SDGsウォッシュとは?SDGsウォッシュと指摘されないための取り組み方も

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近年、さまざまな場面でSDGsという言葉を耳にするようになりました。取り組みを始める企業も増えていく中、
本当にSDGsに取り組んでいるのか?
SDGsウォッシュなのではないか?といった指摘も見られます。

このような指摘を目にすると、これから事業にSDGsを取り込もうと考えているものの、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、SDGsウォッシュの意味を説明し、企業がSDGsウォッシュと呼ばれないための事業への取り入れ方やそのステップを詳しく紹介します。
では早速、SDGsウォッシュの意味の確認から始めましょう。
 

目次
1.SDGsウォッシュとは
2.SDG Compass(SDGコンパス)を参考にSDGsウォッシュの防止を
3.ステップ1-1 SDGsを理解する
4.ステップ1-2 SDGsと企業の関係を理解する
5.ステップ2 優先課題を決定する
6.ステップ3 目標を設定する
7.ステップ4 経営へ統合する
8.ステップ5 報告とコミュニケーションを行う
9.戦略を立ててSDGsウォッシュと呼ばれない取り組みを
 

SDGsウォッシュとは

SDGsウォッシュとは、実態が伴わないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけることを指す言葉です。

ウォッシュとは、1980年代に欧米を中心に使われていた、うわべだけ環境に配慮していると見せかけた企業を批判する「greenwash(グリーンウォッシュ)」という造語から来ています。

これは、環境に優しいといった意味を持つ「green(グリーン)」と、ごまかしの意味を持つwhitewash「(ホワイトウォッシュ)」を掛け合わせたものです。例えば、根拠がないのにその企業が発売した商品に「エコ」「省エネ」などと記載していたり、曖昧な表現を用いていたりする場合に用いられます。
 

SDGsウォッシュはgreenwash(グリーンウォッシュ)のSDGs版


近年、SDGsの認知が高まってきたことで、事業とSDGsを結び付けた取り組みを始める企業が増えてきました。それに伴い「greenwash(グリーンウォッシュ)」と同様の、うわべだけの取り組みも見られるようになったと言います。

これにより、「greenwash(グリーンウォッシュ)」のgreenをSDGsに置き換えた、「SDGsウォッシュ」が使われるようになったようです。

では、どのようなケースがSDGsウォッシュと呼ばれるのでしょうか。次では2つの具体例をもとに見ていきましょう。
 

◆ケース①取り組みを掲げているものの行動を起こしていない

まず1つ目は、自社のHPなどにはSDGsと事業を結び付けた取り組みを進めていると掲載しているものの、実際には行動を起こしていないケースです。

この場合は、自社も取り組まなければならないという意識から、SDGsの本質を理解する前にとり急ぎ事業とSDGsを結びつけ、そこから進展していないことが考えられます。
 

◆ケース②掲げている取り組みと実際の事業の矛盾

2つ目の例としては、公表しているSDGs×自社の取り組みと実際の事業が矛盾している場合です。

例えば、企業がSDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」の解決に向けた取り組みをしていると仮定します。

この目標を達成するために企業は、
・CO2削減のために社用車に電気自動車を導入
・事業所の電気をLEDに変更し、さらには太陽光などの再生可能エネルギーを利用
といった取り組みを掲げます。

しかし実際には、
・電気自動車を導入するも、社員のガソリン車利用率は変わっていない
・再生可能エネルギーへの切り替えは完了したが、化石燃料を取り扱う企業へ投資している
と、環境にプラスになるような行動を実際に起こしているものの、同時にマイナスになる取り組みも行なっており、矛盾が生じます。

これらがSDGsウォッシュと見なされるのです。

本来、企業の価値を高めるために始めたSDGsの取り組みが、例え意図的でなかったとしてもSDGsウォッシュだと判断されてしまえば、社会からの信用を落とす結果となってしまいます。

では、SDGsウォッシュにならないためには、どのように事業と結び付けていけば良いのでしょうか。

次からは、SDGsウォッシュにならないための取り組み方を見ていきます。

SDG Compass(SDGコンパス)を参考にSDGsウォッシュの防止を

SDGsウォッシュにならないようにする方法の1つに、SDG Compassを参考にすることが挙げられます。

SDG Compassは、2016年3月にGRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバルコンパクト、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)によって作成されたもので、企業がどのようにSDGsを活用するかの行動指針がまとめられています。

SDG Compassには、SDGsと事業を紐づけて取り組むための方法として、
①SDGsを理解する
②優先課題を決定する
③目標を設定する
④経営へ統合する
⑤報告とコミュニケーション
を行うの5つのステップが書かれています。

ここからは、SDG Compassをもとに、SDGsの取り組み方の確認をして行きましょう。

ステップ1-1 SDGsを理解する



まずは基本的なことですが、SDGsを理解するところからがスタートです。

SDGsはどのようなものなのかから始まり、なぜ企業と関わりを持つのか、企業にもたらすメリットや責任などを知ることで、自社が取り組む意義を確認します。

次では、SDGsの概要を簡単に説明しています。

 

SDGsとは


SDGsとは、SustainableDevelopmentGoalsの頭の文字を合わせた言葉で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されています。読み方は、SDGs(エスディジーズ)です。

2015年9月、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、150を超える加盟国首脳の全会一致で採択されました。これは、2016年から2030年の15年間で達成する目標を記したもので、17の目標と169のターゲットから構成されています。

「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志のもと、地球を保護しながら、あらゆる貧困を解消し、すべての人が平和と豊かさを得ることのできる社会を目指し設定されました。

SDGsが採択されるまでは、「持続可能な社会」についての話し合いは、どちらかというと「環境」と「社会」に重きが置かれていた傾向があります。

それに対してSDGsは「環境」「社会」に「経済」が加わったことで企業も取り組みやすくなり、これまで以上に関心が持たれるようになりました。これがSDGsが普及してきた背景の一因です。

また、企業はこれまで大量生産・大量消費を繰り返して成長してきました。その結果、環境に負のインパクトを与えており、その責任を果たす必要があります。

そのためにも国家だけではなく民間もSDGsに取り組み、目標を達成する努力をしなければなりません。

では、SDGsにはどのような目標が掲げられているのでしょうか。
 

SDGs17の目標と169のターゲット


SDGsの17の目標は、世界中、ひいては地球で起きているさまざまな問題をピックアップして解決しようと設定されています。

これらの17の目標は、大きく分けると、
・1〜6 人間らしい生活を送るための目標
・7〜11 社会経済的な目標
・12〜15 環境に関する目標
・16〜17 1〜15を達成させるための手段
といったくくりになっています。

簡単に目標内容を確認しましょう。

※アイコンをクリックすると、それぞれの目標について詳しく説明した記事を確認できます。

目標1 貧困をなくそう

あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる

→途上国で起きている貧困はもちろんのこと、世界中の貧しい生活を送っている層の保護、支援に取り組む

目標2 飢餓をゼロに

飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

→目標1の貧困に関連して飢餓で苦しむ人たちを支援する。また、根本にある食料の生産体系(農業)を持続可能なものに変えていく

目標3 すべての人に健康と福祉を

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

→健康で人間らしい生活を送れるよう対策を講じる

目標4 質の高い教育をみんなに

すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する

→生まれた国や地域・家庭・性別に関わらず、効果的な教育を平等に受けることができる機会を提供する
目標5 ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う

→これまでの社会で築き上げられてきた性別に関する価値観を撤廃し、すべての人が平等に生活できるようにする
目標6 安全な水とトイレを世界中に

すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

→世界中のすべての人が安全な水とトイレを使用できるようにする。さらには、水質や水辺に住む生態系、水害など水に関するさまざまな課題を克服する
目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに

すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

→すべての人が電気を使えるようにし、さらにはそのエネルギー源についても持続可能なものに切り替えていく
目標8 働きがいも経済成長も

包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

→働きがいと経済成長を同時に成り立つ仕組みを考え、誰もが人間らしい生活を送れるようにする
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう

強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

→イノベーションを駆使して産業を発展させる。そのためのインターネットの整備も同時に進める
目標10 人や国の不平等をなくそう

各国内及び各国間の不平等を是正する

→子ども、女性、民族などに対するあらゆる差別をなくし、すべての人が平等に生活を送れるようにする
目標11 住み続けられるまちづくりを

包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

→持続可能な形でのインフラ整備を進め、災害などにも強いまちづくりを進める
目標12 つくる責任 つかう責任

持続可能な生産消費形態を確保する

→モノづくりを生産から消費、廃棄までのすべての段階で持続可能な形態へ転換していく
目標13 気候変動に具体的な対策を

気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

→地球上で起きている気候変動を解決すべく、温室効果ガスの削減などさまざまな対策を考える
目標14 海の豊かさを守ろう

持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

→水質や生物など、海に関するすべての課題を解決する。プラスチックが引き起こす汚染や生態系への影響も考慮し、対策を講じていく
目標15 陸の豊かさも守ろう

陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

→海を守ると同時に、森林減少や生物多様性の保護など、陸上におけるすべての課題も同時に解決していく
目標16 平和と公正をすべての人に

持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

→紛争や犯罪、汚職を撲滅し、平和と公正な世界に変えていく
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう

持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

→1〜16の目標を達成させるために、さまざまな機関が連携をとり、解決を目指す


他にもそれぞれの目標に具体的な行動指針となるターゲットが設定されています。

以下では目標1「貧困をなくそう」のターゲットをピックアップしました。

※「目標番号.●」の●に数字が入る場合(例:1.1など)は目標に対する具体的な課題を挙げて、これを達成させましょう、という意味で、●にアルファベットが入る場合(例:1.b)は課題を達成させるための手段や策を指します。
 

1.1

2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。

1.2

2030年までに、各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。

1.3

各国において最低限の基準を含む適切な社会保護制度及び対策を実施し、2030年までに貧困層及び脆弱層に対し十分な保護を達成する。

1.4

2030年までに、貧困層及び脆弱層をはじめ、すべての男性及び女性が、基礎的サービスへのアクセス、土地及びその他の形態の財産に対する所有権と管理権限、相続財産、天然資源、適切な新技術、マイクロファイナンスを含む金融サービスに加え、経済的資源についても平等な権利を持つことができるように確保する。

1.5

2030年までに、貧困層や脆弱な状況にある人々の強靱性(レジリエンス)を構築し、気候変動に関連する極端な気象現象やその他の経済、社会、環境的ショックや災害に暴露や脆弱性を軽減する。

1.a

あらゆる次元での貧困を終わらせるための計画や政策を実施するべく、後発開発途上国をはじめとする開発途上国に対して適切かつ予測可能な手段を講じるため、開発協力の強化などを通じて、さまざまな供給源からの相当量の資源の動員を確保する。

1.b

貧困撲滅のための行動への投資拡大を支援するため、国、地域及び国際レベルで、貧困層やジェンダーに配慮した開発戦略に基づいた適正な政策的枠組みを構築する。

出典:外務省「SDGs(持続可能な開発目標)17の目標と169のターゲット(外務省仮訳)」

このように、現在世界で起きている課題で解決すべき内容がすべての目標に掲げられています。ターゲットは全部で169個もあるので気が遠くなる作業かもしれませんが、まずは一度簡単に目を通してみましょう。

ステップ1-2 SDGsと企業の関係を理解する

SDGsの概要がわかったところで、次に行うのはSDGsと企業の関係を理解することです。

SDGsの目標やターゲットを読むと、貧困などの社会的な問題や環境問題についての話題が多く、これまであったCSRと変わらないのでは、と考える方もいると思います。確かにSDGsもCSRも企業の社会的な責任を果たすという部分は共通しています。

しかしCSRはどちらかというと、事業内容と結びついていない場所で企業の利益を還元している傾向があり、社会奉仕的な活動という側面を持っていました。その一方で、SDGsは企業の利益と環境や貧困などの課題の解決を両立させることを目指しています。

さらには169のターゲットには、「課題を技術革新によって解決する」といった旨が頻繁に書かれており、これは市場を新たに開拓できる可能性があるということを示しているのです。
▼SDG Compassに書かれた市場開拓の例
“— 省エネルギー、再生可能エネルギー、エネルギー蓄 積、環境配慮型建物(「グリーンビルディング」)、 持続可能な輸送の促進に資する革新的な技術 — 従来の製造・加工に代わる、情報通信技術(ICT) とその他の技術を活用した排出量および廃棄物の少 ない製品 — 保健医療、教育、エネルギー、金融、ICT といった、 今日 40 億人に上る貧困層の生活の改善につながる、 大規模な市場や未開拓の市場における製品・サービ ス需要の充足
SDG Compassより引用

 

企業の持続可能性向上にもつながる


また、SDGsを取り入れることで、企業の持続可能性の向上や従業員のモチベーションアップにつながるなどのメリットがあります。

企業がSDGsを取り入れるメリットとして、ジャパンSDGsアワードの選考員でもある蟹江憲史さんの著書「SDGs(持続可能な開発目標)/中公新書」には以下のように書かれていました。
“一つは、企業活動や事業活動に公共性があることを示したり、あるいはその活動の正当性を示すことができるという点である。SDGsはすべての国連加盟国が合意した目標であるから、その目標を目指すことは当然公共性があるし、また正当な活動であるといえる。SDGsに企業として取り組むことは、この点をしっかりと従業員や取引先、そして顧客に対して示すことができる、ということになる。そうなると、社内の人々は、自分たちは世界の明るい未来に貢献しているという「誇り」をもつことができよう。社外の人々は、その会社の活動への信頼が高まるようになる。”

SDGsは世界共通言語であることから、業種や国境を問わず、自分たちの活動を広く伝えることができるのです。また、SDGsを意識することでリスクヘッジになることもあります。

製品のサプライチェーンで考えてみた場合、例えば原材料であれば、生産している人たちが児童労働に該当していた、不法な農薬を使った生産活動をしていた、動物を利用して収穫していたといったことが問題となるリスクが考えられます。

こうなると企業の信用失墜に加え、原因究明のために販売を停止し調査が行われるなど、事業に打撃を与えることもあるでしょう。

事前にモノの生産から廃棄までの一連の流れをSDGsを意識した形態にしておくことで、これらのリスクの芽を摘んでおくことができるのです。

このように、企業がSDGsを取り入れることは、環境や社会への貢献とともに自社の成長やリスクヘッジまで期待できます。

SDGsと企業の関係の概要がわかったところで次のステップにいきましょう。

ステップ2 優先課題を決定する



続いて行うステップは、優先課題を決定することです。

SDGsは、すべての目標を網羅すれば良いというものではなく、企業の状況に応じて取り組む目標に濃淡をつけることができます。極端に言えば、事業が目標1「貧困をなくそう」とは関わりがなければ、取り組みの中に取り込まないといった選択も可能なのです。

そのため優先順位を明確にする必要があります。その際、事業の一連の流れを可視化するマッピングと呼ばれる作業を行うのが効果的です。

SDG Compassに書かれたマッピングの順番としては、まずはバリューチェーンのマッピングを行い、そこからSDGsが掲げる課題に、その事業が与える正もしくは負の影響を特定することが挙げられています。


出典:SDG Compass

この図のように、バリューチェーンの一連の流れを細かく見直し、それぞれが与える影響を判断します。この際、正の影響ばかりに目を向けるのではなく、負の影響も勘案することがポイントです。

上図の「製品の廃棄」を例に見てみましょう。

ここに記載されている目標12は、「つくる責任 つかう責任」で、そのなかにはリデュース・リユース・リサイクルなどにより廃棄物を削減することが求められています。

この企業が取り扱っている製品が、使用後大量の廃棄物を出すようなモノであれば、現状では負の影響を与えることとなります。そこで、再利用可能性の向上を目指し、目標達成に貢献できるようにしようと考えるのです。

このように負の要素にも目を向けることで、新たな取り組みを生み出すことができます。

これからマッピングを始める場合は、外務省のSDGsサイト「JAPAN SDGs Action Platform」に現在SDGsに取り組んでいる企業の一覧があるので、そちらを参考にしながら検討しても良いでしょう。
 

【マッピング例】株式会社ピー・エス・インターナショナル

続いては現在SDGsに取り組む最中である、本サイトを運営する株式会社ピー・エス・インターナショナルが行なっているマッピングの一部を紹介します。

株式会社ピー・エス・インターナショナル(以下PSI)は、
・化粧品の輸入、製造、卸および販売
・エステサロン「美腸エステGENIE(ジニー)」の運営
・ナチュラル・オーガニックコスメショップ「favostyle(ファボスタイル)」、エシカルなライフスタイルを提案する「ethicame(エシカミー)のECサイト運営
・ネイルスクール「CLASTYLE(クラスタイル)」、セラピスト養成スクール「アロマビューティーライフカレッジ」のスクール運営、美容専門のキャリアアップスクール「Beauty Biz UP(ビューティービズアップ)」
など、美容に関する事業を展開している企業です。

PSIは、事業とSDGsを以下のように関連づけています。

目標への取り組みを具体的に見てみましょう。
 

目標3「すべての人に健康と福祉を」


アロマセミナーや、腸を美しくする美腸エステを通して、すべての人の健康的な生活に貢献し、福祉を促進します。
 

目標4「質の高い教育をみんなに」


ネイルスクールやセラピスト養成スクールのオンライン化を進め、どこにいてもスキルが身につくようなシステムを確立。特に女性の独立支援に力を入れています。
 

目標5「ジェンダー平等を実現しよう」


ジェンダー差別はなく、役員比率、管理職比率も50%です。また、社員への専門スキル研修など(メディカルアロマ・形態学オーガニックコスメの知識・腸活の学び)を毎月実施しており、社員の参加及び定期的な研修(最低年2回)は行っています。
 

目標12「つくる責任 つかう責任」


土壌を限りなく汚染しないようなオーガニック ・ナチュラルな化粧品を扱い、自社ブランドの容器はリサイクル可能な材料を極力使用。配送は2020年4月にほぼプラスチック、ビニールを排除した廃プラの梱包材に切り替えが完了しました。

地球温暖化や資源枯渇、廃棄物などの問題を改善解決できるよう取り組んでいます。
 

目標14「海の豊かさを守ろう」


エティーク、エシカミーを通じて海の豊かさを守るための取り組みを進めています。プロダクト自体、完全に廃プラで、商品をお届けするときの梱包材も廃プラです。

また、地球環境や海洋動物のことなどをまとめた月間紙も同梱しており、親子、パートナー、家族で「環境」のことを話すきっかけ作りも行っています。
 

商品例「固形シャンプーバー エティーク」



目標14「海の豊かさを守ろう」の商品の具体例として、固形シャンプーバーのエティークが挙げられます。

エティークは、市場で販売されているビューティープロダクツが環境に与える問題に着目し、ニュージーランドで設立されました。年間800億本廃棄されるシャンプーとコンディショナーのプラスティックボトルは、たったの9%しかリサイクルされていません。

そこで容器のない固形バー(髪や頭皮に必要な美容液成分と、必要最小限の洗浄成分を凝縮したシャンプー・コンディショナー)を作り、2019年までの7年間で600万本のプラスティックボトルの削減を実現しました。さらに2025年までに5,000万本削減を目標にしています。

またすべてのパッケージは生分解性(微生物によって分解される物質のこと)によるもので作っており、商品すべてにおいて環境・動物・人体に配慮した製品づくりをしています。

目標12,14においては、製品を廃棄する際に発生するゴミ問題という負の側面も念頭に置きながら目標設定しています。
 

目標16「平和と公正をすべての人に」


年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進。

会長・社長などの肩書きで呼ばす、「・・さん」と名前で呼ぶ社風や、外国籍の人の雇用、あらゆる宗教の人を受け入れるオープンな環境作りを行っています。多様性を受け入れ、差別が起こらないようスタッフへの教育なども実施しています。

このように、事業内容を分解し、それぞれが与える正と負の影響を検討してから目標設定することが必要です。

ステップ3 目標を設定する

SDGsと事業のマッピングを行なった次のステップは、目標の設定です。

SDGsはただ目標を掲げて全員で達成を目指しましょう、といった漠然とした行動を促すものではなく、達成への進捗を「測る」ことも重要視されています。「測る」ためには、具体的な目標の設定が必要になります。

SDG Compassに記載されている具体例を見てみましょう。
“— 特定の時点:たとえば、女性役員の数を 2013 年末のベー スラインと比較して 2020 年末までに 40% 増加させる 目標を設定する場合
— 特定の期間: たとえば、2018 年から 2020 年までの 3 年間の平均水使用量を、2006 年から 2008 年までの平 均水使用量と比較して、50% 削減する目標を設定し、 短期的な変動の影響を排除する場合”

このように具体的な目標数値を設定することで、客観的に進捗がわかり、どれだけ貢献したのかを判断できるようになるのです。
 

目標設定の考え方はバックキャスティング


SDGsの目標設定を検討する考え方として、バックキャスティングという手法があります。

バックキャスティングとは、理想の未来の姿から逆算してどのような取り組みができるのかを考える手法です。

これまでの日本企業は、現在を起点とし、これまでの課題や現状を踏まえて何ができるかを考え、取り組みを積み重ねる手法のフォアキャスティングが主流でしたが、SDGsを考える際にはバックキャスティングを用いるのがより効果的です。

ここではフォアキャスティングとバックキャスティングそれぞれの目標設定による効果の違いを簡単に確認します。

【フォアキャスティング】
これまでの生産活動で、環境破壊などが進んでしまった。では、環境を破壊せずに生産するためにはどのような取り組みを進める必要があるのか。

その取り組みを進めるにあたり、その企業のこれまでの体制であればこのレベルの目標であれば実現可能。目標値が決まる。

【バックキャスティング】
2030年に生産活動において発生する二酸化炭素を8割削減するという目標を設定。

達成するために、2025年までに二酸化炭素の排出を4割減、2022年にまでに二酸化炭素を2割減というように逆算して目標を設定。

このようにフォアキャスティングは現状を鑑みながら達成できそうな目標が掲げられることが多いのに対して、バックキャスティングでは、現在とかけ離れた目標につながるケースがあります。

現在の活動進捗では到底達成できそうもない目標であればあるほど、それまでの体制や戦略などの抜本的な改革が必要であり、企業の成長が期待されるのです。

ステップ4 経営へ統合する



目標設定が終われば次は、経営へ統合するステップとなりますが、そのためにはSDGsを企業(社員)に定着させることが必要です。

一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)および公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)がまとめた「動き出したSDGsとビジネス ~日本企業の取組み現場から~」によれば、自社にSDGsを定着させるためには、⑴トップダウン型と⑵ボトムアップ型の2つの方法があるといいます。

⑴トップダウン型
経営層がSDGsへの深い理解があり、トップみずからが先陣を切って取り組みを推進する方法

⑵ボトムアップ型
SDGsと事業の紐付けを社員同士で行い、社内へ浸透させ、経営層の理解を得る方法

SDGsを定着させるための日本企業の取り組みを見ると、SDGs担当の社員が理解し社内浸透を目指す⑵ボトムアップ型が多いことがわかります。

【自社にSDGsを定着させるための取り組み】

出典:「動き出したSDGsとビジネス ~日本企業の取組み現場から~」
 

パートナーシップに取り組む


SDGsを経営に統合していく過程で、自社の力だけでは課題の達成が困難である状況が出てくることも考えられます。

この場合、SDGsではパートナーシップを構築して解決にあたることが掲げられています。パートナーシップの相手は行政に限らず、民間企業や教育機関などのさまざまなステークホルダーが対象です。

とはいえ連携をとるための手段がみつからないという場合もあるかと思います。その際には、政府が運営する企業とステークホルダーをつなぐマッチングサイト「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」を参考にしてみると良いでしょう。

>>地方創生SDGs官民連携プラットフォームはこちらから

ステップ5 報告とコミュニケーションを行う

最後に報告とコミュニケーションについてです。

これは、自社の取り組み進捗を外部に向けて定期的に報告することで、企業の信頼性や価値を高めることにつながります。

掲げた目標に対してどのような行動を起こし、どのような結果が出たのか。また今後の課題などを明確に記すことで、企業のSDGsへの取り組み度合いがわかるため、SDGsウォッシュと指摘されるリスクも軽減できるでしょう。

近年ではESG投資と呼ばれる環境・社会・ガバナンスを重視した企業を投資の対象とする流れがあり、こちらにも有効です。

現在SDGsに取り組んでいる企業がどのように報告を行なっているかは、企業が発刊するサスティナビリティ報告書に掲載されていることが多いので参考にすると良いでしょう。

戦略を立ててSDGsウォッシュと呼ばれない取り組みを

ここまで、SDGsウォッシュの概要と、そう指摘されないためのSDGsの取り入れ方やそのステップを見てきました。

SDGsが流行していると言っても、戦略なしに事業に取り込むとSDGsウォッシュであると指摘され、企業の価値を下げる結果になりかねません。

環境や社会に貢献しながら、持続可能な企業にしていくためにも、まずはSDGsを深く理解するところから始めてみてはいかがでしょうか。


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