世界の都市膨張の95%が途上国で起きるというのです。

都市膨張が進むとどのような問題があるのか。

その中の1つに自動車の増加が挙げられます。



Dargay,etal,2007の発表によると、自動車の販売数は年々増加傾向にあり、その半数が都市部によるものです。

このままだと現在世界全体で12億台保有されている自動車が倍増すると見られており、これにより様々な課題が発生します。

例えば2050年までに、都市に住む人たちは年間で100時間以上渋滞に巻き込まれることが予想されます。(現在の約3倍)

また、自動車が増加することで排出ガスも増え、温暖化の原因にもつながってしまうことでしょう。

WorldEnergyOutlook,2015には、世界の都市は、面積にして地球の陸地部分のわずか3%にすぎないにも関わらず、エネルギー消費の60~80%、炭素排出量の75%を占めている。

交通の面で見ると、エネルギー関係の温室効果ガスの排出量の23%を占めており、その割合は現在も増えている。

と書かれており、現在のままだと持続可能な輸送システム・環境上の悪影響の軽減を達成することは難しいことがわかります。

貧困地域での課題


貧困地域でも、輸送アクセスに関する多くの課題を抱えています。

現在、貧困世帯が多いとされる農村の人口はおよそ30億人いますが、そのうちの1/3が雨や風などの天候に左右されない全天候型の道路や輸送サービスを利用できていません。

十分な交通・輸送アクセスが確保できていないことは食糧ロスにもつながります。

せっかく農作物を収穫しても、市場に輸送することができずに廃棄されてしまうのです。(途上国での食糧ロスの40%が収穫後に起きているといわれています。)

ここまで見てきたように、都市・貧困地域どちらも持続可能な交通に関する課題があるため、両者への対策を考えていかなければなりません。
 

自然災害への対応




ターゲット11.5では、水災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減することに言及しています。

災害には水災害以外にも地震・火災など様々な種類がありますが、世界で起こる大規模災害のうちの約8割が水災害によるものです。(防災白書2019)

これらの災害による被害を防ぐために、2015年3月に宮城県仙台市で開催された国連防災世界会議にて、新たな国際防災指針である「仙台防災枠組み」が採択されました。

この取り決めに沿って、防災・減災を進めていくことが11.bには書かれています。

ここまで読んでいただいた方は、「スラム」「途上国」のキーワードからどちらかというと世界に向けた目標なのでは?と思うかもしれません。

実際に具体的な手段が記載されている11.a〜11.cは途上国の主張を取り入れて設定されたものなのですが、実は日本が抱える課題ともリンクする部分が多い目標なのです。

日本の現状



では具体的にどういったことか見ていきましょう。

例えば11.bでは災害リスクの管理が掲げられていて、地震・火山の噴火に加えて、年々増加する異常気象による大雨災害への対策を検討しなければなりません。

また11.cでは「後発開発途上国における現地の資材を用いた」とありますが、日本国内でも地元産の資材を利用するようにすることで、新たな雇用を生み出すなど経済に良い影響を与えることが期待できます。

そして中でも最も重要なキーワードは「地方の活性化」です。

東京への一極集中による人口減・少子高齢化による税収減や医療費の支出増などにより、近年の地方自治体は運営が困難になっています。

そのため日本全体の「包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する」には、いかに地方の課題を解決するかにかかっているのです。
 

地方創生プロジェクト




政府は2014年に「地方創生」というプロジェクトを立ち上げました。

これは首都圏への人口の一極集中を改善し、それぞれの地域で住みやすい環境を確保することで、日本の活力維持につなげることが目的です。

SDGsが採択されたのは2015年ですから、それ以前から日本は地方の衰退を防ぐための取り組みを進めていました。

そして地方創生と親和性の高いSDGsの手法を取り入れることで、より一層地方の活力回復を推進しようとしているのです。
 

地方創生の推進のために「SDGs未来都市」が選定された




とはいえ、「さあ、これからSDGsを取り入れて地方を活性化させてください」といざ言われても、何から手をつけていいのか、どのように進めていけばいいのか手探り状態です。

そこで政府は、地方創生にSDGsを取り入れた成功モデルを発信し、全国の自治体が参考にできるよう、優れた取り組みを進める自治体を「SDGs未来都市」として選定する制度をスタートさせました。
 

「SDGs未来都市」とは


「SDGs未来都市」についてもう少し踏み込んでみましょう。

「SDGs未来都市」とは、日本のSDGsモデルの構築を目的とし、「経済」「社会」「環境」の三側面についての課題解決や新しい価値創造に向けて、優れた提案(計画)をした自治体を国が選定するもので、2018年から開始されました。

政府は2024年までにSDGsに取り組む自治体の数を全国の60%まで引き上げることを目標としています。

「SDGs未来都市」に選定されると、計画を実行するために有識者や各省庁からアドバイスをもらえたり、進捗評価のサポートなどのフォローを受けられ、SDGs達成に向けての取り組みをより一層強化できるのが特徴です。

実はこの「SDGs未来都市」に選定された地方自治体の取り組み内容を見てみると、SDGs目標11のターゲットと関連したものが多く、達成に寄与していることが分かります。

そこで次では、目標11のターゲットと照らし合わせ、「SDGs未来都市」が実際に行なっている取り組みから日本の現状や対策、さらにはSDGsへの理解を深めていきましょう。
 

>>SDGs未来都市についてさらに詳細を知りたい方は以下の記事をご参照ください。

SDGs未来都市とは?|過去の選定結果・事例から傾向を知ろう!
 

>>地方創生についてさらに詳細を知りたい方は以下の記事をご参照ください。
 

SDGs目標11に関連したSDGs未来都市の取り組みを紹介

ここでは11.1〜11.7に関連したSDGs未来都市の取り組みの一部を紹介します。
 

【11.1】「暮らしやすさを日本一、実感できるまち」へ 石川県能美市



引用元:石川県能美市
 
 11.1   2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。

石川県能美市は、SDGsの理念のもと、誰もが活躍できる豊かな暮らしを実現し、たとえ人口が減少しても、市民が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう「暮らしやすさを日本一、実感できるまち」をスローガンとしています。

ターゲット11.1と関連する取り組みとしては、CHAT窓口申請があります。

これはインターネット上で事前に住民異動届を作成できるシステムのことで、市民の利便性向上はもとより、英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語に対応していることで、外国人でも安心して利用できるメリットがあります。

すべての人の住宅及び基本的サービスへのアクセス確保が期待される取り組みです。

>>石川県能美市のHPはこちら
 

【11.2】最新の技術が搭載された路面電車 LRTを導入 栃木県宇都宮市



引用元:栃木県宇都宮市
 
 11.2   2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。

栃木県宇都宮氏は、まちの低炭素化を理念に、「まちづくりを支える人づくり」を推進するために「交通」にスポットを当てた取り組みを行なっています。

この中で、公共交通機関の拡大・持続可能な輸送システムへのアクセス提供を達成するために軸としているのがLRTです。

LRTとは、Light Rail Transit(ライトレールトランジット)の略で、最新の技術が搭載された路面電車のことです。



>>宇都宮市が構想するLRTはこちらからご覧いただけます。
 
・騒音や振動が少ない
・車両の床が低く平らなことで、乗り場との間に段差や隙間がほとんどない
・専用レールを使うため陸の乗り物にも関わらず時間に正確な運行が可能
・道路上を走るため、ほかの交通手段(バスや電車・タクシーなど)との連携がスムーズ

といった特徴があり、次世代輸送システムとして期待されています。

LRTを導入することで、アクセスが充実することに加えて生活様式・企業活動・まちづくりに様々な変化をもたらすことが期待できるとのことです。

>>栃木県宇都宮市のHPはこちら
 

【11.3】「しもかわ空き家バンク」を開設 北海道下川町



引用元;北海道下川町
 
 11.3    2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

北海道下川町は、「SDGs未来都市」以外にも環境未来都市・SDGsアワードにも選定されており、町の9割を占める森林を軸に、積極的に持続可能な社会に向けたまちづくりを進めています。

この取り組みの成果で、下川町への移住者は増加傾向にありますが、住まいが慢性的に不足するといった課題がありました

一方で、高齢化の影響もあり、2030年には空き家が582戸まで増加することが予想されているという現状もありました。(2017年は81戸)

つまり、空き家はあるのに、その連携連絡がうまくいかずに移住者の住まいに活用されていない、といった需要と供給のミスマッチが発生していたのです。



そこでこの空き家問題や、慢性化する住宅不足の解消・移住定住促進といった地域の課題を解決することを目的とした「しもかわ空き家バンク」を開設。

これにより専用のサイト上で、家を貸したい・売りたい町民と、移住を検討している方が手軽に連絡を取り合えるようになりました。

下川町の情報も盛り込まれており、移住後の生活をよりリアルにイメージできる工夫も施されています。

これは11.3にある、参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化するに合致した取り組みでしょう。

>>北海道下川町のHPはこちらから
 

【11.4】「古くて新しくて心地よいまちをつくること」を目指す石川県金沢市



引用元:石川県金沢市
 
 11.4   世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。

石川県金沢市は、IMAGINEKANAZAWA2030と銘打ち、市民と来街者が「しあわせ」を共創するまちを実現することを目指しています。

この目標を達成させる活動の1つに、「古くて新しくて心地よいまちをつくること」を目指すという方針があります。



具体的には、「木の文化都市・金沢の創出」が挙げられ、人に優しい木にこだわり、様々な形で木造や木材を取り入れ、街の景観を整えようという試みです。

金沢市には、金澤町家と呼ばれる町家、武士系住宅、近代和風住宅などの歴史的建築物が多数遺されていることから、文化遺産の保全・保護をしつつも現代の様式に合わせ、ビルの構造自体や外壁に木材を活用するなどといった取り組みに発展させていこうとしています。

>>石川県金沢市のHPはこちらから
 

【11.5】過去の経験から災害対策を強化 宮城県石巻市



引用元:宮城県石巻市
 
 11.5   2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

宮城県石巻市は、コミュニティを核としてSDGsに取り組んでいますが、その中に東日本大震災の経験をもとにした災害対策があります。

具体的な内容としては、大規模災害が発生した際の体制整備の強化を図るために2018年5月に「石巻市防災センター」を設置しました。

ここを拠点に、防災に関する情報の収集・分析を行ったり、防災講座の開催・防災週間の実施などをしています。

他にも災害発生時に自力で避難が難しい方の数を迅速に把握し、安否確認や避難支援を円滑に行えるよう、地域における支援体制を推進したり、学校への防災マニュアルの定期点検を行なうなど、多方面から市民の防災意識の向上を図っています。

>>宮城県石巻市のHPはこちら


【11.6】地域資源を再生可能エネルギーとして活用 山形県飯豊町



引用元:山形県飯豊町
 
 11.6   2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

山形県飯豊町は、2000年から地域資源を再生可能エネルギーとして活用するための取り組みを進めており、2017年にはバイオマス産業都市にも認定されました。

この背景には、ブランド牛である「米沢牛」などの生産時に出る糞の処理・臭気問題があり、そこに多大なコストと労力をかけてきたことにあります。

そこで2004年に有機肥料センターを整備し、家畜の排せつ物を堆肥化して農地に還すためのシステムを構築。

さらに、2017年には、家畜排せつ物等を活用するためにバイオガス発電事業の展開を始めました。

これらの取り組みにより、臭気対策や環境に配慮した循環型農業の実現を目指しています。

また、バイオマスに注力することで二酸化炭素の軽減も期待でき、様々な点からターゲット11.6の解決につながっていることにも注目です。

>>山形県飯豊町のHPはこちら
 

【11.7】「中山間地域における住民主体の SDGs まちづくり事業」鳥取県智頭町


引用元:鳥取県智頭町
 
 11.7   2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。

鳥取県智頭町では、「中山間地域における住民主体のSDGsまちづくり事業」を掲げてSDGsに取り組んでいます。

具体的な内容としては、「日本1/0(ゼロブンノイチ)村おこし運動」や智頭町百人委員会が挙げられます。

「日本1/0(ゼロブンノイチ)村おこし運動」は、
 
①地域経営(地域を経営面から見直し、地域の宝をつくる)
②交流(集落外や町外、または海外と積極的に交流する)
③住民自治(行政や有力者からの指示ではなく、住民自ら計画を立てて実行する)

の3本の柱から村おこしをしていこうというものです。

成果として、閉校になった学校を利用し、農家レストランを運営・キクラゲを栽培するなど経済の活性化とともに雇用も生み出すこととなりました。

しかし、この「日本1/0(ゼロブンノイチ)村おこし運動」だけでは解決できない新たな課題にも直面。

その解決を目指して、さらに発展させた智頭町百人委員会が設立されます。



この智頭町百人委員会は、活力ある地域づくりを目指して、住民の関心が高い課題を話し合うことで、住民自身が行政に解決策を提案するという仕組みです。

この提案により、森林を利用した「森のようちえん」が展開され、地域の知名度の向上にも繋がるなど一定の成果も出始めています。

今後は、この智頭町百人委員会に社会的マイノリティや若者を巻き込み、さらに進化させようとする考えです。

>>鳥取県智頭町のHPはこちら

目標達成には官民連携が重要


ここまでSDGs未来都市の取り組み内容を見てきました。

すでにお気づきかもしれませんが、自治体だけの力では目標達成は不可能です。

先ほどの「SDGs未来都市」の例で見ると、栃木県宇都宮市のLRTは行政と民間が共同で出資した宇都宮ライトレール株式会社が運営しています。

また、山形県飯豊町のバイオガス事業には、山形県長井市の東北おひさま発電が建設した「ながめやまバイオガス発電所」との連携が見られます。

このようにいかにしてステークホルダーと連携を取っていくかが今後の活動展開や拡大のキモになるでしょう。

さらに、SDGsの認知を上げ、一人一人が具体的な行動に移すことで取り組みを加速させられるよう、教育機関や市民とも連携をとっていく必要があります。

SDGs達成に向け優れた取り組みを行なっている企業・団体を表彰しその認知向上に寄与する「ジャパンSDGsアワード」も開催されているので、その取り組みを参考にしてみるのもいいかもしれません。
 

>>SDGsアワードの詳細は以下の記事をご参照ください。

SDGsアワードとは?選定のポイントもわかる!|様々なアワードの紹介も
 

住み続けられるまちづくりを目指そう


ここまで見てきたように、SDGs目標11は世界的に解決すべき課題が多数あるなか、日本とも深い関わりを持つ内容でした。

持続可能な暮らしを達成するためにも、世界・日本の両面から課題解決に向けて行動していくことが求められています。

「SDGs未来都市」の取り組みなどを参考にしながら、住み続けられるまちづくりを意識していきましょう。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」を考える|コロナ禍との関わりも
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