海洋プラスチックごみの問題と現状、影響とは?日本や世界の対策、自分たちにできること

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2020年7月、スーパーやコンビニのレジ袋が有料化したことで、プラスチックゴミが環境に与える影響についての興味関心が一気に高まりました。ニュースなどでは、レジ袋の有料化は増え続ける海洋ゴミの削減にもつながるといった特集を盛んに取り上げています。

とはいえ、「そもそも海洋プラスチックごみってなに?」「自分たちの生活にどんな影響があるの?」とよくわからない方も多いと思います。

この記事では海洋プラスチックごみが発生する原因や環境に与える影響、今話題のSDGsとの関係、海洋プラスチックごみ対策やわたしたちにできることまで詳しく見ていきます。

早速、海洋ゴミの現状から確認していきましょう。

目次
1.海洋プラスチックごみ現状
2.海洋プラスチックごみ問題が与える影響とは
3.マイクロプラスチック問題が与える影響
4.海洋プラスチックごみの原因は街中に
5.【海外(EU)】 海洋プラスチックごみ問題の対策
6.【日本】海洋プラスチックごみ問題の対策
7.【企業】海洋プラスチックごみ問題の対策
8.海洋プラスチックごみ問題解決のために私たちができる対策
9.海洋プラスチックごみ問題とSDGsとのかかわり
10.海洋プラスチックごみ問題の現状や原因を知り、削減への行動を起こそう

海洋プラスチックごみの現状

海洋ごみでプラスチックごみが占める割合を示す棒グラフ。海ごみに含まれるもののうち、紙が0.3パーセント。布が0.8パーセント。木材が7.3パーセント。自然物が15.9パーセント。プラスチックが65.8パーセント。金属が4パーセント。ガラス・陶器が2.8パーセント。その他人工物が3.1パーセント。

出典:今さら聞けない海洋ごみ問題 | 増え続ける海洋ごみ

海洋ゴミの約7割を占めるのがプラスチック製品です。

世界各国の政治家や実業家が集まり、世界経済や環境問題について話し合うダボス会議で2016年に発表された報告書によれば、毎年800万トンのプラスチックが海に流出しており、このままでは2050年に海に流れ出るプラスチックの量は魚の量を上回る計算だといいます。

 

この増加傾向は止まる気配はなく、今後20年間でプラスチックの生産量はさらに倍増するとの試算も出ています。生産量が増えればそれに伴いゴミの量も増えるため、海洋プラスチックごみ問題はより深刻な問題になることが予想されます。

では海洋プラスチックごみはどのような影響を与えるのでしょうか。

 

海洋プラスチックごみ問題が与える影響とは



海洋プラスチックごみはさまざまな場面で悪影響を及ぼします。ここでは、

①生物への影響
②船舶の航行安全に支障
③観光や沿岸域の居住環境の悪化
④汚染物質の付着
の4つの視点から見ていきましょう。
 

①生物への影響


まず1つめの問題が海鳥やクジラ、ウミガメなどの海で生活する生物への影響です。これらの生物は、海に漂うプラスチックゴミをエサだと勘違いして飲み込んでしまうことがあります。

また、以前にプラスチックストローがウミガメの鼻の中に詰まってしまい、苦しむ姿が映された映像も話題になりました。

もう少し踏み込んで見ていきましょう。
プラスチックゴミを誤食してしまう生物はクジラ、ウミガメ、オットセイなどさまざまですが、そのなかでも最も多いのが海鳥だと言われています。

2015年に「米国アカデミー紀要」に掲載されたオーストラリアの研究チームの論文には、1962年から2012年の間に文献で報告された研究のある135種の海鳥のうち80種(59%)がプラスチックを摂取しており、2050年までに99%の海鳥がプラスチックを誤食するとの予測が立てられています。

海鳥が誤食してしまう理由はまだハッキリと解明されてはいませんが、海を漂うプラスチックの色に興味を引かれたり、プラスチックに付着した匂いに寄せられるのでは、と考えられています。
 

プラスチックゴミを誤食することで生物に与える影響

海鳥やクジラ、ウミガメなどの生物がプラスチックを誤食してしまうことの影響としては、
 
・食欲の減退
・体長の低下
・消化器官の損傷

などが挙げられます。

特にウミガメは2.5グラムのプラスチック片でも消化器官に詰まらせて死んでしまうこともあるそうです。他にも、プラスチックゴミが海洋生物の体に絡まり不自由になってしまうことも挙げられます。

現在までにプラスチックゴミが原因で海洋生物の生息数を減少させたという研究結果は出てはいませんが、わたしたちの生活がきっかけで摂取するはずのないプラスチックを体内に抱えて生きていかなければならない生物がいることを理解する必要があるでしょう。(参考:一般社団法人JEAN「環境への悪影響」)
 

②船舶の航行安全・漁業に影響


海洋プラスチックごみは船舶の安全にも支障をきたします。

これはプラスチックゴミに限ったことではありませんが、大型の漂流ゴミが船体やスクリューと衝突し破損、レジ袋などを誤って吸い込みエンジンが故障するなどの重大な事故にもつながるのです。
また、漁業にも深刻な影響を与えます。大型の漂流ゴミは定置網や生簀を、海洋プラスチックごみは底引網を損傷させます。

他にも水産物に海洋プラスチックごみが混じれば除去しなければならず、場合によっては商品の価値の低下にもつながるでしょう。(参考:日本財団「海ごみの現状と船舶への影響」)
 

③景観が損なわれる


3つめは海洋プラスチックごみによって景観が損なわれる恐れがあることです。海を眺めながら浜辺を散歩することは気持ちが晴れやかになり、精神安定にもつながります。実際に海が人間の精神に与える効果の研究も進められているほどです。

人気のある海水浴場や浜辺を訪れたことがある方は多いと思いますが、そこにはあまりプラスチックゴミは落ちていません。これは清掃にお金をかけても元を取れるため、頻繁に清掃員の方がゴミを拾って掃除してくれているためです。

その一方で人があまり訪れない浜辺にはペットボトルなどのプラスチックゴミが大量に散乱しています。

もちろんボランティアなどにより清掃されるケースはありますが、すべての海岸で行われるほどの人員配置は困難です。この結果、あちらこちらの浜辺の景観が損なわれてしまうのです。

また、海洋プラスチックごみが放置されれば、衛生環境の悪化や怪我をする可能性が高まるなどさまざまな問題が発生するのです。
 

④汚染物質の付着


4つめが、漂流する海洋プラスチックごみに汚染物質が付着してしまうことです。

プラスチックは石油から作られており、油と似た汚染物質を吸着しやすい特性を持ちます。

海にはなんらかの原因で汚染物質が漏れてしまうことがありますが、薄く広がっているため人体や海洋生物にすぐに影響を与えることはありません。

しかし、海を漂うプラスチックゴミに、薄く広がった汚染物質が吸着され、さらには蓄積してしまうことで、それを海洋生物が誤食してしまえば体内に汚染物質が侵入してしまいます。

また、プラスチックゴミの種類によっては汚染物質が溶け出すケースもあるようです。例えば海岸に漂着した漁業で使用されるウキには鉛が含まれていることがあります。

なんらかのきっかけでウキが海洋ゴミとして漂流すると、その間に表面に傷がつき、その後海岸に漂着することで鉛が土壌に溶け出し、汚染につながるのです。

これもまたすぐにわたしたちの生活や海岸の生物に重大な影響を与えるわけではありませんが、海洋ゴミが増えれば加速度的に汚染は広がっていくことが予想されます。

マイクロプラスチック問題が与える影響



ここまで、4つの観点から海洋プラスチックごみが与える影響を見てきましたが、どれもレジ袋やペットボトルなどのプラスチック製品として形状が保たれた状態でのケースでした。

実はこの他にもマイクロプラスチックによる影響も深刻です。

プラスチックは長時間ゴミとして放置されると、劣化して小さく砕けていきます。この小さく砕けたプラスチックをマイクロプラスチックと呼び、生物や人間に悪影響を与えるのです。
 

マイクロプラスチックの種類


マイクロプラスチックの種類を見てみましょう。マイクロプラスチックは、
 
・一次マイクロプラスチック
・二次マイクロプラスチック

の2種類に分けられます。
 

一次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチックとは、洗顔料や歯磨き粉、化粧品などに使用されていることもある人工的に作られた小さなビーズ状のプラスチックのことで、マイクロビーズとも呼ばれています。

これまでも洗顔や歯磨き、化粧品を落とす際に排水溝にマイクロビーズが流れ、下水処理の隙を縫って海に流れ出るといった問題もありました。

現在では世界的にマイクロビーズの利用を規制する動きを見せており、日本でも平成28年に日本化粧品工業連合会が、会員企業約1,000社に自主規制を求めています。
 

二次マイクロプラスチック

本記事で見てきた海洋ゴミはこの二次マイクロプラスチックに分類されます。二次マイクロプラスチックとは、環境が要因で5mm以下の大きさになった微細なプラスチックのことです。
マイクロプラスチックの発生過程についてはまだハッキリとした研究結果は出ていませんが、おそらく海洋を漂流する間ではなく、海岸に漂着後に微細になるのではと考えられています。その仕組みは以下の通りです。

海洋ゴミとなったプラスチックは紫外線にさらされ続け、およそ半年もするとその強度が半減。そして海岸に漂着し、砂と擦れ合うことで砕けていきます。

これらの一次マイクロチップと二次マイクロチップは細かく砕けでも、水に溶けてなくなるわけではなく、永遠に海を漂い続けます。
そのため地球規模で広がりを見せており北極や南極でもマイクロチップが観測されているのです。(参考:環境省「海洋ごみとマイクロプラスチックに 関する環境省の取組」)

では、このマイクロプラスチックはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 

海洋生物が誤食


マイクロプラスチックも海洋プラスチックごみ同様、海洋生物が誤食します。

先述した海洋プラスチックごみは、海鳥・クジラ・ウミガメなどの大きい生物が誤食していましたが、マイクロプラスチックはサイズが小さいために魚などの小型の海洋生物でも体内に取り込んでしまうのです。

実際にこれまでにアジ、サバ、貝やエビ、さらには動物プランクトンの体内からマイクロプラスチックが検出されており、海洋生物全体に広がっていることがわかっています。

これらの海洋生物が水揚げされればもちろん市場にも出回るため、マイクロプラスチックを体内に取り込んだ魚類をわたしたちが口にする可能性もあるのです。

このマイクロプラスチックは基本的に海洋生物の内臓に留まるため、私たちが摂取する可能性はそれほど高くはありませんが、一部の海外の研究チームによるとすでに人間の便からもプラスチックが検出されているとのことです。

今のところプラスチックを人間が摂取したことによる健康被害についての結論は出ていません。

しかし、もともとプラスチックは食べることを目的としてつくられてはいないため、なにかしらの影響を及ぼすことも考えられるでしょう。

他にも海洋ゴミと同じように海洋汚染が広がる可能性もあるため、プラスチック問題の解決に取り組まなければなりません。

さらに詳しく知りたい方はこちらもおすすめ
脱プラがなぜ注目されている?|重要キーワードや取り組み例も
 

海洋プラスチックごみの原因は街中に


海洋プラスチックごみは、どこから発生しているのでしょうか。

まずは、海洋ゴミを詳しく種類別に見ていきましょう。

以下が海プラ実態科学的知見(H22~R1_環境省海洋ごみ実態把握調査)で発表された品目上位10種(個数ベース)です。


出典:海洋ごみ実態把握調査 (平成22~令和元年度) のとりまとめについて

海洋プラスチックごみというと、なんとなく漁業ゴミを思い浮かべる方も多いと思います。しかし、漁業から発生する海洋プラスチックごみは全体の10〜25%といわれており、残りは陸で発生したゴミだと言われています。

ではその残りの陸で発生したゴミはすべて海水浴や浜辺で散歩をしている人たちが捨てているものでしょうか。

確かにペットボトルのキャップやふた、ペットボトル飲料、プラ製食品容器、プラ製食器などは、海で遊び終わったあとそのまま捨てていってしまうという人もいるかもしれませんが、それがすべてとは考えにくく、原因は別のところにもありそうです。
 

海岸漂着ゴミの発生源を推定する実験

この答えは、海洋ゴミを研究している磯辺篤彦さんらが行った実験結果が示しています。詳しくは、「海洋プラスチックゴミ問題の真実 マイクロプラスチックの実態と未来予測/磯辺篤彦著/DOJIN選書」に書かれていますが、この実験結果によるとゴミは川から流れ出ていたことが分かりました。

街でポイ捨てされたり、指定された場所に捨てたゴミでもカラスなどの鳥により散乱し、そのゴミが下水などから街中の川に入り込み、大きな川に合流、最後に海に流れ出ていくというルートを辿ることが考えられるようです。

また、2017年に発表された論文(Laurent C. M. Lebreton,Joost van der Zwet, Jan-Willem Damsteeg, Boyan Slat, Anthony Andrady River plastic emissions to the world’s oceans)によれば、世界の4万本の川から流れ出るプラスチックゴミの総量は年間約200万トンであると見積もられているのです。
 

【海外(EU)】 海洋プラスチックごみ問題の対策


海洋プラスチックごみの大半は、わたしたちの生活が原因で発生していることがわかりました。海洋プラスチックごみ問題の解決にはプラスチックの利用を減らす、または再生利用をする必要があるでしょう。

そのために国や企業がどのような取り組みを展開しているのかを見ていきます。

まずは海外の対策例としてEUの脱プラスチックに向けた動きをピックアップしました。EUでは脱プラスチックに向けて以下の戦略のもと取り組みを進めています。
 
(1)プラスチックリサイクルの経済性と品質の向上・2030年までにすべてのプラ容器包装を、コスト効果的にリユース・リサイクル可能とする・企業による再生材利用のプレッジ・キャンペーン・再生プラスチックの品質基準の設定・分別収集と選別のガイドラインの発行

(2)プラスチック廃棄物と海洋ごみ量の削減・使い捨てプラスチックに対する法的対応のスコープを決定する・海洋ごみのモニタリングとマッピングの向上・生分解性プラのラベリングと望ましい用途の特定・製品へのマイクロプラの意図的添加の制限・タイヤ、繊維、塗料からの非意図的なマイクロプラの放出を抑制するための検討

(3)サーキューラーエコノミーに向けた投資とイノベーションの拡大・プラスチックに対する戦略的研究イノベーション・ホライゾン2020(技術開発予算)における1億ユーロの追加投資

(4)国際的なアクションの醸成・国際行動の要請 ・多国間イニシアティブの支援、・協調ファンドの造成(欧州外部投資計画)

【引用元】環境省参考資料1_プラスチックを取り巻く国内外の状況(第3回資料集)

また、欧州の海岸や海で多く見られる使い捨てプラスチック10品目と漁具の規制も行っています。

【例】
食品容器→代替品の普及・有料化
飲料用ボトル→複数回利用可能な代替品を用いたり、環境にやさしい素材やデザインにする
フィルター付きタバコ→生産者がごみ管理・清掃・意識向上へのコストの負担

このようにさまざまな具体的な規制が進んでいます。

また、EU以外の世界各国でも使い捨てプラスチックの規制や3R(Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の総称)の推進、さらには3Rをさらに発展させたサーキュラーエコノミーの推奨など、世界規模で取り組みが進んでいます。
 
これまでのモノの製造過程を見直し、廃棄を出さず、資源を循環させる考え方。

 

【日本】海洋プラスチックごみ問題の対策

日本では、循環型の社会を目指すための基本計画として、2018年に第4次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されています。そこには、
 
①使い捨て容器包装等のリデュース等、環境負荷の低減に資するプラスチック使用の削減
②未利用プラスチックをはじめとする使用済プラスチック資源の徹底的かつ効果的・効率的な回収・再生利用
③バイオプラスチックの実用性向上と化石燃料由来プラスチックとの代替促進などを総合的に推進していく

ことを掲げています。

また、2020年7月からスーパーやコンビニのレジ袋が有料化され、今後はプラスチックのスプーンやフォークなども有料化が検討されているなど、わたしたちの身近でも対策が進められているのです。(2021年4月時点)(参考元:プラスチックを取り巻く国内外の状況 <第3回資料集>)
 

【企業】海洋プラスチックごみ問題の対策

プラスチックの削減に向けた動きは企業でも見られます。本サイトが扱う固形シャンプーバーのエティークは、市場で販売されている美容製品が環境に与える問題に着目し、ニュージーランドで設立されました。
 

◆エティークの特徴



わたしたちが普段使っているシャンプーやコンディショナーのプラスチックボトルは年間で800億本も廃棄されています。しかし、それに対してリサイクルされるのはたったの9%です。

そこで容器のない固形バー(髪や頭皮に必要な美容液成分と、必要最小限の洗浄成分を凝縮したシャンプー・コンディショナー)を作り、2019年までの7年間で600万本のプラスティックボトルの削減を実現しました。
さらに2025年までに5,000万本削減を目標にしています。
 

◆パッケージも環境に優しい

また、すべてのパッケージは生分解性(微生物によって分解される物質のこと)によるもので作っており、土に還ります。

なおかつインクも植物からとれるベジタブルインクを使用しているため、例えば開けたパッケージに土とタネを入れて、植物を育てることもできるのです。一定の大きさに植物が育ったあとは、庭にパッケージごと埋められるのでゴミの削減につながります。

>>さらに詳しくエティークについて知りたい方はこちら

海洋プラスチックごみ問題解決のために私たちができること

ここまでは国や企業の取り組みを見てきましたが、次ではわたしたちが海洋プラスチックごみを減らすためにできることを見ていきましょう。
 

毎日使うものをプラスチックフリーに


わたしたちが海洋プラスチックごみを減らすためにできることの1つに、毎日使うものをプラスチックフリーなものに変えることが挙げられます。


ここに挙げたもの以外でも、最近ではプラスチックフリー製品が増えており、エシカル消費の選択肢も増えています。すべてをプラスチックフリー製品に切り替えることは負担になるかもしれないので、できるところから少しずつ変えていくことが大切でしょう。
 
エシカル消費衣服や化粧品をはじめとした製品の「製造・処分過程」まで見据え、生産者や地球環境に配慮した消費行動を行うこと。

 

清掃ボランティアに参加する


海岸の清掃ボランティアに参加することもわたしたちにできることの1つです。

自発的にゴミ拾いをすることもできますが、海岸沿いは危険な場所もあるため、専門のスタッフが付き添うボランティア団体が安全面では安心です。
現在コロナ禍の影響で募集が制限されている団体も多くありますが、SNSなどで探してみてはいかがでしょうか。

また、ボランティア団体がみつからない、1人で活動したい、近くに海がないという場合でも、街中のゴミ拾いであれば今日からでも始めることができます。
先述したように、海洋ゴミの大半は街中から発生しています。ぜひ、気づいた時にゴミ拾いができるよう常にゴミ袋を持ち歩いてみてはいかがでしょうか。

海洋プラスチックごみ問題とSDGsとのかかわり


ここまで海洋プラスチックごみ問題やできることなど詳しく見てきました。最後に、近年耳にする機会が増えたSDGsとの関わりを確認しましょう。

まずはSDGsの概要です。
 

SDGsとは


SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

17の目標と169のターゲットは「環境」「社会」「経済」の三側面から解決すべき内容が掲げられていますが、その中でも海洋ゴミはSDGs12「つくる責任 つかう責任」とSDGs 14「海の豊かさを守ろう」と関わりを持ちます。
 

SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」




目標12「つくる責任 つかう責任」は、モノづくりを生産から消費、廃棄までのすべての段階で持続可能な形態へ転換していこう、というのが簡単な概要です。

海洋プラスチックごみ削減への関心が高まる昨今、企業には先述した3Rやサーキュラーエコノミーを意識した廃棄物を発生させないモノづくりが求められています。とはいえ企業がこの仕組みを確立したとしても、消費者の協力が必要になることがあるでしょう。

例えば、再利用可能なプラスチックを利用したペットボトル飲料を発売したとしましょう。本来であれば使用後のペットボトルをリサイクルするために企業が回収する必要があるかもしれません。
しかし、消費者が分別せずに捨ててしまうということがあれば、再利用することができなくなります。

これはあくまでも仮定ではありますが、これからの社会では環境を保護するために、消費者であるわたしたちにも責任が求められます。

そのためにもエシカル消費はもちろん、さまざまな環境問題や企業の取り組みにアンテナを張っておく必要がありそうです。

さらに詳しく知りたい方はこちらもおすすめ 
SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」を考える|企業はどう向き合えばいい?
 

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」




目標14「海の豊かさを守ろう」は、水質や生物など、海に関するすべての課題を解決していこう、というのが簡単な概要です。

さまざまな場面で耳にする海洋プラスチックごみとSDGsの関係は、この目標との関連について語られているケースがほとんどだと思います。特に関係するターゲットは、
 
14.1 2025 年までに、海洋堆積物や富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。

14.2 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
引用:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

の2つです。

しかし、よく読んでみると、「海洋プラスチックごみ」についての具体的な記載はありません。ここにSDGsのポイントがあります。この目標を達成するためには、なぜ海洋汚染が進んでいるのか、生態系にどのような影響が及んでいるのかを知り、知ることで問題を「自分ごと化」し、行動に移すことができるのです。

SDGsはこの一連の流れを促進するための目標とも言えるでしょう。

海洋プラスチックごみ問題を通してSDGsに興味を持った方は、まずは調べることから始めてはいかがでしょうか。

さらに詳しく知りたい方はこちらもおすすめ

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」2つの重要キーワードを解説|企業や個人の取り組みも
SDGsとプラスチックごみの関係性は?|削減に向けた国や企業の取り組みも
 

海洋プラスチックごみ問題の現状や原因を知り、削減への行動を起こそう

この記事では、
 
・海洋プラスチックごみミが海洋汚染につながること
・海洋生物が誤食してしまうこと
・プラスチックゴミが砕けてマイクロプラスチックになり、さらなる影響を及ぼすこと
・課題解決に向けて私たちができること
・SDGsとの関わり

について詳しく見てきました。

2050年には海洋プラスチックごみが魚の総量を超えてしまうと予測が出されている昨今、海洋プラスチックごみを削減しなければなりません。将来に渡って豊かな海を守っていくためにも、海洋ゴミの現状を知り、自分に何ができるかを考えてみてはいかがでしょうか。


 

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